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Tag [続刊レビュー] 2011.09.10
作品紹介はこちら→遊知やよみ「これは恋です」
3巻レビュー→変人・辺名の重要な役割 《続刊レビュー》 「これは恋です」3巻
4巻レビュー→なんというもどかしさ…:遊知やよみ「これは恋です」4巻
5巻レビュー→急転直下の大盛り上がり:遊知やよみ「これは恋です」5巻




1106057574.jpg遊知やよみ「これは恋です」(6)


笑った
絶対に俺の夢だ



■6巻発売です。
 両想いになったのに、浮かない表情の綾に不安を覚える伽良。梨花の過去を知り、綾の暗い表情の理由がわかった伽良が2人の想いを守るため、選んだ道は意外にも…。想いが通じ合い、新しい恋の形へ踏み出そうとしている2人。思いやりが、一歩踏み出すことをためらわせる…


~結ばれた後の6巻~
 6巻発売でございます。前回めでたく想いが通じ合った二人。そこで切っても良いのですが、それだけじゃお腹がすくわということで、引き続き二人の姿が物語では描かれます。想いは通じ合ったとはいえ、二人はあくまで教師と生徒。決してゆるされる関係ではなく、また二人の想いもお互いに確たる言葉でその絆を確認しあったわけではありませんでした。もしかしたら、一夜限りのきまぐれだったのかもしれない。。。なんてところまでは思わないにしても、その事実を確信に変えるのは厳しかったのかもしれません。信じきることができなかったのは、意外にも伽良の方でした。まさかの「記憶にございません」作戦。それでも綾の言葉によって、その想いを再確認。そしてこんな素敵な、そしてなかなかに厳しい言葉を放つのでした
 
 
これは恋て#12441;す6-1
私が卒業するまで誰も好きにならないで
絶対に



 これめっちゃかわいく映るわけですけど、そんな言葉ににんまりする綾のその笑顔は、大人の包容力からではなく、絶対にドMだからだと思うんですよね(唐突に)。結構綾って苦労体質じゃないですか?というか、自ら苦労を背負いにいっているような感すらあるのですが。でもそれがなんだか嫌そうじゃない所、ね。こういう言葉って、Mっ気のある人だったらばもうすごく響く言葉なんじゃないかと思うんですよね。広義の束縛。特に愛のある束縛にほど、従順であるので。初期の頃からなんとなく窺わせてはいましたが、これ力関係では完全に伽良の方がイニシアチブ握る側ですよね。将来が楽しみです。


~こんなこと思ってみたい(笑)~
 さて、さっきの言葉もなかなか素敵だったのですが、今回最も破壊力抜群であったのは、他でもない綾のうぬぼれ発言でした。もうその言葉が本当に本当に幸せに溢れていて、読んでいてその台詞が出てきた途端「おおおおおおぉ~、言ってみてぇ。。。。」ってなりました(笑)それは夜の教室でのこと(てか前回もそうだし、日が落ちてからの教室でのラブイベント発生率ハンパないな…)、バレンタインなのになんだかギクシャクして少々気落ちする綾を待っていたのは、教室で眠る伽良(真冬の教室とか絶対寒い)の姿。もう何度も見た、彼女の寝顔。けれども今日見る彼女の顔は、今までとは違います。想い通じた相手の、その寝顔。本当に幸せそうに眠る彼女の表情を見て、綾は
 

笑った
絶対に俺の夢だ



 お前何言ってんだー!(赤面)。でも絶対にそうなんでしょうね、でしょうね。もうこの瞬間メチャクチャテンションあがりました(笑)これは言ってみたいというか、思ってみたいことですよ。そんな相手がいるって、本当に幸せなことですよね。


~出した答えと、思わぬ展開「え、終わりじゃないの!?」~
 さて、高校生活の残りどのように過ごすのか、ほぼほぼ答えを出した二人。このまま一気に高校卒業のシーンまで飛んで、めでたく完結…かと思いきや、そうは行きませんでした。正直このあたりで切るのが一番形として綺麗な気がしていたのですよ。前向きな二人と、その後。花巻先生と辺名との間に、仄かに恋の匂いを残しつつ、余韻を持って…なんて。ところがどっこい、こんなことが
 


これは恋て#12441;す⑥-2
まさかの辺名先生に…


 さすがにそれはないとは思いますが、思わぬ方向に転がりはじめましたよこれは(笑)全く想像のつかない展開ですので、別の意味で続きが楽しみになってきました。たぶん長引く分、伽良も綾も苦労するのでしょうが、それを乗り越えてこそ見えてくる景色というのもあるのでしょうから、頑張って欲しいですね。


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