
このまま全部流れて
俺の血総とっかえしても
だめなんだよな
■中学生の松島りらは、背がとても高い中学3年生の女の子。母親と二人暮らしで、ときどき別の家庭を持つ父親が訪れる。要するに愛人とその娘。そんなりらが想いを寄せているのが、隣の席でピアノが上手、そして唯一りらより身長が高い鈴木凱。そんなある日、思いもよらない事実を知ることになる。凱は、りらの父親の子供、つまりりらと凱は兄妹だったのだ。決して叶うことのない恋。りらは、実りそうだったこの想いを封印し、秘密を隠し通すことに決める。しかし、高校生になって再び出会ったふたりは…!?
愛人の娘と本妻の息子の恋物語です。偶然真実を知ることになるりら。自分達は何も悪くないのに、ただ隣の席の男の子を好きになっただけなのに、どうして?そんな想いを抱えながらも、子供として、聞き分けの良い天使としていることを選びます。しかし高校生になって再び出会い、想いは再燃。自分の想いと立場の間で、思い悩む。一方の凱も、ずっとりらを想い続けるなか、真実を知ることに。彼もまた、彼女と同じように思い悩みます。

表紙とタイトルはなにやらエロを匂わせる内容になっていますが、内容は恐ろしいほどにプラトニック。というか、もうストイックって言っていいくらい。親が全部悪いんじゃん、関係ねーよ、という思考に行かないのがミソで、あくまで子供(天使)としていることを選ぶふたりの関係は、遅々として進みません。正統な恋愛としてスタートしたからこそ、こういう選択をしていかざるを得ないんでしょうか。最後はさらっと爽やかに終わりますが、続けたとしてもドロドロの昼ドラ展開になるしか道はないと思われるので、これで正解なのかもしれませんね。これでこそ宮川匡代か。切ない話が好きな方はマストバイです。
【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→想いを長い間抱え続けるってのは、基本男子のメンタリティだと思っています。ハマる人は結構いるんじゃないでしょうか?
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→予想以上でした。やっぱり宮川匡代は裏切らない。切ない恋物語が好きな方はぜひ読んでみてください。
作品DATA
■著者:宮川匡代
■出版社:白泉社
■レーベル:
■掲載誌:シルキー(2007年12月号~2008年12月号)
■全1巻
■定価:457円+税
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