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Tag [オススメ] [BL] 2011.08.15
1106048512.jpgこめり「いとしのこいしの」


美しい思い出(予定)の人が
目の前にいる事の方がハプニングです



■高校生の修はネットで知り合った年上の野田さんとお付き合い中。趣味も合うし、真面目で優しくてスゴく愛されてるって分かってる。けれど、時々不安になるんだってば…!なんで家に行っちゃいけないの?なんで仕事の話をしてくれないの?なんでデートは6時解散なの!?もしかして…もしかして…!募る不安から、疑心暗鬼になる修は、真相を確かめるために…。恋する男子の疑心暗鬼を面白おかしく描く表題作に、独特の切り口で綴る新鋭こめりのファーストコミック登場!

 久々のBLレビューです。もっとBL作品ご紹介したいのですが、少女マンガの新刊だけでも現在レビューできてない作品が多くて、なかなか手が回らないというのが現状…。なんとか改善したい!ということで、こめり先生のデビュー単行本のご紹介です。安心の東京漫画社マーブルで、この表紙。「あ、ほのぼの系だな」と簡単に見当ついたのですが、やはり内容もそのままで、非常に読みやすかったです。
 
 読切り中心に、5シリーズ6編を収録。どれも学生たちが主人公で、希望に満ちあふれているのだけど、力のない自分、マイノリティとしての存在ということも自覚していて、どこかみんな後ろ向きで、ささやかな幸せを噛み締めるというような男の子という印象がありました。表題作は既に恋人がいるシチュエーションですが、その他は基本的には付き合う以前。とにかく初々しく微笑ましい、遠慮しがちで時に大胆な恋の駆け引きを楽しむことができます。「泣きたくなるほど晴れた日に」は、社会人の主人公ですが、そこに高校生の男子(しかもカップルではない)が介入してきて、やっぱり瑞々しさというか、ピュアさを際立たせるには学生というのは欠かせないのかな、と思ったり。すごく奇妙な構成なのですが、それが不思議と心地いいのですよ。その風景は完全に「日常もの」で、ガツガツしておらずエロ表現もほぼなし。全体的にマイルドでとっても読みやすいです。


いとしのこいしの
「四六時中一緒に居たい相手なんてな
 一生に一人出会えたら充分なの」
 おもわずスゴく納得できてしまった言葉。この作品の言葉は、何気なくとも力があるというか。


 どのお話もすごく面白かったのですが、個人的にお気に入りだったのは、2話目「メリー・メロー・メモリーズ」。主人公は、高校卒業を目前に控えた男の子で、サッカー部のとある男子に憧れています。けれども大して話したこともないし、こんな片田舎で男が好きなんて絶対に言えない。彼のことは高校時代の綺麗な思い出として取っておいて、大学に入ったら恋人を作ろう!と息巻くのでした。けれどもひょんなことから彼と知り合いになり、思わぬチャンスが巡ってきて。。。というお話。もうこの初っぱなから「望み薄だから」と早々に諦めている感じがなんだかとってもリアルというか、可愛いなぁ、と(笑)けれども青春時代の妄想というのは、悪い方でも良い方でも、想像通りにはいかないわけで、思わぬところから仲良くなるきっかけを掴むわけですが、このチャンスをしっかりと掴んじゃうあたり、主人公の彼はなんだかんだでやり手だなぁ、と。
 
 もうひとつは「これも何かのご縁でしょ。」。学生バイトの青年と、若社長という組み合わせなのですが、意志薄弱な現代っ子と、ちょっと酸いも甘いも知った黒髪メガネ社長という組み合わせがなんだかとてもツボってしまいまして、この二人が絡んでるだけでなんだか眼福でありました(ってこれがBL萌えの第一歩か!?)。別に何があるってわけではないのですが、雰囲気が良いのです。雰囲気が。
 
 書き下ろしでそれぞれのお話のその後が描かれているの良かったです。大きな出来事が起きるような非日常的な作品とは対極にいるような作品でしたが、それこそが魅力で、しっかりと見るに耐える作品に仕上っていると思います。良き癒しとなってくれました。


【男性へのガイド】
→BLとはいえ、そういうカップルを描いた日常ものだと変換すれば、案外容易に受け入れられるんじゃないかと思ってみたり。女の子は一切登場しないです。
【感想まとめ】
→この雰囲気は大好物です。黒髪×金髪という組み合わせが基本になるので、最初はちょっとキャラの見分けつかねーな、という感じでしたが、最後はちゃんと見分けつくほどにキャラ付けされてるという。これって多分それだけしっかり読めたからだろうな、と思うのです。


作品DATA
■著者:こめり
■出版社:東京漫画社
■レーベル:マーブル
■掲載誌:Cab
■全1巻
■価格:629円+税


■購入する→Amazon

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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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