
私さ
今までずっといっぱい考えたんだけどさ
やっぱり私”幸せ“はよくわからない
■東京の大手電機会社に勤める堂園つぐみは、30も半ば。長期休暇を利用して、祖母の家で過ごしていたが、その祖母が亡くなってしまう。そしてつぐみは、在宅勤務という手段を取って、そのまましばらく祖母の家で暮らすことに決める。しかしその矢先、祖母の家の離れの鍵を持っているという謎の男が現れ、その離れで生活すると言い出した。その男の名は海江田醇。大学時代祖母の生徒で、現在は教授をやっているという。腑に落ちないつぐみだったが、一歩踏み出せずにそのまま見過ごしてしまう。そして何やら、奇妙な共同生活が始まった…。
仕事はできるが恋愛はヘタな、30半ばの独身ヒロイン・つぐみと、とつぜん押し掛けてきた、女子大で哲学を教えている51歳の教授・海江田の、共同生活を描いたラブコメディです。ひょんなことから一緒に生活することになったふたりですが、海江田がとにかく分かりづらい。いまだに独身。女子大で教鞭をとっていることもあって女性の扱いには慣れている。加えて哲学科ですから、少々変わっている。年上を愛す話なので、無償の愛で全て受け入れてやる、許してやるってスタンスで来るのかと思っていたのですが、全然違いました。それでも良い男ではあるのですよ。

ずっとこういう空気感ってワケではない。
最初は女性に対してドライな人間なのかなぁなんて思っていたのですが、やっぱり根が不器用なんですね。だからこういう態度になってしまう。そもそも器用な生き方のできる人間が哲学なんて専攻しないもの。それに対して、ヒロインのつぐみも負けず劣らず不器用。いかに自分の殻をぶち破っていけるかってことなんでしょうが、海江田さんには殻なんてない気もするなぁ。ヒロインの再生と言うよりは、出生とか言った方が良いのかもしれません。なんつーか、ちょっと不憫なつぐみさん、素敵です。
また田舎の空気感たっぷりに、ゆったり優しく話が進むと思いきや、結構動きは激しい。ゆったりしてたらただ爺さんを愛でるだけになっちゃうんだろうけど、あえて動きをつけておくことで、ちゃんと恋愛として描かれているんじゃないでしょうか。とりあえずこれはスゴい。次も買うしかないですな。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→カレセンってことですが、そこに抵抗感がないのであれば。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→この読後感はなんだろう。とにかくスゴい。人によって好き嫌いはありそうだけど、これは一読の価値があります。
作品DATA
■著者:西炯子
■出版社:小学館
■レーベル:flowersフラワーコミックスα
■掲載誌:flowers(2008年9月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税