夏目ココロ「平安女子部!」(1)
なんとかなる
ううん
なんとかするわ!■デザイナーになることを夢見る女子高生・いろはは、意気揚々と被服部に入部するも、そこにいるのはコスプレイヤーばかり…。そんな部活風景に、不満を募らせるいろはだったが、ある日突然平安時代にタイムスリップ!? 現代っ子の奇抜なファッションセンスと、女子高生の知識&アイテムを武器に、平安京で繰り広げる華麗なるファッション絵巻開幕!!
夏目ココロ先生のITAN連載作でございます。ARIAでも連載しているので、講談社新雑誌でのダブル連載ってことになりますね、すごい。ARIA連載作は、
女子高生×ロボットという特異な組み合わせで送るSF青春モノでしたが、こちらは女子高生×平安時代。これまたちょっと奇抜な組み合わせです。ヒロインは、服飾のデザーナーに憧れる女子高生・いろは。被服部で切磋琢磨しながら目指せデザイナー!と思っていたのですが、部員はみんなコスプレイヤーで、ちょっとベクトルが違うみたい。このままでデザイナーになれるのか…なんて先行き不安に感じていたら、学校の七不思議やらでなぜだか平安時代にタイムスリップ!行きついた先にいたのは、落ちぶれ質素に暮らす姫様の家で…というお話。
割と簡単にタイムスリップして、割と簡単にその状況にシフトできるというのはお約束。大体1日悩めば大丈夫です。タイムスリップしてそのアイデアを行った先で…というのはSFものでは比較的よくあり、代表的なもので言えば例えば「戦国自衛隊」や「仁-jin-」などでしょうか。どちらも現代の知識や技術をがっつり使い、その時代に一つの大きな流れを巻き起こすのですが、こちらの作品はそれがファッションや女の子同士のコミュニケーションに使用されていく形になっています。宮中での生き方に現代技術を…というのは見られるパターンとはいえ、それをメインにというのはやや珍しい気が。

別に突飛なアイデアを思いつくわけではなく、あくまで普通に思いつきそうな「工夫」「はったり」を自由にするっていうだけ。誰でも思いつきそうなものだからこそ、成功したとき気持ち良いし、そんなアイデアを自由に楽しくこなすヒロインに親近感がすごく湧きます。
彼女はあくまでデザイナー志望。ということで、輝くのは彼女自身ではなく、当時の時代を生きる女性たち。なんだかんだで女子高生・女子大生的なコミュニティを築いている彼女たちですから、その中にヒロインが溶け込むのもそんなに難しいことではありませんでした。そして浮かび上がる問題も、女性ならではのもの。身分のある人たちですから一大事ではあるのですが、その根本は意外とシンプル。その中で、ヒロインがアイデアを出して上手く乗り切るという、読んでいて気持ちの良いお話です。
ただそれだけでは終わりません。アイデアで乗り切るという序盤を経て、それなりに動きやすい環境を作ってから、同じくタイムスリップしてきたと思しき男の子を発見し、以降はそこを軸に物語は展開していきます。どうやら彼の方が、より平安時代に適応し、しかもかなりの地位を築いている様子で…さて気になる!というところで巻またぎ。一発のインパクトはありませんが、じわじわと面白さが滲み出てくる作品だと思います。続きが気になりますねー。あと、個人的にはタイムスリップものは好きなので、非常に読みやすかったです。
【男性へのガイド】→女子部ですから、女子こそが…という印象が強いかもですね。
【感想まとめ】→何かすごいインパクトのあることをしているわけではないのですが、前向きに動くヒロインが作り出すテンポと、1話ごとに物事が解決していく心地よさが、そのまま良い読み心地に繋がっていきました。
作品DATA■著者:夏目ココロ
■出版社:講談社
■レーベル:ITAN
■掲載誌:ITAN(連載中)
■既刊1巻
■価格:562円+税
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