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Tag [新作レビュー] 2011.05.02
1106016428.jpg吉永ゆう「君と恋を知った」(1)


こんな気持ちになれる人は
やっぱり他にいないよ



■夕焼け、海、笑い声。そして…恋。あの時、君と知ったすべてが、宝物だった。。。
 田舎の町で、平和に過ごしていた志乃。だけどある日、東京から転校してきた健斗と出会い、志乃の毎日は一変する。黒髪メガネで秀才。無愛想で、第一印象は「ちょっとやりづらい相手」。けれど無愛想なくせに、どこか優しくて、一緒にいるとドキドキが止まらない…。そう、それが初めての「恋」だった。この町で、君と恋を知った。
 
 吉永ゆう先生の新連載でございます。ついに巻数がつきました。田舎町に暮らす女子高生が、東京からの転校生と恋に落ちるというお話。主人公は、小さな田舎町で生まれ育った志乃。家計に余裕がなくバイトして支えるくらいで、友達はいるし、彼氏もいるし、勉強だってそこそこできる。それなりに恵まれた環境に、満足していたけれど、ある日来た転校生によって、彼女の感覚は大きく変わることに。地元生まれだけど、東京育ちの転校生・健斗は、無愛想だけどどこか優しい秀才くん。最初はとっつきにくいと思っていた志乃ですが、彼氏にフラレ、友達とも若干気まずくなったとき、優しく支えてくれたことをきっかけに、強く意識するように。初めて味わう、この感覚。その感覚が恋だと気づいた時には、もう…というお話です。


君と恋を知った
意識しすぎて全然目を合わせられないの図。赤面とセットで初々しさ抜群に。


 田舎町の進学校を舞台に送る、ありふれた切ない恋物語。まさにベツコミのテンプレとも言えるような物語。手堅いです。友達がいて、成績はそこそこで、恋は知らないけど彼氏はいるという、なかなか恵まれた存在。いわゆる中の上的なポジションの女の子が、近寄りがたい転校生と出会うことで、自分の弱さを知り、そんな自分を支えてくれた彼にやがて恋をするという流れ。舞台設定が小さな田舎町ということで、大きな物語ではありませんが、小さな世界で精一杯生き、恋を知る少女の心情を、一つ一つ描いていきます。お互いに多少の家庭の事情を抱えていることから、今後はそこが大きな壁となってきそうですが、とんでもなく重い運命が、相手役にのしかかるということはなさそう。現時点では無風なので、どうなるのか予想はつきませんが、あまり重たくしないで欲しいなぁ、というのが個人的な想いだったりします。というのもどちらかというとローテンションで塞ぎ込みがち、いわゆる「落ち着いてて、ちょっと暗い」てなヒロインで、かつ寡黙な相手役ということから、全体的に静かで灰色がかった感じになるんですよね。そことの調和が上手くとれれば、と。
 
 裏表紙説明には「怪物新人」の文字が。おお、いつのまにかベツコミでそんな扱いに…!確かに新人さんの中でも特にプッシュされている印象がありますが、6冊目でもまだ「新人」とはこれいかに。そろそろ「新人」という枠でなく、一人前の作家として評価されたい頃。手堅くはあるのだけど、どこか既視感のある作風という印象が定着しつつある気もしますが、この巻数付きの本作が、そのきっかけとなるか。個人的にはもうちょっと冒険してもよいというか、もうちょっとじれさせても良いのになぁとは思うものの、明るい幼なじみが良いカンフル剤になってくれそうで、期待感はそれなり。ベツコミスタンダードの物語がお好きな方は、どうぞ。なんて、ベツコミ読者は基本的にもうチェックしてるのか。


【男性へのガイド】
→恋愛オンリーで、かつ秀才のイケメン君が相手。落ち着いた恋愛ですので、拒否反応は出ないとは思いますが、敢えてこれというファクターがないのも事実。
【感想まとめ】
→1巻付けたけど、この先どう転がすのか想像つかず。それなりに練ってはいるようですが、やや引きが弱かった感もあります。「新人」とすれば驚異の安定感ですが、いつまでもそこにいられないのも事実で、2巻以降ペースアップできるかが鍵になりそうです。


■作者他作品レビュー
吉永ゆう「罪恋」
吉永ゆう「片想いの向こう側」
吉永ゆう「初恋白書」


作品DATA
■著者:吉永ゆう
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsucomi(連載中)
■既刊 1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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