
全っ然!!!!
■ヘタレ高校生の哲は、突然の事故で兄の直一を亡くしてしまう。小さな小さな学習塾を経営して、家族を支えてくれていた兄が残したのは、講師のいなくなった学習塾の教室と、沢山の女子中高生達…。イケメンでしかもやたらと女好きだった兄を慕い、数えてみれば十数人の姦しい女子達が。兄が亡くなれば、塾も解散…と思いきや、何故だか自分が教壇に立つことになって…!?
槙ようこ先生と持田あき先生のコラボ作品第2弾!第1弾の「ピカ☆イチ」(→レビュー)は新雑誌ARIAでの連載作でしたが、今度はCookieでの連載作品になります。持田あき先生は元々読切りメイン、槙ようこ先生は「勝利の悪魔」(→レビュー)と「山本善次郎と申します」の連載を終え、満を持しての2人体制ということでしょうか。
さて、そんな中産み落とされた本作は、少女漫画でありながら男性主人公のハーレムものとなっております。主人公は、勉強はやや苦手で運動も普通、ルックスも地味という取り立ててなんの特徴もない高校2年生の男の子・哲。早くに母親を亡くし、父と兄と共に暮らしていたのですが、先日兄が事故によって急逝。兄が運営していた学習塾の整理をすることから、この物語は始まります。学習塾と言えば普通は小中学生の男女が集うイメージ。しかしここはイケメンで女好きな兄が運営していた学習塾だけあって、その客層も異なります。もう閉めるはずの塾に押し掛けて来たのは、ここの生徒達で、しかも揃いも揃って女の子。加えて派手めな子たち。「ここがかけがえのない居場所だった」と主張する彼女達を前に、哲は、とある決意をするのですが…

こんなシーンも多々。。。基本弄られるだけなんですが、それでも羨ましい、、、皆さん結構派手な見ため。唯一の清純派が相手本線となるのですが、こちらには映ってないです。
巻き込まれ系のハーレムものということで、ここまでの流れも萌え系作品とかでは割とありそうなシチュエーション。ただそれを、この姉妹は少女漫画(と言ってもターゲットの年齢層は成人前後の女性)でやります。この状況、普通であれば塾は解散。けれどもここは普通とは違う塾。生徒達のこの場所に懸ける想いが違いました。講師のイケメンっぷりに惹かれた部分はもちろんありましたが、ここで兄が与えていたのは、頼り所のない彼女達の居場所と、そして一人一人に向き合った勉強の指導。それがなくなるなんて、絶対にイヤ!声高らかに主張する彼女達に押されるようにして、いつしか哲が教壇に立つことになっていましたとさ。けれども勉強が得意なわけではなく、また地味キャラでヘタレということもあり頼りにされるというよりは終始いじられっぱなし。「童貞のくせに」なんていう、割とおなじみのいじり台詞も登場しますよ。
少人数制というわけでもないので、登場人物がのっけから多く序盤ちょっと戸惑います。しかしそんな中でもキラリと光るのは、正統派清純系のヒロイン。声大きいギャル系の子が多い中、ナチュラルメイクで気遣いもできる心優しい子が一人ぶれずにいるというそれだけで、もうこの子ルートしかないよねっていうのがわかりやすくて良いです。それに足る魅力を持っているし。どこそこへと寄り道が見え隠れする男性向けハーレムものとはやはり一線を画していることが窺えます。物語としては以降、生徒ひとり一人をクローズアップして問題を解決していくことがメインとなるのですが、これから更に進んで行くにあたって、恋愛要素なども増えていくかと。非常に派手で賑やかな雰囲気のお話なのですが、底にあるのはハートウォーミングな人情物語。割と多くの人に親しんでもらえる下地はあるんじゃないかと思います。最近の槙ようこ先生の作品はちょっとぶっ飛んだ感のする作品も多かったのですが、そこが持田あき先生によってマイルドにされている印象。要するに、読みやすいってことです。
【男性へのガイド】
→ヘタレ主人公のハーレムものというシチュは男性向けそのもの。ただし味付けは少女漫画のそれですので、そこはご納得をば。
【感想まとめ】
→「ピカ☆イチ」が割とクセがあるというかぶっ飛んだ内容だったのでちょっとドキドキしながらの読みはじめだったのですが、こちらはすごく読みやすくて良い意味で期待を裏切られました。シチュエーションなどから想像するよりも割と多くの人が読みやすい、良作だと思います。
■作者他作品レビュー
時空にたたずむ誰かの想いが、君を呼んでる…:持田あき「おもいで金平糖」
作品DATA
■著者:槙ようこ×持田あき
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックスCookie
■掲載誌:クッキー(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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