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君にまた会えたこの奇跡を、新たな軌跡に変えて:咲坂伊緒「アオハライド」1巻作者他作品紹介→
今 伝えたい この想い:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」10巻
咲坂伊緒「アオハライド」(2)
夜と朝の間の
私たち■2巻発売です。
高2になった双葉は、洸や悠里と同じクラスになった。クラス替えとなる直前、それまで仲良くしていたクラスメイトと大げんかをしてしまった双葉。新たな人間関係を築こうと、前向きに努力するが、道のりは前途多難。。。。。そんな中、素っ気ないが優しい洸たちと、リーダース研修に参加することになるが…。
~2巻発売ですがキャラ濃いな…~ 2巻発売しました。通常の発売日ということで、注目度はそれなりに落ち着いたということでしょうか。1巻ではまだまだ導入という感じで、物語の全体感を掴みあぐねていたのですが、2巻ではそれなりに登場人物も出揃い、それぞれの性格がしっかりと物語に落ちてくるようになりました。そして思うのは、この面々めっちゃ濃いなー、、、と。前作のストロボエッジは、それなりにみんなキラキラ輝いていたのですが、クセのあるキャラはどちらかというと少なめで、それぞれ控えめにバランスを取っていたような印象がありました。もちろん安堂とかいたのですが、それでも今回のメンツはクセがある!
~背景にあるわかりやすい暗さと、試そうとしているもの~ 今回揃った5人で今後も展開すると思うのですが、うち4人は何かしらのグループからはじき出されたり、孤立している面々です。ぶりっ子槙田さんは非常にわかりやすい形でハブにされ、村尾さんは自ら孤立。ヒロインの双葉も中学時代と、更に高校に入ってからも友人と喧嘩別れ。洸については、中学時代の離婚に特進からの脱落と、それぞれ落ち着いて特定のグループに所属していません。唯一小湊くんだけ、お調子者でどのグループにも所属できそうな感じがありますが、絶対なんかあるんだろうなぁ。。。と勝手に決めつけてます(そして大抵外れる)
ここまでわかりやすく暗さのある背景を持つキャラ達を集めた意図は、一体なんなのでしょうか。ここからひとまず見えてくるのは、単純に恋物語で終わらせようという考えは、作者である咲坂先生の頭の中にはないのだということ。アオハライドというタイトルは、青春が元となっているわけですが、その青春というものには当然恋だけではなく友情というものも含まれています。前作「ストロボエッジ」で特に友情面でフィーチャーされたのは、安堂と蓮の二人だと思うのですが、あれも元々醸成されていた友情を再び掘り起こしたというようなもの。

「ストロボエッジ」友情パートのメインとなった、安堂と蓮。
そして一方の女性陣については、友情という部分での描写は多少希薄であったような印象すら受けます。そんな中、こちらでは1巻から槙田悠里というキャラクターを登場させ、一から友情というものを作り出そうとしています。彼女が今後どういった形でこの物語に絡んでくるかはわかりませんが、最も気合いが入ったであろう2話目(高校生編1話目)のカラーページにて、洸と双葉のツーショットでなく、彼女を交えての3ショットとしたのは、その彼女の存在の重要さの現れであると思うんですよね。前作では描ききれなかった、友情が実っていく過程を、この物語ではそれなりのウェイトをかけて描いていこうとしているのではないかな、と思うのです。というわけで、2巻ラストのあの展開も、恋愛面での強化というよりもむしろ、友情面での効用の方が強いんじゃないかな、とか思ったり。安堂と蓮も、同じ相手を好きになってその上で、というパターンですし。
~見覚えのある後ろ髪のバランス感~ さて、1巻では一応「ガサツ女子」を装っているという体であった双葉ですが、さすがに1年も続けているとそれが板についてしまったのか、どう見ても「大人しい系の女子」ではなくなっていました。リーダース研修に行く時だって、わざわざ洸の家に訪れていたり、遅れそうになってからの行動もめっちゃ引っぱる系。逞しいです。そんな双葉ですが、未だ好きなのは「過去の洸」で、変わった洸については辛口。いや、あなたの方が変わってるんじゃないの?とか言ってみたいところですが、自分のことってなかなかわからないですものね。1巻はその「変化」に戸惑い、2巻では段々と受け入れる過程にあるわけですが、その様子が上手く絵的に現れたのが、反省文を書くシーン。
見覚えのあるえりあし このえりあしは、1巻冒頭中学時代のドロケイのシーンにリンクしてきます。変わらない見覚えのあるえりあしに対して、今の彼が放つ言葉は過去の田中くんとは全くの別物。視覚と聴覚でハッキリとその違いを捉え、洸の過去を「知りたい」と願うようになります。ここでの「知りたい」は、今の洸を受け入れた上で、そうなった過程を知りたいと望んでいるように受け取れます。これが例えば1巻、えりあしと同じようにドロケイのシーンにリンクする場面…
香る香水に、懐かしい匂い ここでは懐かしい匂いを最後に見出し、心癒されているわけですが、それだけ切り取るとこの時点ではやっぱり双葉は過去志向という印象が強いです。同じように過去にリンクしてくるパターンでも、その後のヒロインの考え方にはしかりと違いが出ていて、面白いなぁ、と。
そうそう、えりあしと言えば、双葉って中学の時から全然髪型変えてないですよね。自分の印象を変えたり、自分の内面を変えようとかって思った時って、まず最初に髪型を変えることが多いような気がするのですが、彼女はそのままでいました。単純に面倒くさいのかもしれませんが、例えば田中くんがもし戻ってきたらわかってもらえるように、なんていうちょっとした想いがあったとしたら、すごくかわいいな、なんて思ったりしました。いやもうこれ完全に妄想を飛び越えた域にあるんですが。
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