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Tag [新作レビュー] 2011.08.08
tyoujyuuhyakka.jpg十月士也「椎名くんの鳥獣百科」(1)



図鑑の常識は
個々の個体には通用しない



■大学で動物の研究に勤しむ椎名了は、無愛想だがその知識と技量は確かな助教。そんな彼が今も今までも、最も力を入れて相手をしてきた動物は、幼なじみの花千歳。若くして准教授となった心優しい花だけど、病弱で生活力もないために、椎名くんがいつも面倒を見ている。ペンギンと人の世話には慣れている、そんな新米動物学者の整体観察ストーリー、待望の第一巻登場です!

 アヴァルス発の、動物学者もの。椎名くんの鳥獣百科ということからわかるように、主人公は椎名くんです。表紙の表情を見れば察しがつくと思いますが、とにかくクールなメガネくん。まだ20代でありながら、その知識と技量、そして実績は確かな物があり、他大学から准教授就任のお話も来るくらい。けれどもそんな話に前向きでない彼。何故かと言うと、もちろん収入が変わらなかったり、自分の研究の時間が少し削られてしまうというのもあるのですが、目を離せない人が近くにいるから。それが、幼なじみの7つ年上の准教授・花。ペンギンを愛で、デレデレしているばっかりの頼り無さげな彼ですが、天才と呼ばれるほどの研究実績を残しており、将来を期待されている存在でもあります。けれども生活力は皆無で、椎名くんの世話なしでは生きていけない状態。研究も大事だし、処世術も必要、その上親友の面倒まで…と、なんだかとっても大変な椎名くんの毎日を描き出していきます。


>椎名くんの鳥獣百科
大学での権力争いや、予算取りといった話題も頻繁に登場。鳥獣というよりは、大学での生き方という部分まで包括しての描き出しとなる。


 鳥獣ということで、研究のメインフィールドは鳥類。ペンギンやオウムや、ペリカンなどはレギュラー的に登場します。とはいえ大学として鳥類専門としてやっているわけではないので、その他にも様々な動物が登場。物語は、動物の生態にスポットを当てたアニマルものというよりは、大学での研究・指導層の日常や権力争いといった部分を大きく取り入れた、大学研究室マンガという感じ。
 
 名物教授がトップに君臨し、その下には将来有望な若手がうようよ。自分に理想的な研究環境を手に入れるには、大学で良いポストを獲得し、優秀な人材を取り巻きにし、逆にまた邪魔者を排除することが必要で、それぞれの人物が、色々なやり方で他者へとアプローチと牽制を繰り返します。二言目には「研究費を上げて」というように、理系の研究室にとって、研究予算というのは切実な問題。読んでいて先立ち感じられるのは、「研究って面白いんだなぁ」ではなく、「大学での人付き合いって大変なんだなぁ」ということ。但し真っ正面から覇権争いを描くのではなく、一人の助教の日常という部分から切り取っていくので、どす黒さはあまりなく、比較的自然に受け入れることができます。

 登場人物は皆々しゅっとした男性陣であり、また椎名くんの日常には、離れることのできない親友の世話というルーチンが含まれているわけで、いわゆるそういうの好きな女性にとって非常に嬉しい作り。見ため以上に殺伐としているというか、単純に好き嫌いだけではいられないその微妙な人間関係のソレが、いい感じにスパイスとして効いており、馴れ合いでうふふするのは飽きたという方には良いのではないでしょうか。


【男性へのガイド】
→動物ものを期待しているのなら、ちょっと違うかも。物語の骨組みは男性的ですが、その上に被さっているものは女性向けのもので、そのギャップをしっかりとご理解の上でどうぞ。
【感想まとめ】
→動物知識全開でくるのかと思いきや、意外な方向でふくらみを見せるそのお話に思わず見入ってしまいました。どういった落としどころになるかはわかりませんか、なかなか興味深い内容ではあります。


作品DATA
■著者:十月士也
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックスアヴァルス
■掲載誌:アヴァルス(連載中)
■既刊1巻
■価格:571円+税


■購入する→Amazon


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