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Tag [新作レビュー] 2011.07.17
1106047563.jpg巳蔦汐生「きぼうの灯かり」



僕を導く灯台は
彼女だった



■灯台にまつわる物語を多数収録。
 救難信号を出した船の救助に行ったきり戻ってこない両親。「いつも通り過ごしていれば、いつも通り帰ってくる」そう信じて、今日も愛猫のクロと灯台を守り続けるローラ。しかし一週間が経っても連絡はなく、日々積もるのは不安ばかり。そんな彼女に告げられたのは。。。灯台に、出会いも、別れも、人生のなにもかもがある…日本唯一の灯台漫画、登場です。

 ZEROコミックスをご紹介するのは、「ドントクライガール」(→レビュー)以来の、通算2冊目になります。表紙の明るさと、帯の言葉に興味惹かれ、即購入。日本唯一の、灯台漫画とのことです。作者さん自身が灯台大好きということで、全編に渡って灯台フィーチャー。灯台にまつわる8編の物語のほか、作者さんによる灯台解説漫画が結構な分量収録されており、これ一冊で灯台のあれこれを学ぶことができます。個人的にすごく惹かれたのが、海外に複数あるという、灯台に泊まれるという宿。岸壁に立つ灯台が宿泊施設になっており、なかなか幻想的な雰囲気です。
 
 さて、物語の方はというと、国内外を舞台に、灯台が題材として描かれた作品が8編ほど。灯台で働く人の話もあれば、漁村に生まれたために灯台とは切っても切れない生活をしている人の話や、生活に根付いた一つの「モノ」としての灯台が描かれたりと、使われ方は様々。私なんかは海なし県の出身であるので、灯台というのはどちらかというと身近ではなく、非常に物珍しい存在なのですが、海岸沿いに住む人たちからすれば、その存在というのは生活に根付いたもので、一言で「灯台」と言っても、様々な表情があるのだなぁ、とこの作品を読んで思わされました。


きぼうの灯かり
灯台と美少女。東北の漁村を舞台に描かれる「霧に沈む灯」が、個人的には青春汁たっぷりで非常にお気に入りでした。


 個人的なお気に入りの話は、漁村に育った少年と、他所からやって来た灯台長の娘を描いた「霧に沈む灯」。昭和の東北を舞台に描かれるのですが、田舎ならではの空気感と、その中に色づく少年少女の瑞々しい想いというのが、変に色づけされることなく描き出されているようで、非常に印象に残りました。東北美人は黒髪ロングとか思ってみたり、主人公の少年の一生懸命さと、ヒロインの少女の美しさが、いい具合にマッチしていました。こちらの作品は、2話完結のお話となっていて、その二つを跨いで、最後キレイに完結するのも個人的にポイント高かったです。
 
 どの読切りも、それぞれ違った形で幸せの形を提示してくれるのですが、その元になっているのは、家族や友達との繋がりといったもので、何も恋愛のみに縛られることはありません。灯台がつなぐのは、船だけではなく人間の心の道標にもなるんだよ、というのが全ての物語の根底にあり、それらが違った形で描かれているのです。恋愛ストーリーがお好きな方にはちょっともの足りないかもしれませんが、様々な人間関係を描いた温かなお話がお好きという方にはうってつけ。お値段の割にページ数少なく見えるのですが、カキコミは結構あり、読んでからのボリューム感はそれなりです。


【男性へのガイド】
→灯台漫画というか、ヒューマンドラマという感じ。灯台というところ以外、統一感はないですが、そういうのが気にならないというのであれば。
【感想まとめ】
→灯台漫画というのはびっくり。とはいえ灯台は物語の主題というよりは、人々の生活や生き様というところに自然に溶け込んでいるので、それほど目立つ感じはありません。それゆえに、統一感を感じなくさせているのかもしれませんが、全体通して温かく幸せなお話で、個人的には満足の一冊でございました。


作品DATA
■著者:巳蔦汐生
■出版社:リブレ出版
■レーベル:ZEROコミックス
■掲載誌:クロフネZERO
■全1巻
■価格:600円+税


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
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BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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