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Tag [新作レビュー] 2011.09.20
1106070082.jpgもち「ケモノキングダムZOO」(1)


「上野動物園公式ガイドブックって言っていいですか?」
「だめです」



■上野動物園を、こっそりファンタジー王国化しちゃいました!
 百獣の王ライオン→気苦労耐えないつっこみ王!?
 空の貴公子オオワシ→翼の折れたヘタレエンジェル!?
 飼育員も仰天のマニアックな動物たちによる、歯止めの利かないボケとツッコミの応酬!人気アニマル達が、こんなことになってしまいました…。やりたい放題ですみません!作者の溢れる動物愛が、歪んだ形で脳内変換された、アニマルギャグ登場!

 ARIA連載作でございます。いわゆるギャグ枠。パンダでギャグというと、ベツコミに連載している「くるくるパンダ」(→レビュー)なんてものがありますが、こちらはパンダに限らず動物全般が主人公となっております。舞台となるのは、東西に隔てられたとある国・アッパーヤード。元々はパンダが国王としてこの地を治めていたが、王が倒れたことでレッサーパンダが替わって王位に就きます。しかしパンダに比べて「かわいい」「頼りない」「食欲が沸く」など、反対の声も多く王国は未だ混乱のさなかにあります。結果的に東西は分断。その覇権を争い、日々東西では戦いが繰り広げられていたのでした。。。というストーリーなのですが、この作品のモチーフとなっているのは上野動物園。そしてギャグ。ということで、戦いとはいえど非常におバカなやりとりがそこでは繰り広げられているのです。
 
 
ケモノキンク#12441;タ#12441;ム1-1
ほんととりあえずおバカなネタがですね。これは割とストレートな方。他はそれなりに捻ったりシュールだったり…。
 
 
 上野動物園に行かれた方はわかると思うのですが、上野動物園は大きく東西にエリアが分かれていて、行き来するとなるとそれなりに時間がかかったりします。東西というか、上下と言った方が良いでしょうか。単純に動物園をモチーフに日常ギャグを繰り広げるのではなく、その場所の特性を生かして物語を作っていくというのは面白い試みだと思います。そしてモデルがあからさまという辺り、さすが。そして肝心の動物なのですが、物語の中で中心人物となるのが、ライオンとオオワシ。この二人が東西のメインパーソンとなり、戦いを繰り広げます。それを取り巻くように、シロフクロウにカンガルー、シマウマやヤマネ、ゴリラにサルなどがレギュラー陣となります。そんな中、やってくるのはパンダの子ども。これが次期王の候補となるわけですが、これもまた現実のネタを反映したものになります。
 
 実は上野動物園は個人的にも結構好きで、度々訪れていたりします。めちゃくちゃ広いので、半日は確実に時間がつぶせるし、それに入場料が意外とお安いのです。動物はかわいいし、連休に行くと激混みであれですが、たかが動物園だと侮っている人は一度訪れてみて欲しいですねー。動物全般好きなのですが、中でも上野動物園ではお気に入りの動物がいまして。それがオカピなのですが、もうパンダとかライオンとか目じゃないくらい好きで。オカピの檻の前だったら1時間は軽く居れるね!ってくらいに好きなので、今回どう描かれているのか非常に気になったのですが…
 
 
ケモノキンク#12441;タ#12441;ム1-2
擬人化で女子

 
 あ、そうかそういえば上野動物園にいるオカピは女の子でした。オカピって勝手に変人で男な擬人化イメージをしていたので、この展開はちょっと不意打ちでした。このオカピ、ド変人達が集う中で、わりかし常識人。立ち位置的にはダブルヒロインで、美人系ヒロインのシロフクロウと対になる、カワイイ系のヒロインでございます。でもちょっとシロフクロウの存在感がすごすぎて存在感薄いのですけど。それでもちゃんとレギュラーとして登場していて良かった良かった。
 
 ネタは全体的にフリーダム。自由なルールと自由なキャラから作る勢い系の作品です。少女マンガのギャグ枠は、時に毒にも薬にもならないようなギャグ作品があるのですが、こちらは少々のブラックさとシュールさを交えて、しっかりとネタ作品として機能させています。自由すぎるので時についていけない時もあるのですが、それはご愛嬌というところでしょうか。あとどことなく変人というか、変態が多い気がしているのですが、この作者さんのスタンスなんじゃないかと。というのも同時収録されている読切りのギャグ漫画の登場人物が、裸にマフラーというわけのわからない設定で、もうその時点でおかしいよねっていう。あ、裸マフラーはこんな感じです→http://t.co/YdFZazb4


【男性へのガイド】
→動物ものということで、パンチ力は低減も、それなりに笑いは確保。イケメン要素強めなので、その辺が気にならなければ。基本ギャグですし。
【感想まとめ】
→上野動物園というピンポイントさが清々しいです。ギャグ漫画は読む人の笑いの感覚と合うかどうかがポイントですので、合いそうだと思ったかは是非手に取ってみてください。基本はお馬鹿変態ネタ。


作品DATA
■著者:もち
■出版社:講談社
■レーベル:KC ARIA
■掲載誌:ARIA(連載中)
■既刊1巻
■価格:562円+税


■購入する→

カテゴリ「ARIA」コメント (3)トラックバック(0)TOP▲
コメント

これ面白いですよね!
友達に熱烈なもち先生ファンがいるので、勧められて読みました。
From: 夢羽 * 2011/09/23 14:32 * URL * [Edit] *  top↑
このコメントは管理人のみ閲覧できます
From:  * 2011/12/21 19:58 *  * [Edit] *  top↑
 もち先生のファンで、勢いで買ってみたら大アタリ!!
オオワシかわええ、ライオンもかあええ・・・ようするに皆かあええええええ!!!!
あ、うるさい?・・・ごめんなさい。
From: 犬メガネ * 2012/03/26 22:38 * URL * [Edit] *  top↑

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