
ゆずれないものがあるなら
自分の足で立ち
自分の手で戦え
■モモカは転校慣れした女の子。表向きはいい子だけど、内面はかなりの毒舌派!!「今度の学校では、何か刺激的なことがないかなー」なんて思っていたら、初日から学園のカリスマにして、サバイバルゲーム部の部長である美煌につきまとわれることに。わけのわからないお誘いに、引き気味のモモカだったけれど、射撃の才能があるらしいモモカに惚れ込んだ美煌のアタックは続き、結局入部してしまうことに。。。足を踏み入れたその世界は、モモカの全く知らない世界で…!?前代未聞のサバゲコメディ、開幕!!
えーと、すごい作品が登場しましたよ。異様なほどのエロ描写で話題を集める「わたしに××しなさい!」(→レビュー)や、ど正面の百合作品である「野ばらの森の乙女たち」(→レビュー)など、今までにも増して自由度が高くなっている感のあるなかよしで、今度はサバイバルゲーム漫画の登場です。しかも面白いと来たから困ったものです。ネタありきの出オチを想像してしまいがちですが、作者さんの名前を見てください。先日月刊少年ライバル連載作で、講談社漫画賞児童部門を受賞した「本当にあった!霊媒先生」の松本ひで吉先生ですよ!もうネタですが、ネタじゃないです。本気です。というわけで、「さばげぶっ!」のご紹介です。
主人公は、転校を繰り返している女子高生・モモカ。何度目かの転校でやって来た学校での、新生活初日に、事件は起こりました。電車で痴漢に遭ったところを助けてくれたのは、なぜか拳銃を構えた女子高生。そんな彼女と、なんと転校先の学校で再会、以降やたらとつきまとわれるようになるのでした。その人の名前は、鳳美煌。非常に美しい容姿をしていて、学園内のカリスマであり、そしてサバイバルゲーム部の部長…そして超の付く変人。なぜだかわからないけれど、彼女からサバイバルゲームの才能を見出されたモモカは、彼女の勧誘攻撃を受ける日々。そして熱意に押される形で、入部をすることになります。全く想像していなかった部活に、モモカはやる気なく足を踏み入れることになるのですが…というお話。

しばしば挟まれる、サバイバルゲーム知識に銃器の知識。あくまでコメディベースで親しみやすく、そしてヒロインが突っ込みやすく。
サバイバルゲームはあくまで話のタネとして…かと思いきや、しっかりと専門用語を散りばめて、物語の軸として使ってきます。私はほぼほぼサバイバルゲームや銃器についての知識がないので(「なかよし」読者も絶対ないだろ)、出てくる単語や知識に「へー」と感心するばかり。どう考えてもコアすぎるネタの数々に、これ少女漫画誌でやって大丈夫なのかと心配になる一面すらあります。けれども話の大筋は、ちゃんと知らない人が読んでも楽しめる…というか、知らない人のために作られていて、非常に読みやすい物語に仕上っています。もちろんコメディということもあるのですが、例えばヒロインが入部をしたら「はい、じゃあ競技を始めましょう!」ってことにはならず、掴みの対戦はファッション対決であったりと、本当にお上手。
とはいえだからと言って、専門的なサバゲ要素が薄くなるかというとそうではなく、常にギリギリの線上でネタを落とし込んできます。というか、わからないけどなんか面白いという、アメトーク的な感覚だったり。またサバゲ経験者側に容易に近づかせずに、ヒロイン側に視点を固定する効果もあったりで、おバカな物語展開をしていながら、作りはすごく読み手に優しいです。本当にすごいな、と。そしてよくよく考えると、女子が銃器を振り回すってのは、「セーラー服と機関銃」という大成功例があるわけで、意外と親しみやすい絵面なのかもしれません(いや、それはないか)。ただひとつ心配があるとしたら、まだゲームをしていないということ。意外と部室コメディで終わってしまう可能性もあるのですが、それでもネタとして使えているだけで十分すごいと思いますけど。
作者さん自身、サバゲに詳しいようなのですが、その作者コメントがまたすごい。この先生はこういうキャラなのですか?松本先生の作品は初読であったので、ちょっとドびっくりしました。
部長の持つ銃についてはかなり悩みましたが
10歳用でも販売されているXM177Eにしました。
しかしこれよく見たらキャリングハンドルぶった切って
スコープつけていますね。
人の店の人の商品にとんでもないことしますよね。
10歳用でも販売されているXM177Eにしました。
しかしこれよく見たらキャリングハンドルぶった切って
スコープつけていますね。
人の店の人の商品にとんでもないことしますよね。
最後に「~ね」とか付けられても、2行目以降全くわからないので同意のしようがですね…。またサバゲ全然関係ないですが、
Q.嵐のメンバーでは誰が好きですか?
A.テレビ持ってないので今ネットで調べました。
相葉という人がサバゲで活躍しそうな顔してますね。
A.テレビ持ってないので今ネットで調べました。
相葉という人がサバゲで活躍しそうな顔してますね。
色々と突っ込みたいけど敢えて我慢だ…!というわけで、作者さんコメントもストーリーも設定もぶっ飛んだ「さばげぶっ!」出だしだけで話題になりそうですが、内容もしっかりしていて、すごく楽しく読みやすいです。今のところ恋愛に発展しそうな男子が全く登場していないですが、ぶっ飛び系のコメディであれば全然大丈夫。とにかく続きが楽しみな一作が、なかよしにまた登場しました。
【男性へのガイド】
→これはちょっと読んで欲しいです。コメディですし、親しみやすいはず。
【感想まとめ】
→出オチじゃなかった、これはちゃんと“作り”で面白い作品でした。これはオススメしたいところ。しかしなかよしの最近のフリーダムさはすごいですな。
作品DATA
■著者:松本ひで吉
■出版社:講談社
■レーベル:KCなかよし
■掲載誌:なかよし(連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
■購入する→Amazon