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Tag [新作レビュー] 2011.06.16
1106025515.jpg藤原規代「ナナナン」


みんな君を
待ってるから



■生粋の一人っ子。幼い頃に死に別れた父の言葉を守るように、几帳面で、家事全般をこなし、母の助けとなる子に育った雅紀は、母の再婚によって、新しい父親の家族と同居をすることに。ところが行ってびっくり、そこには年上ばかりの男兄弟が6人も。むさ苦しい男だらけの無法地帯ジャングルのような家で、一番下っ端の雅紀は兄達のパシリをする羽目になる…。不安だらけの大家族生活が、今始まる…!

 「アラクレ」(→レビュー)、「お嫁にいけない!」(→レビュー)などを描いていらっしゃる、藤原規代先生の1巻完結のホームコメディでございます。幼くして母と二人きりの生活をすることになった主人公・雅紀は、家事はなんでもござれの孝行息子。母をしっかり支えていこうと意気込んで、日々生活を送っていたのですが、母親が再婚相手を連れてきたことから、彼の毎日は一変することに。再婚にあたって、再婚相手の家族達と一緒に生活することになるのですが、そこにいたのは元気一杯の息子達が6人も。しかも全員雅紀より年上で、しかも大人しい雅紀とはちがってヤンチャで野蛮!ちいさなアパートに、むさくるしい男ばかりで、人使いも粗い。そのギャップにストレスを溜める雅紀だったけど…?というお話。


ナナナン
最初は気圧されていた主人公だが、次第に有利な部分を捜し出し、自分の居場所を獲得。その中をベースとして、新しくできた兄弟たちと付き合っていく。


 大家族の一員となって、慣れない環境の中で苦闘しつつも、徐々にそこに居場所を見出していくというのは、藤原先生の代表作でもある「アラクレ」でも描かれていたもの。貧乏って点も同じですね。あちらは違う意味での「一家」でしたが、こちらは本物の家族の中に飛び込んでいくもの。とりあえず終始ドタバタっぷりがすごいし、のっけから男キャラが7人も登場となると、メガネをかけている三男以外はなかなか見分けがつかないという(笑)設定からもわかる通り、コメディベースで笑わせつつも、最後は温かく終わるという家族ものの王道を進んでいきます。あまりに金銭感覚のない兄たちを見かねて、胃袋と財布を握るようになることが、家族としての居場所を見つける足がかりに。大家族の方が生活力がありそうな気がしますが、こちらは逆パターンを進みます。そういえば、料理のできる男の子というのも、現在連載中の「お嫁にいけない!」と同じパターンですね。ということで、成功例が二つ合わさったような、美味しい作品となっているわけですね。
 
 男ばかりで非常にむさ苦しいという環境ですが、絵面的には少女漫画ですし、そんな感じは受けず。とはいえ女性キャラが登場しないのは寂しいな…なんて思っていたら、中盤に登場してきます。それが、同じクラスの女の子であり、大家さんの一家でもある虹乃ちゃん。この一家がぎゃくに女性固めて登場するので、バランス感は良し。ただし人数がすごいことにな(以下略) 1巻完結ということで、結構慌ただしく物語は終わっていくのですが、最後一家の長男視点で語られるところが、個人的に感慨深かったというか、とっても良かったです。もう少しゆっくりな時間で、巻数付いた所で読んでみたかったというのが正直な所ですが、1巻でもしっかりお話としてはまとまっており、消化不良の感はありません。しかし一番無計画のはお父さんですよね、うん。もうちょっと別の方向で頑張ればですね…


【男性へのガイド】
→男ばかりのむさ苦しい環境は、大丈夫ですか?あ、でも主人公の雅紀くんが抜群に可愛いので、以外と万事OKかもしれません。
【感想まとめ】
→藤原先生の安定感。慌ただしくも、しっかりと物語を完結。良かったです。ホームコメディは堅いですな。


作品DATA
■著者:藤原規代
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:ザ花とゆめ(連載中)
■全1巻
■価格:400円+税


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