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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2011.06.09
1106016239.jpg鈴木有布子「歩くんの〇〇な日々」(1)


僕達の想いは
単純につながるとは限らない



■学力も高けりゃ、倍率も学費も高い。財政界人や著名人の子女が多く通うこの高校は、名門・北辰館学院。そんな高校に通う歩くんは、親は公務員という、ごくごく普通の一般人。そんな彼が、カリスマ生徒会長・大和勇馬にスカウトされて、生徒会の会計になったけれど、変わり者の生徒会長と個性派揃いの役員たちにいつも振り回される毎日で…さらには会長の執事にまで狙われる…?どーなっちゃうの、歩くんの学校生活は…!

 鈴木有布子先生の新作でございます。財政界人や著名人の子女が多く通う高校に通う、ごくごく普通の一般人・歩くんが、ひょんなことから、カリスマ生徒会長はじめ変な人ばかりが集う生徒会に入ることになるというお話。いわゆる振り回される系の学園コメディです。主人公の歩くんは、高学力・俊足・柔道黒帯で真面目で一本気な性格というハイスペックさを誇っているのに、公務員の家庭に育ち、なんだか纏っているオーラも地味な高校生。そんな彼が、なぜかカリスマ生徒会長に声をかけられ、会計として生徒会に入ることになるのですが、そこはとんでもないスペックの変わり者達が集う場所だったのです…。世界的ホテルグループの息子であり全てがカンペキな生徒会長に、大手銀行頭取の娘でツンとした美少女な書記、国民的な漫画家の娘で元気一杯な副会長、そしてやたらとプレイボーイな先輩副会長。変わり者だらけの中にいる、真面目な性格の歩くんは、当然彼らに振り回されてばかりで…


歩くんの○○な日常
これが立場の現れ?歩くんは生徒会の役員相手に敬語で話します。同い年なのですが、やっぱりちょっと格差的なものは感じているようで。。。


 作者さんの前作にあたる「ゆうまくんのまいにち」のゆうまくんが、生徒会長として登場。物語的には繋がりのあるお話となっています。変人揃いの生徒会に、普通の子が入っちゃって…というパターンは、花とゆめやマーガレットなどでよく見られる、王道展開ですが、このお話は引き入れる側は同性。そしてお話のメインは恋愛ではなく、生徒会運営にあるというところが特徴的です。もちろん恋愛はあり、甘酸っぱい青春模様を楽しむことができるのですが、それはあくまで青春イベントの一つとしての描写で、その他にもイベントは様々。変人揃いの中、地味な主人公が振り回されつつも、真面目に熱血に問題を解決していくことで、新たな風を生徒会、そして学校に巻き起こしていきます。そして最後には、思わぬ展開が。
 
 基本的には生徒会長の大和くんが全てを把握して、計算の上で舞台を整えるという状況。全ては大和くんの手のひらの上で物語は進んでいくのですが、唯一彼が制御できないのが、出たがりの執事。彼が物語に介入することで、生徒会長の思惑とは違う方向に話は進み、よりごちゃごちゃとした展開になっていきます。ノリのよいコメディがベースとなっているので、変な方向へハイスピードのままに転がっていく様子は、すごく楽しいです。そしてなんだかんだで、生徒会の役員それぞれに高校生らしい悩みや想いがあって、それを大事に心に抱えながら日々を送っている、との描写がちらちらと出てきてすごくイイ!特に大きな展開がないようであれば、普通に面白い学園コメディだったのですが、1巻ラストにて思わぬ展開があったので、これは2巻も買わねばですよ。


【男性へのガイド】
→男の子主人公の青春モノ。男性の共感を得やすいキャラではないと思いますが、女性受けというわけでもなく、万人に愛される感じ。物語自体も、地味ではあるものの全体的に親しみやすい内容かと。
【感想まとめ】
→いや、すごく楽しめたので、なんだかとても満足感があります。そして思わぬ話題転換からの2巻が楽しみ。ひとまずオススメとしておきます。


作品DATA
■著者:鈴木有布子
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックスアヴァルス
■掲載誌:avarus(連載中)
■既刊1巻
■価格:571円+税


■購入する→Amazon

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