このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2011.05.03
1106016249.jpg高宮智「かんちがい姫と嘘つき僕」


だから
ずっと私に従い傅いてなさいよ?



■美少女・まゆりは、全寮制の女子校で、先輩の晶と同室になることに。学年が違うもの同士が同室になるというのは、異例中の異例。ましてや相手は、生徒たちの憧れの的の、麗しき生徒会長…。ところが同じ部屋になってみてびっくり。誰もが羨む美人生徒会長・晶には、大きな秘密があって…!?昼は女装してボディーガード、夜は添い寝のサービス付き、ニヤニヤドキドキがとまらない、主従コメディ!

 高宮智先生の新作でございます!わーい久々ですごく嬉しいです!というわけで、勘違いお嬢様(育ちは普通)と、僕志願の女装少年の組み合わせで送るラブコメでございます。ヒロインは、実際可愛いけど自分でも超絶かわいいと思っているために、可愛さ半減な残念な女の子・まゆり。意気揚々と有名な全寮制のお嬢様学校に入学するのですが、なぜか上級生と同室になることに。しかもお相手は生徒たちの憧れの的で、生徒会長の晶。異例中の異例という措置にも関わらず、物怖じしないまゆりは食わんばかりの勢いで部屋に乗り込みます。しかしそこで目にしたのは、驚きの光景。そこにいるのは、麗しの美女…ではなく、男の子!!しかも早々に、「自分をまゆりの僕(しもべ)にしてくれ」なんて懇願してくるではないですか!!「僕…なんて甘美な響き…今まで自分に僕がいなかったのが不思議だわ」という非常におめでたい思考を巡らせたまゆりは、すんなりOK。しかし当然のことながら、晶にはとある意図があって…というお話。


かんちがい姫と嘘つき僕1
ウェルカム僕!
清々しいほどノリの良いアホな子である。ツンデレ臭さを匂わせておりますが、ツンってよりもほんとに勘違いして突っ走ってるだけなので、そういう成分は薄めな印象です。


 なんで女装少年がおるねんという話ですが、晶は大資産家の息子でその身を狙われることもしばしば。そのため身内の多いこの女子校に、女子として入学しているということなのです。まゆりを同室にしたのは、単純に一目惚れしたから。ようするにがっつり肉食系の相手役なのですが、それに負けず劣らずな勢いとバカさかげんをもってヒロインも対抗。主導権の奪い合いが繰り広げられる、非常に忙しなくも面白いものがたりとなっています。
 
 とにかくヒロインのまゆりがかわいいです。高宮智先生の描くちっちゃい残念少女は、とにかく鉄板なのですが、この子も例外にあらず。実際かわいいのだけど、とにかくアホ子で自信過剰なため、基本的には空回り、空滑り。またお嬢様っぽく見せて、生家はどちらかというと中流階級と、この辺もまたツボを押さえてます。まさに「かんちがい姫」という言葉がぴったりの彼女。もちろん晶との関係に於いても勘違い。自分が主人となって、僕を従えていると思いきや…
 
 
かんちがい姫と嘘つき僕2
むしろその様子は、主人に甘える飼い犬のよう
 
 
 Sっ気たっぷりで、かつ相手を手のひらの上で遊ばせる術を心得ているという、なかなかにやりにくい相手・晶。そりゃあ勝てないです。単純にこのふたりのかけ合いだけでも楽しいのですが、この作品はもう一つおまけが。それが、女装をした晶との百合っぷるっぽい絡み。基本的に女装中は大人しい晶(これも戦略?)が、まゆりのわがままにはいはいと付き合うその様が美しい…!
 
 高宮作品ということで、ストーリー展開がどうなのかが鍵になるのですが、本作に関して言えばそこまで大きな話の筋は存在せず、設定に飲み込まれてアンバランスになるなんてことはありません。やや物語性に欠けるかな、と思う節はあれど、はちゃめちゃやるにはこのくらいの自由度があるほうがやりやすいのかもしれません。久々に自由にあれこれやってるという感じの作品を読めて、個人的には嬉しかったです。ここ数作は、どちらかというとしっとりとした作品が多かったので、余計に楽しく感じられたというか。1巻完結というのも丁度良い長さ。気になった方は、是非ともどうぞ。


【男性へのガイド】
→高宮作品はたとえ相手役が鬼畜などSであってもヒロインの可愛さで全部持って行ってしまうだけの力があると思ってます。この作品もそう。
【感想まとめ】
→キャラ+ストーリー揃った状態でオススメしたいので、タグ付けないですが、とても楽しいし読みやすい作品だとおもいます。こういうノリの作品がやっぱり好きですねぇ。


■作者他作品レビュー
狼耳の凸凹コンビが、学園中を駆け回る!:高宮智「フルムーン ジョーカー」
ちゅちゅでの最後の作品を収録した、高宮智ファンには堪らない一冊:高宮智「S×M」
高宮智「ソラオト」
高宮智「わたしのおくすり」
高宮智「今宵音降る空の下」
高宮智「HEAVEN’SWILL」


作品DATA
■著者:高宮智
■出版社:小学館
■レーベル:Cheeese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!(連載中)
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「Cheese!」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。