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Tag [新作レビュー] 2011.04.22
1106004507.jpgふじつか雪「悪魔とデュエット」


まわりに何を言われても
離れがたいと思う
この気持ちはー



■魔女   。悪魔という存在を、唯一言葉で制することのできる部族・ミック族の女性たちは、かつてそう呼ばれ、迫害を受けてきた。その一族の末裔・得るは、ある日、フィガリア国の王子に呼び出され、突然プロポーズをされる。突然の申し出に当然断ったメルだったが、とある夜、王子の秘密を知ってしまい…!?

 「桃山キョーダイ!」(→レビュー)などを描いている、ふじつか雪先生によるファンタジー作品でございます。ちょっと前に発売されていたのですが、すっかりチェックするのを忘れていまして、このタイミングでのご紹介となります。物語の世界は、悪魔と人間が住む世界。人間に対して悪さをし、時に襲い殺すこともある悪魔は、人々から怖れられる存在。これといった対抗する術も持っていないのですが、そんな人間の中、唯一言葉で悪魔を制することのできる存在が。それが、ヒロイン・メルの血筋である、ミック族。ある日メルは突然王宮に呼び出されたと思ったら、王子に結婚を申し込まれて…というところから始まるストーリー。もちろんメルは、少女漫画のヒロイン然として断るわけですが、とある王子の秘密を知って以来、離れることができなくなってしまうのです。
 
 
悪魔とデュエット
その秘密とは、王子が悪魔の血をひいているということ。


 悪魔の血を引いているといっても、何か悪意があってというわけではなく、やむを得ない事情があったため。昼間は理性を保つことができるものの、月の明るい夜などは悪魔の血が活性化。抑えきれずに日がな苦しむということを繰りかえしていたのでした。というわけで、メルという存在は結婚相手にはうってつけ。いわばオンリーワンなわけですが、メルとしては「自分がミック族じゃなかったら、自分のことは選ばなかった」と考え、より一層消極的に…というネガティブスパイラルに陥りはじめます。特性や長所に助けられ惚れるというのは、恋愛に於いて至極真っ当なことではあるのですが、その特徴たるものが所以特徴的すぎて、しかもヒロイン自身のアイデンティティというよりはむしろコンプレックスとして働いているとしたら、それをすんなり受け入れるのは非常に困難であるわけで。お互いに、この人でなければいけないのだけれど、外面的なわかりやすさを含むが故に、どうしても素直になれないというジレンマ。そんな彼女相手に精一杯愛情を注ぐ王子と、それでも疑い哀しみを重ねるヒロインのせめぎ合いが、とっても可愛らしいのですよ。
 
 のっけから求婚という話の早さは、「金魚奏」でも見せたお得意のパターン。そういえば「金魚奏」は、特別すぎる相手との関わりあいで苦悩するヒロインが描かれたわけですが、今回は逆パターンですねぇ。それにファンタジーですし、ある意味これは、ふじつか先生のまた違った引き出しを見ることができる作品と言えるかもしれません。個人的には王子のアプローチの仕方が好きで。ものすごく気さくに、しかも真剣味がない感じで振る舞っているのですが、これって絶対不器用だからだよねっていう。素直に昔のエピソードなりを真剣に話せば良いものの、多分素直じゃないってのと、そのことを最初に明かしてしまったら、立場的に彼の方が劣勢に置かれてしまうということを考えてって感じなのではないでしょうか。でも一緒に過ごせば過ごすほど、ヒロインの力に助けられ続け、挙げ句ヒロインはネガティブスパイラルという、なかなかもどかしい話ではあるのですが、それもまた良し。ファンタジックラブロマンス(コメディミックス)がお好きな方は、ぜひとも。


【男性へのガイド】
→メルかわいいです。とはいえ王子様だし、王子様あれだしと、男子受けはどうなのか。切なさフルスロットルで…というわけでもないので、ロマンス重視の方も向かないかもです。
【感想まとめ】
→ふじつか先生はこういうのも描けるのですねー。恋愛ものではあるのですが、やや切なさ抑えめで、若干インパクトに欠けた感が。とはいえ安心できるお話であり、ファンタジーの世界観はしっかりと守るあたり。手堅いつくりで、終始楽しむことができました。


作品DATA
■著者:ふじつか雪
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLaスペシャル
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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