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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.08.10
1106047073.jpg渡辺カナ「マシカク・ロック」


私の歌を聞いてほしい人はいる
私の気持ちを伝えたい人がいる



■校則その他、決められた事なら全て守る!夢は公務員!そんな堅物女子・喜多川都の唯一の趣味は、ギター。けれども「バンド活動」は校則で禁止。そんな中、一人教室でたまたま手にして鳴らしたギターを、クラスメイトの不真面目青年・東くんにバレてしまい、バンドのメンバーにスカウトされる。バンド活動は校則違反、けれども断れないし、それに何よりバンドは楽しい!真面目に正しく清らかに!青春短し、鳴らせよ乙女!

 渡辺カナ先生のデビュー単行本になります。集英社の新人さんの単行本のデザインって、どれもキラキラしていて、ポップな印象が強いのですが、こちらもまた魅力的な表紙で、書店で非常に目を引きました。ヒロインは、校則厳守で日夜勉強に励む、超真面目女子・喜多川都。それは、ミュージシャンを目指して夢破れ、その後苦労したという今は亡き父の言葉がきっかけになっています。そんな彼女の唯一の趣味は、ギター。バンド活動は禁止されているので、誰にも言うことはありませんでしたが、ふとしたことがきっかけで、クラスメイトの不真面目な生徒・東くんにそのことがバレてしまい、彼のバンドに入ることになるのですが…というお話。


マシカクロック1
一人で弾くのも楽しいけれど、みんなで弾くと、もっと楽しい。


 初めての校則違反。けれどもバンド活動は楽しいし、それに間違ったことだとは思えない。「ただただ真面目に規則を守り生きていく事」を良しとして生きてきた少女が、初めて夢中になれるものに出会い、一生懸命それに向き合い訴える、その姿は青春そのもの。反発心が強く出たような、なんとなく素人的に想起するロックのメンタリティを持っているワケではなく、出来る限りは決めごとは守りたいと思っている所が、新鮮な所でしょうか。見ためはそのまま、ださくて垢抜けず、キャラも変わる事はありません。その辺もまた、新鮮というか。
 
 彼女の価値観を形成していたのは、大好きなお父さんとお母さんで、今の生き方もお父さんの言った事だからこそ心から信じて実践してきました。それが初めて、校則よりも大事なものが出来、新たな世界に踏み出していく。そしてそのことを、しっかりと母親は受け入れ認める。その過程はまさに、一人の少女の成長と親子関係の成熟をありのままに映したもので、感動的。さらにそこを起点に、友達付き合い、さらには恋と、初めて経験する感情が彼女に降ってきます。好きなことに向き合うと、こんなにもたくさんの感情に出会う事ができるのだと、3話という短いお話の中で感じさせるのはすごいな、と感動しながら思う事ができました。

 なんて、個人的にグッときたのは、表題作よりも2話目に集録されていた読切り「となりのハナコさん」。3年生のクラス替えにて隣になった顔も知らない子が、休み中に亡くなっていたというところから始まるお話。物語は終始主人公の男の子の思考によって進行していくのですが、それが実にセンチメンタルというか、すごくツボに入る内容で。喋った事もなければ、顔もわからないので、葬式にも行かなかったけれど、それでも死んだとなれば考えないわけがなく、あれこれと思いめぐらせます。そして行きつく、ひとつのヒント。既に亡くなった人を相手に考えを巡らすのは、不毛で悲しいものではありますが、そうして得た答えというのは、その人を前向きな気持ちにさせる薬のような効果もあるわけで。非常にしっとりとした雰囲気の中、優しく静かに、最後にあのような形で救いを用意してくれて、すごく良かったな、と。彼の妄想でしかないのかもしれませんが、それでもいいのです、それでも。


マシカクロック
2話目「となりのハナコさん」。ハナコさんというのは、仮で付けた名前。終始主人公の男の子の回想で進んでいき、しかも登場人物も少ないという、少女漫画としては非常に珍しい形の物語。これがなんともしっとりセンチメンタルで良かったのですよ。

 
 3話目はまたしても元気いっぱいな青春の匂いたっぷりのお話。幼なじみの3人が、思春期を経て大人になろうとする過程の中、その関係を嫌でも変えていかなくてはならないということを描いた物語です。ラスト「つい目で追ってしまいました。」は、作者さんのデビュー作。金髪が目にウルサいと嫌っていたクラスメイトに、いつしか心が…という内容。どれもキラキラしたお話で、おじさんには眩しすぎます。。。なんて。まだまだ粗い感はありますが、魅せ方や目の付けどころなど、キラリと光るものは確かに感じられる、期待の漫画家さんです。青田買いも含め、是非ともチェックしてみてください。面白かったですよー。
  
 
【男性へのガイド】
→2話目なんかは男の子視点で、しかも思考が飛躍して気持ちが高まってくところなんて、いかにも男子なメンタリティだと。その他も、青春恋愛ものがお好きな方であれば、是非とも。
【感想まとめ】
→イヤーよかったです。普通に面白かったのもそうですが、その引き出しの多さと魅せ方の上手さにびっくり。これからも追いかけ続けたい漫画家さんです。それも込みで、オススメで!


作品DATA
■著者:渡辺カナ
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレットほか
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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コメント

はじめまして、れどなと申します。
私も男性ですが、別マは毎月買って読んでいまして(別マSはたまに忘れる……)
マシカク・ロックは1話の時点から友人(男)と「これいいね」と話題になっていました(笑)
個人的に渡辺さんの絵はすごい好みで、さよならさんかくや君の空にふる夏のあめ等は雑誌から切り取って保管してあったりします!
マシカク・ロックはきちんと3話でしめくくったのはとてもよかったですね、8月1日発売の別マSにまた新作が載ってるようで、近くのコンビニなどでは売ってないせいか別マSはどうも買い逃し気味ですが、なんとか手に入れたいと思います(笑)
From: れどな * 2011/08/12 23:00 * URL * [Edit] *  top↑

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