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Tag [オススメ] 2011.08.05
■7月の新作の豊作っぷりはとんでもないものでした。というのもその殆どがITANの新刊によるものだったのですが。レビューできていない作品についても、良作揃いで実に至福の一か月でした。そちらについては、今月ご紹介できればと思います。というわけで、7月分のオススメ作品のご紹介。順位付けはあくまで目安。リンクをクリックすると、レビューに飛びます。


1.雲田はるこ「昭和元禄 落語心中」1巻
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…出所したての元ヤクザの青年が、気難しい落語の名人の元に弟子入りするという、落語の世界を描いた物語。個人的にはこれが今年の私的新作一位になるんじゃないかと。それぐらい面白く、何度も読み返したい気持ちにさせてくれる作品でした。是非ともチェックを。




2.海野つなみ「小煌女」4巻
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…ここに来てまさかの恋愛大驀進。こんなお話になろうとは、全く想像していませんでした。巻が変わるごとに、その表情を大きく変え、そして夢中にさせてしまう、その引き出しの多さに脱帽です。完結手前の4巻、ここで一つ是非ともチェックを。




3.葉月かなえ「好きっていいなよ。」7巻
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…デザートの連載作では「となりの怪物くん」と並んで楽しみな作品です。今回はライバルであるめぐみの魅力と、その裏返しの弱さが多く描かれました。ますます素敵。どのキャラも、みんな自分を持っていて、そしてちゃんと相手と向き合える真っ直ぐさを持っているわけで、それがそのまま物語の魅力へと繋がっているのだと、改めて思わされたのでした。




4.びっけ「赤の世界」
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…びっけ先生の贈る、珠玉の短編集。びっけ先生の作品はどれも大好きなのですが、これは予想を上回る面白さでした。短編集ということで、個々の物語が魅力的なのはもちろん、しっかりと各話でつながりを用意し、作品全体としての厚みももたらしています。




5.藤原よしこ「だから恋とよばないで」4巻
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…こちらの恋も、駆け出してきましたね。ついに先生が振り向いた…?キスというサプライズもさることながら、個人的にはやっぱり頭なでなでが好きでして。。。急展開を見せそうな5巻へ、ターニングポイントとなる4巻でした。




6.アサダニッキ「青春しょんぼりクラブ」1巻
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…全ての非モテの皆さんに贈る、学園ラブコメディ。恋愛に向いてない、恋愛運がとことんない、そんなちょっと哀しき男女が贈る、恋愛奮闘記。これが初の単行本とは思えない熟れ具合と、テンポの良さ。良い意味で秋田書店っぽくない、とっつきやすさのある一冊でした。




7.亜樹新「フェティッシュベリー」2巻
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…変態揃いのフェチッ子コメディになるのかと思いきや、2巻では切なさ&青春の風味大増量で、ちゃんとした恋愛ものの様相を呈してきました。どちらに転んでも、個人的には美味しい作品。まぁとにかく男女共に可愛くてですね、もう大好物です、はい。




8.八寿子「失恋のススメ」
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…ベツコミの非モテ代表(と勝手に思ってる)八寿子先生渾身の、失恋ラブコメ。とにかく空回りしまくりのヒロインと、その思考回路にあなたもきっと共感するはず。八寿子先生持ち前のパワフルさに加え、今作は何か特別なものを感じるお話でした。
 



9.末次由紀「ちはやふる」13巻
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…毎巻クオリティ高いと、なぜか月間オススメでは埋もれる印象があるのですが、多分気のせいじゃないです。今回も試合が多くて面白かったです。そして一試合ごとに、スポットの当てられる選手が違う。団体戦を、しっかりと団体戦として描くその真摯さに胸が熱くなりました。




10.羽海野チカ「スピカ」
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…「ハチクロ」 羽海野チカ先生の初期短編集です。確かに羽海野先生の作品であって、そうじゃない何かがある、不思議な印象。「原点」とまでは行かないまでも、確かに羽海野先生を形作っているものが感じられる作品集となっていました。大判ですが、お値段は抑えめでお手頃。




+α.田中相「地上はポケットの中の庭」
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…ITANが満を持して送り込んだ、期待の新人さんのデビュー単行本。独特の雰囲気で描かれるその世界は、その場所の、季節の匂いや音が聞こえてきそうなほど。派手ではないですけれど、確かに引き込まれるもののある、要チェックの漫画家さんの登場です。




+α.壱春コマ「オズのかかし使い」
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…オズの魔法使いからのインスパイアとでも言いましょうか。不器用というか、人付き合いが苦手な魔法使いと、そんな彼女に選ばれたかかしが紡ぐ物語。ちょっと拙さを感じる絵だからといって侮る事なかれ、温かさと優しさに触れられる親しみやすいお話なんですよ。
 
 



■その他オススメタグを付けた作品&オススメ続刊
宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」9巻
南塔子「360°マテリアル」4巻
サカモトミク「こどものもーど」
K「八月光」
いくえみ綾「プリンシパル」1巻
神尾葉子「虎と狼」4巻
西炯子「姉の結婚」1巻


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。