このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2009.01.09
「言い寄る」花津ハナヨ/田辺聖子「言い寄る」


でも大人は
無邪気なだけじゃ生きてけないよ美々
特に女は



■ヒロインの乃里子は独身のデザイナー。気がつけば31歳。世に言う「負け犬」と言うものになってしまった。そんなある日、友人のトラブルに関わった際に、金持ちの男・剛と出会い親密な関係に。そんなふうに男と恋の駆け引きを楽しむ乃里子であったが、唯一、目の前にするととたんに喋れなくなる相手がいた。それが幼なじみの五郎。長年密かに慕ってきたが、彼にはその気持ちは届いていない様子で…。30年前に描かれた田辺聖子の名作が、今マンガになって帰ってきた!

 いわゆる「負け犬」女性の生き様を、等身大で描いた作品。田辺聖子さんの著作は、「ジョゼと虎と魚たち」ぐらいしか読んだことがないのですが、このマンガを読んで「言い寄る」も読んでみようかな、という気持ちになりました。30年前の小説が元になっていますが、携帯電話が出てくるところなどから察するに、時代背景は現代に焼き直してあります。それでも話の大筋は変えていないわけで、それでここまで現代にフィットしてくるのだからすごい。マンガもうまく描かれていて、スッと物語に入っていけます。また、ラストの切り方が絶妙で、次巻を読ませたくさせてくれます。


【オトコ向け度:☆☆   】
→「負け犬」ヒロインに共感するのがこの作品の一番の楽しみ方なのでは。ただ読みやすいです。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→マンガよりむしろ原作小説を読んでみたくなった。でもマンガの方も十分面白いですよ。次巻も買うと思います。


作品DATA
■著者:花津ハナヨ/田辺聖子 花津先生はブログやってます。検索すれば出てくると思います
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックスα・スペシャル
■掲載誌:女性セブン(2008年29号~連載中)  
■既刊1巻
■定価:524円+税

Amazonで購入する

カテゴリ小学館コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。