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Tag [続刊レビュー] 2011.05.18
作品紹介→作品紹介→もう一度、この家で、一緒に笑おう。:タアモ「たいようのいえ」1巻
2巻レビュー→二つの”家族“の狭間で:タアモ「たいようのいえ」2巻
関連作品紹介↓
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タアモ「あのこと ぼくのいえ」
タアモ「少女のメランコリー」
タアモ「恋月夜のひめごと」
タアモ「いっしょにおふろ」
タアモ/野島伸司「スヌスムムリクの恋人」




1106025802.jpgタアモ「たいようのいえ」(3)


一緒にかえろう


■3巻発売です。
 基の優しさは同情だ。
 自分を優しく気遣ってくれる基に、真っ直ぐに好きな人のことを思うラジカルさん、そして自分のことを本当に大切に思っていてくれるちーちゃん、、、日々の積み重ねの中、少しずつ自分の居場所を見つけて行った真魚が求めはじめた、理想の状態。今のような同情ではなく、後ろめたさも何もない、ちゃんと向き合える関係になるため、真魚は基の家を出る決意をする。けれど、まさかの基の気持ちに…!?


~3巻おめでとうございます!~
 3巻発売です。3巻ということで、恐らくタアモ先生最長連載となったのではないでしょうか(確か今までの最長は、野島伸司原作の「スヌスムムリクの恋人」の2巻)。今まではどちらかというと、読切りの破壊力は凄まじいけれど、連載になると…という印象が少なからずあったのですが、今作はそんなところ微塵も感じさせず、驀進中。これがベツコミ時代に出なかったのは、環境の違いか単純にタイミングの問題なのか…。とにかく今は、「たいようのいえ」を楽しみましょう!


~父親は悪代官なのか~
 さて、2巻レビュー時に書いた、真魚の父親を巡る一つの謎が、明らかになりました。それは、「どうして振込で済むはずなのに、毎回わざわざ直接養育費を届けにくるのか」ということ。その真相は結局…
 
 
たいようのいえ3-1
基が頼んでいたのでした


 あーそうか、そうですか。父が直接養育費を届けるというところに、一縷の望みを懸けた私が甘かったか。その後も度々真魚の父親の姿が描かれるわけですが、その姿は徹底して「悪人」。もう狙っているんじゃないかってぐらいに、良きところが一つとして描かれることはありませんでした。そういえば、真魚が好きなのは「時代劇」。そこには必ずどうしようもない“悪”が存在していて、その存在をヒーローが倒して初めて平穏が訪れるという世界です。さすがに時代劇と結びつけるのは無理やりすぎではありますが、それほどまでに、父親という存在はどうしようもなかった。元々悪を成敗して終わりという、戦隊ヒーロー的な展開や、時代劇の物語展開というのがあまり好きではなかったというのもありますが、それ以上に、それを家族という複雑な関係の中にも当て嵌めて展開させたというその安易さが、個人的には残念に思えました。そこをそんなにも簡単に放り投げて、果たしてこれから、疑似家族という土台の中で恋愛を織り交ぜつつ…というより複雑な人間関係を、丁寧に描き出していけるのだろうか、と。これ以降、父親が登場することはないかもしれませんが、もし登場したならば、少しくらいは救いのある姿を見せて欲しいな、と思いました。



~ハグ!ハグ!ハグ!~
 ちょっと父親のところで行数を割き過ぎましたが、今回の見所はなんと言ってもハグですよ!ハグ!今までは手を触れることすらためらわれ、最上級のご褒美といえば頭ナデナデぐらいだったのに、3巻にきたらハグ連発!しかもどちらか一方ということもなく、ちゃんと両者からしているという。なんですかこの幸せ空間は…!物語的なハイライトは、恐らくこちら
 

たいようのいえ
一緒に帰ろう


 というハグだと思うのですが、個人的にはむしろこっちのですね…
 

たいようのいえ3-2 
 寝てるところをギュっとしてるこっちの方が俄然っ…!これでよだれとか垂れてるとなお良いのですが、これは個人的なアレなので、抑えておきますね。あー、もう至福。さぁてこれから、こんな状況が頻発するのか、逆に意識しすぎて完全に抑えられてしまうのか。多分後者で、その中でとんでもないの一発…みたいなパターンになると踏んでいるのですが、どうなることやら。弟の登場が、何か鍵を握ってきそうな気がするラスト。楽しみです。そうそう、もう一つ楽しみといえば、静かにその存在を潜ませている妹がそろそろ登場しないかなぁ、と。今回写メのみの登場であったのですが、これが再登場へのフラグだと受け取りたい、今日この頃であります。



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コメント

>父親が悪代官云々
さすがに時代劇の勧善懲悪の概念と親子のあり方を結びつけるのはこじつけすぎじゃ…
(いや…よそう…俺の考えだけで皆を混乱させたくない…)

>それを家族という複雑な関係の中にも当て嵌めて展開させたというその安易さが…
そんな描写あったんですか!? ありませんでしたよね…
こんなにも俺といづきさんで意識の差があるなんて思わなかった…!

