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ろびこ「となりの怪物くん」(7)
それでもみんな
誰かを求めるのか■7巻発売です。
「ずっとずっと感じていたい」…名付けるならきっとこれが恋なのだろう。
水谷雫の誕生日でもあるバレンタイン当日。吉田春のおかげで気を遣うばかりだった母に電話をすることができた雫は、自分から春にキスをして再告白。勉強も恋も頑張るために、2倍頑張ると決意する。しかし大島さんもハルに改めて告白。ヤマケンも雫を誘おうとし、雫の周りは俄に騒がしくなってくる。。。さらには夏目さんが…!?
~泣かないで~ 今回は、夏目さん回でした(あ、でもいつも夏目さんばかり見てるから、毎回夏目さん回なんだけども…)。一つの恋の、終わりが訪れたのです。夏目さんがみっちゃんを好きになったのは、一体いつ頃だったでしょうか。その恋心を自覚して以降、一気に作中の“恋する乙女”トップに躍り出、幾多の赤面を披露してくれた彼女。そんな彼女の恋愛観が、7巻にして初めて明らかになりました。これまでは、どちらかというと男嫌いで、自分の恋の話題は避けがちであった彼女でしたが、まだ髪が短い頃(見た感じ中学ぐらいの頃?)から、その考えは彼女の中で形成されていたようです…
もしも誰かが
「ここにいてもいいよ」ってわたしに椅子を用意してくれたら
わたしはきっとその人を大好きになる
その人が喜ぶことならなんだってしてあげるし
もし
悲しんでいるなら
「泣かないで」って
ずっとそばにいてあげる
どこまでも献身的な子です。そして、孤独を抱えた子とも言えるでしょうか。一人ぼっちの自分に手を差し伸べてくれたら、その人に全力で尽くしたい。そんな想いが垣間見えます。そういえば以前、夏目さんは男子の嫌いなところとして、「勝手に盛り上がって自分だけが楽しければ良い」みたいな所がイヤ、と言っていたような。つまるところ、真の対象として自分が捉えられていないこと、そして心情的に置いてけぼりだと感じてしまう所がイヤなのかな、と。そんな夏目さんの男子評とは、真逆の存在がみっちゃんでした。文化祭で雫と喧嘩をして落ち込んでいるところ、夏目さんの話を聞いて優しく諭してくれたり、過去のトラウマからパニックに陥っているところに、颯爽と現れて「どうしたの?」と自分を気遣い声をかけてくれたり。みっちゃん相手のときは、基本夏目さんが心情を吐き出す側で、そしてみっちゃんはその言葉をちゃんと受けとめて返してくれました。そしてついにそれが、みっちゃんへの告白へも及んだのです。さすがに振るということで、みっちゃんも及び腰。最初は「諦めてくれない?」等の当たり障りのない言葉を向けたのですが、それでは夏目さんは納得してくれませんでした。そしてついに放った、みっちゃんの断りの言葉…
…俺の中に夏目ちゃんの椅子はないよ
きっとこの先何年経っても
ずっとできることはない 椅子として例えた夏目の言葉に合わせるように、同じく椅子に例えてのもの。自分の言葉、自分の想いに対して、ちゃんと答えてくれた。さらに言えば、
「この先何年経ってもない」とまで。ちゃんと諦めさせる…どこまでも優しくて、どこまでも辛い言葉です。ここまでちゃんと返されたら、夏目さんも受け入れざるを得ません。夏目さんの心の棘には正面から向き合えないと言ったみっちゃんですが、ちゃんと投げられた言葉を受けとめ、返してくれるその姿。夏目さんはいい人選んだなぁ、とこの時改めて思ったのでした。
また冒頭の夏目さんの言葉に呼応するように、振られた夏目さんを見て、雫が…
…泣かないで 夏目さんが好きな人にしてあげたかったことを、雫がしてくれました。この二人、良い友達ですよね。噛み合っていないようで、ちゃんと噛み合っているという。
~彼女たちなりの、泣き方が好きだ~ 斯くして初めての失恋を経験した夏目さんの陰で、もう一人失恋をした子がいました。はい、大島さんです。今回は夏目さんと大島さんが同じタイミングで失恋を経験することになるのですが、その後の二人の振る舞いにちょっと差があったので、興味深いな、と。
大島さんは振られても、決して涙は見せずに、努めて笑顔でいるようにしていました。上手く笑えないと言ったハルに対し、優しく微笑む大島さん。彼女だって相当しんどいはずなのに。そして別れた後に、すぐにハルちゃんに電話しています。そしてその後に…
思い切り泣くのでした それに対し夏目さんは、振られるとわかった途端にもうボロボロと泣き出してしまい、またその後も誰かにそのことを伝えることなく、後日自ら泣き出して気遣われるというパターンを辿りました。最初から無理だとわかっていた恋、もしかしたらという想いがあった恋、同い年、年上、様々な要因はあったのは確かです。けれども、この振られたあとのアプローチの仕方を見ると、大島さんの方が円滑に人間関係を構築できて、夏目さんの方が、やっぱり人間関係を構築するのが下手というか、甘えて良いところで甘えられないんだろうなぁ、と。
~ヤマケンの不遇っぷりがすごい~ さて、そんな中着々と振られる準備を整えている子が一人。ヤマケンくん、アナタですよ。もう最初から勝ち目のなさそうなシチュエーションであるだけに、こんな言葉もやたらとセンチメンタルに響きます…
オレは
どんなに頑張っても
毎日はあんたに会えないんだよ
なんて純情!なんて片想い!!いいよ、ヤマケンくん、これぞかませ犬の鑑だよ!!このかませ犬ポジションでありながら、圧倒的に不利な位置にいるというその哀愁が、たまらんですね。しかしさすがにこれでは可哀想だと思ったのか、今回は若干の追い風が二つほど。まずはクラス編成により、雫とハルが違うクラスになってしまったこと。距離という部分では未だ圧倒的に不利ですが、隣の席か、隣のクラスかでは全然違います。そしてもう一つ、雫が携帯電話を買ってもらったことが大きかった。今回特装版のドラマCDのパッケージでも、スマートフォンを手に持つヤマケンの姿が描かれていたりしますが、ヤマケンはケータイをいつも肌身離さず持ち歩いているキャラ。
ケータイキャラです(よくわからない)。ケータイでのやりとりであれば、俄然有利になります。少しは挽回の芽が出てきたかな…と思ったら、

携帯の電源切ってた
!
これでこそヤマケンです!!しかもこれ、直前の台詞がまた彼の入れ込み具合がわかって良いですね。
「なんでいつかけても携帯圏外なんだよ」…ああ、ここでも
漏れてる漏れてる。タイミングとかずらしたり、あれやこれや電話を何度もかけているのですね。どんだけ可愛いんだよお前!
次こそはがっぷり四つか!?と毎度思わせておいての、肩すかし。そろそろ真っ正面から行ってもいいんじゃないですか?電話じゃなく、直接言葉で。今あるハードルは、彼女を目の前にしたときに素直になりきれないこと。それを越えれば、きっとまた違った景色が見えてくるはずです。振られた景色とか。
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