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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.10.27
1106069862.jpgD.キッサン「千歳ヲチコチ」1巻


ああ、本当に助かったよ
お前の性癖のおかげで



■時は千の年の昔、平安時代。少々風変わりなセンスを持った貴族の女子と、若い割には世を悟ったような貴族の男子…。二人が偶然交わした「文」が、物語を奏で始める   。雅なる平安文化と風土の中、彼らの日々は「まったり」と進んでいく…模様?

 「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会!」(→レビュー)のD.キッサン先生の連載作でございます。短編集や作品集を発表しつつ、お待ちかねの巻数付き。前回は図書委員会の日常的な非日常を描いたギャグ4コマでしたが、今度のお話の舞台は平安時代。紫式部に清少納言、授業で誰もが学んだけれど、なんとなくしか覚えていないあの時代を、持ち前の脱力感で鮮やかに、そしてゆるやかに描き出します。物語の主人公となるのは、表紙に描かれている二人。髪の毛が茶色で、性格もなんだか風変わりな貴族の女子・チコと、真面目ながらその年らしからぬ落ち着きを持ってしまった貴族の男子・亨。なんの接点もなかった二人が、ひょんなことから手紙のやりとりをするようになるのですが…というところから、物語ははじまります。
 

 平安時代ということで、荘厳だったり華やかだったりというイメージが先行するのですが、こちらのお話はあくまでユルく。華やかさはあるにはあるものの、それを前面に押し出す事はなく、どちらかというと日常的なホームコメディに仕上げております。当時の生活やしきたりをベースに、コメディならではのネタを落としこみ。ノンキャリだ3Dメガネだなんだっていう言葉が飛び交っていて、しかもそれが割と自然なのは、キッサン先生がそういう雰囲気を作り出すことに長けているということに他なりません。とはいえネタは入れどギャグ漫画になるレベルまではいかせず、留まるのはコメディの領域まで。そのため多くの人にとって親しみやすい、非常に読みやすい、ほんわかした雰囲気のお話になっているんじゃないでしょうか。


千歳ヲチコチ
怨霊が出たので陰陽寮に来てみたら、みんな星を身にっていたという事実に対してのツッコミ。「部活」という言葉が出てくるように、その辺かなり緩め。だからこそすごく気軽に楽しめます。



 主人公の二人は文のやりとりはしていても、互いには顔も見た事がありません。加えてお互いに素性も明かしていないので、探りようもなく。そして1巻では結局出会うことなく終了。もちろんなんやかんやで繋がりはあるのですが、生活圏は全く異なるので、序盤は二つの生活領域が切り替わるように物語は進行していきます。チコのほうは乳母に友達に、女性社会。男勝りだったり非常に変わり者だったりと、チコのみならず個性的なメンバーが揃い、非常に賑やかな女子同士の会話を楽しむことができます。一方の亨は、貴族でありながら大学に通っており(お金持ちは普通は家庭教師)、情けなかったり軽かったりな友達たちとの男社会…というか学生社会がベース。いかにもその歳のおぼっちゃんらしい、能天気な友達が多いわけですが、その中一人生真面目な主人公が素敵です。そして家族がまた個性的で面白いという。
 
 結果様々な場所で、様々な登場人物が出てくることになり、正直キャラを全然覚えられていません(笑)それでもちゃんと楽しめる、間口の広いネタと親しみやすさ。ほんと日常ベースのホームコメディで、これからどう進むのか全くわからないのですが、それでもいいかなっていう程度には普通に面白く楽しめています。食いつきにくさもちょっとある、平安時代というテーマを、ここまで近いところにまで持って来てしまうその手腕はさすが。そういう切り口の面白さも混みで、オススメでございます。


【男性へのガイド】
→キッサン作品は男女問わず読みやすいかと。平安ってどちらかというと女性好みな感のある時代なんですが、これは中でも格別に親しみやすいかと。
【感想まとめ】
→ギャグでも真面目でもなく、中間のコメディとは。しかもそれを平安時代で。そしてそれがしっくりくるし、面白い。続きが気になるという感じではなくとも、続きを買いたいと思わせる魅力のあるお話でした。


■作者他作品レビュー
「どろ高」のD.キッサンが贈る、真面目なストーリー短編集:D.キッサン「矢継ぎ早のリリー」


作品DATA
■著者:D・キッサン
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUM
■掲載誌:ゼロサム(連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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BEARBEAR
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