西炯子「姉の結婚」(1)
あなたはほどほどの愛しか知らない■「結婚とか恋愛とかは、もう、いいや…」
そう思い、女一人で静かな生活を送るため、故郷に戻ってきたアラフォーの岩谷ヨリ。そんな彼女のことを、妹・留意子はとても心配している。そんなある日ヨリは、勤務先の図書館で出会った超イケメン男&超強引な男・真木誠と何やらややこしい関係が始まってしまい…!?以来彼にやたらとつきまとわれるように…。奇才・西炯子が贈る、オトナの男女のための不器用系恋愛バイブル、第1巻!!
「娚の一生」(→
レビュー)などでブレイク中の、西炯子先生の新作になります。新作と言っても、発売したのは結構前だったりするのですが。掲載誌は、「娚の一生」と同じフラワーズ。ちょっとタイトルも引っ掛けたような感じになっていて、期待感が嫌でも高まるというものです。「姉の結婚」ということで、妹視点からのお話かと思いきや、基本的には姉視点。突如表れたイケメン医師に迫られまくる、アラフォー女子・ヨリが主人公になります。ちょっと前まで東京で働き暮らしていたものの、色々と考えるところがあり3年前に故郷に凱旋。「恋愛とかはもういいや」と、独り身だけどそれなりに気楽に、地元の図書館で働いているのですが、妹が突然自分の部屋に転がり込み、一緒に生活するように。騒がしくなると思っていた矢先、今度はイケメンだけどストーカーチックにつきまとい求愛しまくる医師が現れ…というお話。

まあとにかく「常識」とか「良識」というものが通用しない相手。余程想いが強いのか、相手の都合などお構いなしに、自分の気持ちをぶつけまくる。こんな男を、西炯子先生はどう描くのか、楽しみです。
今では「なかよし」で描いたりと、活動の幅を広げまくっている西炯子先生ですが、個人的にはフラワーズというか小学館のイメージが強く、ここでの作品が好みであることが多いような気がします。前作「娚の一生」も、仕事はしつつも第一線は退き、田舎へと戻ったアラサー女性がヒロインでしたが、こちらも仕事を辞めて東京から故郷へと帰ってきたアラフォー女性がヒロイン。そんなヒロインが、戻った先で、過去に思う所のある(けれどもヒロインにはほぼほぼ大事でない出来事)男に巻き込まれ、やがて恋に落ちていくというパターンも、なんとなく似た所があるような。
けれどもダンディでギラギラしており非常に格好の良かった海江田教授と異なり、こちらの作品の相手役はちょっと引いてしまうほどにアタックアタックアタック。図書館に通い詰め、ヒロインを出せ出せとごねたり、どこまでも追いかけてきたりと、もはや好きとか嫌いとかじゃなく、執着というレベルで、個人的には「なんだこいつ(引き気味)」という印象が(笑)そういう風に感じているのは、ヒロインもまた同じ。作者さんの狙い通りなんじゃないかと思います、うん。得体の知れなさを1巻では押し通し、2巻以降なんだかよくわからないけど懐柔されていくという経路を辿りそうなイメージ。とにもかくにも、「娚の一生」とは異なり、なんだかやたらと騒がしいというか、落ち着かないお話になっています。
現時点では、他の西炯子作品ほど「面白い」という感じはないのですが、「興味深い」という感覚はどの作品よりも強いです。恐らく真木の積み重ねた想いというものが明らかになるにつれ、物語はより味わい深いものになっていくと思われ。ただヒロインにそっくりな人を奥さんにしているという所とか、なんか恐ろしい執着心が隠されていそうで、知りたいのに知りたくない部分もありますね(笑)
【男性へのガイド】→男の得体の知れなさに引く方がおられるかも。西炯子作品って男性もお好きなんですかね?
【感想まとめ】→どの視点で読めば良いのか。第三者が基本になるかと思うのですが、あまりに明らかでない部分が多く、ちょっとやきもきしたりしますね(笑)とりあえず続きが知りたいお話。楽しみです。
■作者他作品レビュー
西炯子「ひらひらひゅ~ん」西炯子「ふわふわポリス」 西炯子「うすあじ」「西炯子のこんなん出ましたけど、見る?」作品DATA■著者:西炯子
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:flowers(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
■購入する→
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