
いつでも同じ目線でいたいから
もっと胸はって
こっち歩いておいで
■7巻発売です。
黒沢大和と付き合って1年が経った橘めい。大和の友達・海から突然告白されて戸惑うものの、むしろ一段と大和との絆が深まることに。逆に、めいを陥れようとしていためぐみは、次第に孤立し始めていた。そして1周年記念の1泊旅行でめいは大和と、部屋に二人きりに…。とうとう、ついに…!?
~まだ、まだ早いですか…!~
7巻発売です。デザートって淡々と単行本が刊行されるイメージなのですが、この「好きっていいなよ。」だけはちょっと単行本の刊行ペースが遅く感じることがあります。本当に遅いのか、単に待ち遠しいだけなのかわかりませんが、毎回非常に単行本の発売が楽しみな作品の一つであることには間違いありません。ということで、デザートの年末付録であった、「好きっていいなよ。」のカレンダー、使ってます。人はとてもじゃないけれど呼べません。
さて、本編でも人が呼べない、二人以外に誰もいないというドキドキな状況から物語はスタートします(私は一人でドキドキもしない生活ですが)。ティーンズラブの作品を多数描かれている葉月かなえ先生ですから、そろそろあっても良いはず。。。というか、その瞬間こそが一番のみどころになる予感すらしているので、ちょっとというかかなり期待して板のですが…

寝落ちたー!
ここで寝る。余裕がないフリしてなんてフリーダムな子なんでしょう。めいはこの前の夕食の場面でも、食べ放題を選択し、緊張しつつも豪快にご飯を食べていました。食欲に睡眠欲、緊張していてもその欲求だけは削がれることのないめいのその性格、なんだかすごく素敵です。正直というかなんというか、大和もそういう所に少なからず魅かれる所があったんじゃないのかな、なんて思いました。そんな生物の三大欲求のうち、二つを制した彼女。残る一つは「性欲」なのですが、ここはまだ知らない世界。葉月先生も、大和も、彼女にはまだ早いと理解し、まだまだ我慢します。大和とか偉いですよねー、しかし。めいが寝られるようにと、シャワー1時間浴びるなんて。「焦って前に進むより、少しずつでも、めいが俺に歩み寄ってくれることの方が、俺はずっと嬉しい。」なんて、性欲溢れた高校生の男子がなかなか言えたもんじゃないですよ。ましてやホテルで、シチュエーションは絶好。彼女から歩み寄って来てくれるまで…一見「待つだけかよー草食系だな」なんて思わせつつも、言った当人が大和ですから、もうそこには余裕と優しさしか感じられないという、“※ただしイケメンに~”の本領を見せつけられた気がしましたよ、はい。
~ますますめぐみの魅力が~
さて、初登場時から非常に気になっていたというか、気に入っていたキャラであるめぐみが、7巻にて大きくクローズアップされることとなりました。これまでも彼女の心の傷や、決して恵まれたとは言えない生い立ちが描かれていましたが、今回描かれたのは彼女の“弱さと強さ”。ネットの掲示板にて、自分に対する根も葉もない噂や、貶めるような評価が書き込まれていた時、もちろん傷つくわけですが、その時に発したこの言葉が鬼気迫っていて、本当に心掴まれました。

あたしは5年間ずっと努力してきたつもりだわ。
人に対しても 自分に対しても
もう二度と
あたしの上に人は立たせない
努力でのし上がってきた者だけが言える、この言葉。勘違い野郎がこのフレーズを言ってもネタにすらならないですが、めぐみは本当にこれまで努力を重ね、この地位を獲得してきました。私は努力でのし上がり、そのことのみを頑に自分のアイデンティティと信じるキャラが大好きなのですが、めぐみってモデルという仕事についてはまさにそのタイプで、本当にカッコいいなぁ、と。さすがに10代の女の子ですから、落ちてしまうこともあるのですが、彼女が積み重ねてきた努力は、数日間の堕落で崩れさるようなものではありませんでした。友達たちの励ましによって、見事よみがえっためぐみの次の台詞とか、もう素敵すぎて震えました…

あたしは表で生きていきたいのよ。
先のコマとは、目の輝きが違います。もうこうなったら誰も勝てないですよ。そんな彼女が、再び自分の恋に向き合い、「前に進んでいく」としたら、さてどうなるでしょう。めいにとっては、最大のピンチでございます。めぐみが真っ正面からぶつかるとき、どんな表情を見せてくれるのか、またどんな言葉を残してくれるのか、今から楽しみで仕方ないです。
~表だけでは行きていけない人もいる~
さて、今回「表で生きていきたい」と言われ、ぐぬぬとなった女の子がいたのですが、この子についても個人的にはちょっと気になっていたり。

彼女の名前は泉ちゃん
泉ちゃんは、ネットでの活動が評価されて、読モとしてデビューした特異な経歴を持つ子でした。今回、掲示板にあることないこと書き込み、めぐみを貶めようとした結果、先の言葉で返り討ちに遭ってしまうわけですが、彼女にとってはなかなかあの言葉は厳しかったかな、と。めぐみにとっては、ネットというのは完全に裏の世界ですが、泉ちゃんにとっては、ネットというのは今までの自分の活動のメインフィールドであり、半ば“表”のような感覚があるほどに、大切な存在でもあったんじゃないかな、と。めぐみにとっての“努力”と同じように、彼女にとっての“ネット”は自分を形成する大きな要素であるはずです。私もこんなブログを運営していて、気がつけばこちらで名乗っているハンドルネームで、ムック本に文章を書いたり、テレビに出演したりと、今やネットでの活動というのは私の生活の中で切っても切り離せないものになりつつあります。なかなかネットやブログのない生活というのは考えられないですねぇ。もちろんネットの中での“表”と“裏”という部分はあるのですが、あそこまでズバッと言われてしまうと、そういう人にとっては結構キツいんじゃないかな、とも思うわけです。“裏”の部分が本人にとってのホームグラウンドであり、自信の裏付けになっている場合は、容易にそれを切り離して生きていくことはできないと思うんです。あ、でも悪口とかはやっぱムカつきますし、落ちますよね。憎むべきは、そういうネットの“裏”の部分であり、“負”の部分。ネットでの風評については、あとがきで葉月先生も書かれていますが、その部分からこのお話で表したかったことを受け取れればいいなぁ、と思います。
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