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Tag [続刊レビュー] 2011.04.25
作品紹介→なかよしでも百合、しかも王道学園もの!:白沢まりも「野ばらの森の乙女たち」1巻



1106005264.jpg白沢まりも「野ばらの森の乙女たち」(2)


みんな
野ばらの下のひめごとなの



■2巻発売です。
 初美とさくらは、この春、あこがれの音羽女学院へ入学。野ばらにかこまれたこの学校の生徒たちは、「野ばらの森の乙女」と呼ばれている。学院で初美は、王子様かと思うほど素敵な先輩は、全校生徒のあこがれ、「音羽の華」の一員の三条泉だった。そんなとき初美とさくらは、裏にはで泉と繭子のキスシーンを目撃し、初美は泉のことが気になるように…。咲き誇る野ばらとともに、乙女たちの恋は可憐にひそやかに交錯し…
 

~お待たせしました~
 2巻発売はだいぶ前だったのですが、レビュー書いていないの忘れていました。ということで、「野ばらの森の乙女たち」2巻のご紹介でございます。同時期に低年齢向け百合(もうどういうジャンルかわからない)として話題になった「ブルーフレンド」(→レビュー)は既に完結していますが、こちらはまだ続いているのかな?とはいえ初美のフェーズは一旦2巻で完結。秘密の花園で初めて触れる恋に、一つの答えが出ました。


~古き良き少女漫画然、ドラマ然とした構成です~
 1巻の流れからして、憧れの王子様とが本線かなぁ、なんて思っていたのですが、意外や意外。野ばらの森で咲いたのは、さくらの花でございました。百合百合していると、関係性が複雑すぎてよくわからないことになるのですが、男役と女役でざっくり分けてみると、案外スッキリ。泉様は先輩の王子様で、さくらは幼なじみの男の子としてみれば、あとは少女漫画的な選択肢を辿るだけで、幾つかの答えは見えてくることになります。雰囲気的には、こう80年代~90年代の少女漫画っぽい印象で、自ら選んだオンリーワンより、選ばれた私がオンリーワン的な、王子様見初められ系の運びとなると勝手に思っていただけに、こういう結末は意外ではあったのですが、全員が幸せに…という結末を考えると、これしかなかったのかもしれません。
 
 
野ばらの森の乙女たち2-1
 そして全員幸せになっている中でも、比較的割を食う、一番のイケメンっていうところとか、なんかありがち。そうそう、最後に空港ってのもベタで、90年代トレンディドラマっぽいですよね。この作りが現代の小中学生たちにウケるかはわかりませんが、そういった物語に触れていた我々ないし、もう少し上の年代の人たちからすると、百合という題材ではあっても、文法的に比較的馴染みやすい作品であるのかもしれません。


~初音×さくらは既定路線だった?~
 ちなみに初音とさくらという結末は、最初から決まっていたのではないかと思わせるカットが。それが、1巻冒頭のこれ…
 
 
野ばらの森の乙女たち2-2
 花びらで隠れていますが、髪型から考えて、向こう側にいるのはさくらで、こちら側にいるのは初音じゃないでしょうか。意外とこういうところに大きなヒントが隠されているのですが、なかなか見落としがちなのですよ(というかそもそも表紙がそうなのですが。。。)。
 
 個人的にはさくらが一番お気に入りのキャラクターであったので、こうして最後に報われたのは非常に嬉しかったです。何度となく諦めようと思い初音を突き放しても、それでも諦めきれず、また何度となく寄っていくというそのアンバランスな揺り戻しが、危なげで切なげで、なかなかくるものがありました。一番我慢強かったというか、健気でしたよね。皆々それぞれが、自分の気持ちにウソをつきつつの生活であったわけですが、一番近くにいて、その想いを打ち明けることすらできなかった彼女の序盤の苦しみは、なかなか大きいものだったのではないでしょうか。


~男を絶対に出さない徹底っぷり~
 この作品って、絶対に男性を出さないんですよね。影形だけでなく、名前ですらも登場しないという徹底っぷり。フィアンセもあくまでフィアンセであり、具体的な情報は一切登場していません。百合ものではこれが基本パターンなのかもしれませんが、男性登場せずに回すってのはなかなか勇気がいるような。その分泉先輩の男らしさが際立つわけですが、一旦完結してしまった中、3巻以降それだけの役回りをこなせる人物が登場するのか、注目でございますよ。 


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