こなみ詔子「痣使い」
彼女にやってもらうのは
飼育だよ■決して知られてはいけない、双子の謎。けれど、一人の少女に出会ったことで、アレの「飼育」が始まってしまう…。貧乏で行き倒れ寸前だった蜜を助けてくれたのは、イケメンの双子の兄弟。部屋も食事もいつも用意してくれる彼らに頼まれたのは、とある子どもの面倒見だった。昼間に姿は見えない。それどころか、本当に会っているのかもわからない。そんな男の子の存在が、気になりはじめた蜜だったけれど…?
プリンセスの人気連載作「シノビライフ」の作者である、こなみ詔子先生のITANでの連載作になります。なんだかとってもファンタジックな感じのする表紙とタイトルで、表紙に書かれているジャンルは「サイキックミステリー」とのこと。これだけだとよくわからんと思うので、冒頭だけでもご説明致しましょう。物語のヒロインは、行くあてもなく食べるものもお金もない、ホームレス生活を送る女の子・小出蜜。高校に通うくらいの年齢だけど、もちろん高校なんて行けるはずもなく、制服に身を包んだ同年代の子達を羨ましげに見つめていたのでした。そんな彼女の元に突如やってきたのは、何やらとってもイケメンの男の子二人組。市川基と円と名乗る彼らは、挨拶もほどほどに彼女を家に連れて行き保護。ここでの生活と引き換えに、とある頼み事をしてきます。夜深くにやってくる、色黒の男の子の面倒を見ること。たったそれだけで、人並みの生活ができるの…?幸せいっぱいの蜜でしたが、どうにもその男の子は…

テイスト的には中二病っぽくもある。ただ本人視点でなく、ヒロイン視点であり、物語を実質動かしているのは彼ではないので、そういった痛さは抑えられています。
いきなりホームレス少女が登場というあたり、「シノビライフ」もそうですが、力技でありえない話を軌道に乗せてしまうこなみ先生のスタイルがもろに出たような作品となっています。好条件で密がこのような生活を送れるようになったのには、当然のことながら裏があるわけで。夜中現れる男の子は、蜜を拾ってくれた男の子の身体に住み着く“痣”。痣は人の命を食べて生きるのですが、その飼育係(=エサ)として密が選ばれたというわけ。当然そのことは蜜には秘密なのですが、その事実はやがて明るみに。そこをきっかけとして、彼女が知らぬ間に巻き込まれている、一連の出来事を知っていくことになる…と思われます。
痣が肥大するとどうなるのか。そもそも痣はなんなのか。そして市川兄弟の狙いは…。まだまだわからない部分が多く、物語の全容が明らかになるのはこれから。とりあえずキャラクター整理をすると、とにかくお人好しでばかなヒロインの蜜。事の全容をほぼほぼ把握している邪悪なお兄さん・円。そして円と共に行動するも、正直者で心優しそうな基。主人公気質なのは基ですが、キーとなってきそうなのは円でしょうか。どちらもベクトルは違うけどもイケメンでございます。
作品の印象はITANというよりもARIAっぽい感じが。物語の設定などを見てもらってもわかるように、だいぶ中二病っぽい要素が強いです。1巻のうち3分の1が、過去に描いた読切りで、本編はまだまだわからないことが多く、現時点では特に何も言えないですかねぇ。正直どういう展開でどう落ちるのかも想像つかないので、単行本から入った人はこなみ先生ファンでなければ若干おいてけぼりなんじゃないかって気もするのですが。でも新雑誌の初巻なんてだいたいそんなものなのかしら。
【男性へのガイド】→痣使いとかいうタイトルに思わず反応してしまったら行ける素養があるんじゃなかろうかと。ヒロインの蜜はろりろりでカワユイです。
【感想まとめ】→この時点ではどうすることも。説明もあんまりされない上に、3話でカットということで、よくわからんです。でもやっぱり手法はこなみ先生のソレだなぁ、という印象が。
作品DATA■著者:こなみ詔子
■出版社:講談社
■レーベル:ITANコミックス
■掲載誌:ITAN(連載中)
■既刊1巻
■価格:562円+税
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こなみ詔子「痣使い」