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Tag [新作レビュー] 2011.07.30
1106035672.jpg群青「ノッキン!」1巻


すまない
帰してやれなくて…



■国で五指に入ると言われる名家・クロイ本家。その家の後継候補でありながら、その権利を捨てとある屋敷の所有権のみを手に入れた少年・モモ。しかしその屋敷には、すでに見目麗しい男女たちが住み着き、生活を謳歌していた。しかも彼らは人ではなく、世の中で「マガモノ」と呼ばれる存在。少年・モモは、マガモノが好きではなく(嫌いでもないが)、自分に刃向かうマガモノは全て消し去ろうとしている。そんな彼がロータス館の愉快なマガモノ達に出会ったら…!?

 「橙星」(→レビュー)などを描いておられる、群青先生のゼロサムでの新連載になります。いつもの群青先生のテイストたっぷりの、ファンシーで、だけどちょっぴりダークな異世界ファンタジー。物語の舞台となるのは、とある国にあるとある屋敷。そこには「マガモノ」と呼ばれる存在が住み着いており、街の人々と共に共生しています。そんな平和な屋敷にやってきたのは、国でも五指に入る有力な名家・クロイ家の後継候補の一人・モモ。見た感じ粗雑で乱暴な少年・モモは、後継者となる権利を捨て、「マガモノを根絶やしにする」ために、この屋敷にやってきたそうなのです。なんとも奇妙な存在である、マガモノの正体、そしてそんなマガモノが住み着く屋敷にやってきた変わり者の少年の、おかしく賑やかな毎日が、始まります。
 
 「マガモノ」ってなんなの?というところなのですが、簡単に言うと、異世界にいる存在の魂を、この世界に存在させるために現実世界の“物”にその魂を移したもの。ちょっとニュアンスは異なりますが、物に魂が宿ったというのが近いでしょうか。雨隠ギド先生の「やさしさにふれてよ」(→レビュー)の付喪神とか。見ためはまんま人間。ただちょっと、変わり者が多いような気もします。個人的には難しい漢字は全然わからない、筋肉バカのタイコがお気に入り。もう流れとかガン無視で場を引っ掻き回すその奔放さが、たまらなく魅力的です。


ノッキン
その屋敷で生まれたマガモノは、やがて寿命を迎えると、この屋敷に戻ってくる。そしてまた、元の世界に帰るのです。


 「形あるものいつかは壊れる」と言うように、物に宿っている以上、宿主である「物」の寿命が来れば、マガモノ自身もその形を保っていられなくなります。そうなったマガモノは、化け物のように形を変え、時に人を襲い、そして最後は生まれたお屋敷へと帰ってくるのです。物語の舞台となるのが、そのお屋敷。「マガモノ」として一義的に捉えられることの多い彼らですが、この場はマガモノにとってはちょっと特殊な場所であるため、様々な表情を見せることになります。それが、物語における一つのミソ。
 
 物語では、そんなマガモノたちの愉快な毎日が描かれるのかというとそうではなく、どちらかというとマガモノに恨みを持ち、殺意たっぷりに現れる少年・モモの成長・変化がメインとなります。クロイ家の血筋というだけで、マガモノに襲われることが多いのですが、屋敷に来てみたら、なんだかそうじゃないマガモノがいっぱいいる。触れ合いを通して、そのギャップと、彼のルーツと、そしてマガモノのルーツを知り、そして自分なりに消化し、向き合っていくのです。無表情なその裏で揺れる感情の機微を、行動から読み解く味わい深さが良いですね。

 さて、毎度毎度群青先生の作品をご紹介する時に、この言葉を使っている気がするのですが、「基本的に物語背景の説明が後手後手になり、非常に不親切でわかりにくい物語」に仕上っております。今回も「マガモノ」という特殊な存在が登場する、独特の世界観の中物語は展開され、パッと見とっつきにく感が。けれどもこういうお話を描くところも含め、群青先生の作品の魅力でもあるわけで、私は大歓迎でございます。あと今回は、他の作品に比べると、比較的親切。メタ発言を繰り返す家主がいたり、しっかりと説明パートが入ったり。今までの作品は、賑やかにしつつもその裏にある暗い部分やシリアスな部分が邪魔して、安易に説明できない雰囲気があったようにも映るのですが、この作品についてはダークな部分は比較的抑えられていて、安心して読む事ができます。あ、でもちょっととっちらかってる感は拭えず。たぶんわざとなんでしょうけど。


【男性へのガイド】
→群青先生ってどうなんでしょ。あんまり男性読んでるイメージないですが、っていうかそもそもそんなにメジャーでないのか。
【感想まとめ】
→群青先生のやり方でありながら、テイストは若干異なる印象。ややとっちらかった1巻を、2巻以降どうまとめ掃除するか。今はまだ、キャラ頼りで物語が本格的に動いてきていないという印象です。


■作者他作品レビュー
鉢植えの根元に住む、手のひらサイズの女の子:群青「こいし恋いし」1巻
*新作レビュー* 群青「獏屋鶴亀放浪ノ譚」
*新作レビュー* 群青「黒甜ばくや薬笥ノ帖」
半人半妖の“しましま”たちと、人間たちが住む町で…:群青「しましま」


作品DATA
■著者:群青
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税


■購入する→Amazon

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コメント

いつも漫画を買うときに参考にさせていただいてます
最近新しい漫画は読み尽くしていて、何かオススメはないでしょうか?
・シンデレラストーリー
・ベタに実は美少女設定(笑)
・料理上手な女の子
などが好みです!
儚くて凜とした作品も大好きです抽象的ですが

作者さんとして
ふじもとゆうき先生
末次由紀先生
仲村佳樹先生
ヤマシタトモコ先生
椎名軽穂先生
冬目景先生
河内遥先生
田中メカ先生
津田雅美先生
むんこ先生
斎藤けん先生

が好きです!
アドバイスいただけたら光栄です!
From: 遊 * 2011/08/02 23:44 * URL * [Edit] *  top↑

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