あと父親が今回で、出て行った元妻と真魚を重ねあわせてる描写がありましたよね…
そこの説明を省いて、こういう書き方をしちゃうのはどうなのかと…
From: ミスト * 2011/05/20 20:17 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。

やっぱり無理矢理すぎましたかね(笑)
そのことは文中でも書いていると思うのですが、まさか改めて突っ込まれるとは。

ここで書きたかったのは、3巻までを一区切りとした時に、
父親に一切救いの光が見えなかったということが残念だったということです。
ミストさんのおっしゃる、過去の妻と重ねて…という部分も、個としては理解・同情できなくもないのですが、娘との関係を顧みもせずに、ただそちらが悪いと思考停止に陥っている姿は、子に対しての親という役割で見た時に、どうにも救いようがなかった。そこを素直に4巻以降の布石に…とは個人的な心情として、受け取りづらかったです。
二段目のご指摘ですが、描写での話ではなくこれまでの話を一区切りとして見た時に、結果として捨てる父親と、拾う基というシンプルな構図になっていて、「巡り巡ってまだここか」という所での発言でした。前置きとして、「もしこのまま父親が登場しなかったら」という考えがあった上での書きぶりになってます。ここは完全に説明不足でした。

気をつけてはいるつもりなのですが、改めて説明不足にならないよう、注意しますね。

また、せっかく「俺の意識」「俺の考え」といったことを書かれておられるので、
ご指摘だけじゃなくて、物語に対してどう良かったとかどう感じたとか書いて頂きたかったかもです。
ご指摘は非常にありがたいのですが、それだけだと、ちょっとしんどく、
またどのような立ち位置からおっしゃっているのかも、よくわかりますので。

From: いづき@管理人 * 2011/05/21 00:03 * URL * [Edit] *  top↑
>子に対しての親という役割で見た時に、どうにも救いようがなかった。そこを素直に4巻以降の布石に…とは個人的な心情として、受け取りづらかったです。

子に対してしっかりしてる親父ならこんな事にはならなかったと思いますね…
というよりしっかりしてる親父なら話が始まらなかったんじゃ…
(いや俺混乱)
むしろ今回で真魚の事を本当に嫌っていたわけではなく、
父親が自分が妻と別れたときのことを引きずっていて、傷つくのが怖くて、
その事で真魚のことを避けていたことがわかったのが大ニュースだと思いますね…

父親に関しては、今まで何を考えてるのかもわからなかった、わかりづらかった、
本当に真魚のことが大嫌いで、ちょうどいいところにいた基に娘を押し付けて後はどうでもいいぐらいの心情で思ってるのかもと…ちょっといやーな事を考えてました。
(これだと本当に救いがないですし)
でも真相は未だに奥さんのことを引きずっていたていうのが本当のところでした。

真魚もそうなんですがこの親子、不器用なんだと思います。
口下手なところも多くて本当は好きでいてほしい、一緒にいたいのに、
お互い嫌われてるんじゃないかと思っている。
でも歩み寄り方もわからないし、好きだっていうのをどう伝えればいいかわからないしで、結局相手の気持を勝手に理解した気になって疎遠になってしまう…
これは基にも言えます。
彼もみんなで家族一緒に住みたいと思ってるけど、妹や弟が一緒に住みたいかなんてわからない。でも断られたら怖い、思ってるのは俺だけかもって、そんな事を頭の中で堂々めぐりさせてます。
今回のエピソードにもあったちーちゃんの件も話し合うまでは真魚は彼女がどう思ってるか、思ってたかなんてわからなかったですしね。
でも結局のところは作中のとおり、ちゃんと分かり合えた。
そういう事なんだと思います。

父親の方は少々時間がかかると思いますが、決して分かり合えないとは思いません。
それはこの話の根本、ずっと言ってきた家族というテーマ。
家族だから無条件に一緒にいられるわけじゃない。家族ってなんなのか、どうやったら家族になれるのか、一緒にいたいと思う気持ちをどうやって伝えて、どうやって過ごせばいいか、そのためにどうやって理解し合うのか、
その方法を、その取っ掛かりを真魚や基やその他の登場人物、そして我々読者がそれをどう取得し捉えたのか、
これから家族と、大事な人と、どう向き合うかのスタートライン。
それが今回の3巻の話なんじゃないかなと私は思っています。

まぁ私がどう考えてるとこはこんなとこです。
ですがそんな建前はどうでもよくて、
私はただ真魚がかわいいからペロペロしたいだけで単行本買ってます。
それが真実です。
真魚(^ω^)ペロペロ
From: ミスト * 2011/05/21 00:53 * URL * [Edit] *  top↑

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