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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.05.09
1106016457.jpgひうらさとる「メゾンde長屋さん」(1)


見覚えのない路地を曲がると
そう
この不思議な長屋に出会ったのです



■路地にたたずむ不思議な長屋   「メゾン de 長屋」。経歴不詳の大家さんを筆頭に、そこに暮らすは実に個性的な面々。ツイッター中毒のフリープログラマーや、毒舌カリスマエステティシャン、新宿No.1ホストや、人気の美人脚本家など…。個性的な住人が織り成す人生の悲喜こもごもを、古典落語をベースに描く「ひうらくご」と共に、あなたにお届け。涙あり、笑いあり、ラブあり…こんな長屋に住んでみたい!!

 ドラマ化もされた干物女の生態を描いた「ホタルノヒカリ」の作者・ひうらさとるさんの新作連載でございます。古典落語をベースに、とある場所にある長屋での出来事を描いたオムニバス作品となっています。とある通りに、たくさんの長屋が。そこの長屋の名前は、「メゾンde長屋」。なんとも不思議な響きですが、「長屋」というのは大家さんの苗字で、長屋だから「長屋」って言ってるわけじゃないのだそうです。そこに住むのは、実に多種多様な人物たち。この時代に、敢えて長屋に住まう人なんて、変わり者しかいないわけですよ。ツイッター中毒のフリープログラマーに、新宿のNo.1ホストや、美人脚本家、研究者まで。。。そんな彼らの悲喜こもごもを、一話完結の形で楽しんでいくことになります。


メゾンde長屋
昼間も素敵ですが、夜の長屋というのもまた趣があって良いですね。長屋ってどちらかっていうと、庶民的というか貧乏っぽい印象ですけど、現代にこうした形で取り上げられると途端にオシャレに見えてくるから不思議です。


 どのお話もそれぞれ違ったテイストで面白いのですが、共通しているのは、今まであった関係をベースに物語を築いていくというよりは、とある出会いをきっかけに新たに大切なものを見つけて行くというようなイメージ。人との出会いは一期一会と言いますが、古典落語のそれも、新しい人との出会いから生まれる物語というのが多いのでしょうかね。
 
 個人的にお気に入りだったのは1話目「転宅」。自宅にひきこもり仕事をしている在宅プログラマーの青年が、珍しく外に出た時に目にした女性を追いかけていって…というお話。この作品ではツイッターが重要なツールとして登場するのですが、それがなかなか粋で、上手いなぁと。また美人脚本家が主人公の「子別れ」も、ありえないとは思いつつも、人と人の繋がりを真っ直ぐに描いたお話で、とっても感動しました。
 
 物語の最後には、ひうら先生による落語と物語の解説「ひうらくご」のページが。これってぱっと見単行本オマケページのように映るのですが、本誌連載でもやっぱり掲載されてたのでしょうか。物語を読み終わり、余韻を感じたままに最後にこの1ページを楽しんで、さらに満足しましょう。


【男性へのガイド】
→人情話で1話完結と、どの層も比較的親しみやすいのではないでしょうか。話題としてはKISS読者好みのものだとは思いますが、だからといって男性が読みにくいってことはないわけで。
【感想まとめ】
→住人たちが変わり者すぎて、ありえないと思う気もあるのですが、長屋ってのは粋なわけで。酔狂人があるまるのね、とちょっと納得です。


作品DATA
■著者:ひうらさとる
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KC KISS(連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

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