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Tag [新作レビュー] 2011.11.19
1106089923.jpgツナミノユウ「隠慎一郎の電気的青春」




そうだ…
悔いのない高校生活にするんだ…!




■ド田舎でもなく栄えてもいない、ちょっと冴えないとある地方都市。花の都・東京からやってきた転校生、その名も隠慎一郎。彼には、注目されるとタイヘンなことになってしまう、ある能力が備わっていた。そのため、彼の新天地でも目下の目標は「普通の高校生として過ごすためにとにかく目立たないこと」…だが田舎の転校生が目立たないわけもなく…。隠慎一郎、人目に立たずに生きられるか!?

 ITANのショートページコメディ枠(かと思われます)。タイトルが「隠慎一郎の電気的青春」とあるのですが、このタイトル、めちゃくちゃストレートに内容を表しています。一瞬「何?ロックっぽい感じ?」とか思うかもしれませんが、いえ普通に電気を発してしまうという体質の持ち主だってだけです。それも人に注目されたり、好きな子を前にしたりすると、暴発するというやっかいなおまけまでついて。そんな彼は、以前好きな子を感電させてしまった過去があり、以来すっかり人と触れることがトラウマに。けれども10代として、せめて人並みの青春は謳歌したい…そんなアンバランスな想いを抱え、何度か目の転校をして辿り着いたのがここ、白杜市。とにかく放電を抑えるには目立たないこと…しかし東京からの高身長の転校生の彼が、注目を集めないわけがなく…というストーリー。


隠慎一郎の電気的青春
目立ちたくないという信条ながら、割とネタはアクロバティック。その最たる例がこれ。どうしたらこんな状況になるんだっていう。


 なんだか絵柄はちょっと昔のヒーローものを思わせるような感じ。けれども展開するネタはシュールなギャグ&コメディです。とにかく目立たないように目立たないようにと細心の注意を払って日々生活する隠くんなのですが、割と小心者かつドジであるため、無駄に気を使いすぎて結果予想だにしない大きなトラブルを引き込んでしまうというパターン。そしてその起因となるが、十中八九彼の放電によるものです。でもこれって事故っていうより自業自得だよねっていう。これだけビクビクして生活してたら、彼が心の底から求める「友達」なんてできやしないよな…なんて時に気づいた帯の「自業自得」ならぬ「自業自独」の文字。これは上手い。
 
 主人公の能力だけが特異な設定なのかと思いきや、割と変なキャラは登場します。その筆頭が、秘密結社の人間で彼の放電の能力を何やらわけわからんことに使おうとしている環境保護(たまさかのやすもり)くん。マスクをしているという時点でおかしなことになってるのですが、割と常識人で、後半はけっこういい役回りをこなしたりもしてくれます。その他無駄に熱い先生とか、無駄にうざい先生とか、無駄に小心者の先生とか、無駄にアホな同級生とか。だからといってキャラに頼ったネタ展開かというとそういうわけでもなく、そうかといって怒濤のアクシンデントを連続させるドタバタ系ギャグコメでもなく、ましてや下ネタパロネタ中心の捻ったギャグマンガでもなく。。。でも不思議と笑えてしまう、独特の間と不定形なネタの数々。放電オチかと思いきや、あくまで放電は繋ぎや土台であって、オチはそこからの転がしでつけるところが、個人的には好印象でした。
 
 最初は物語としても土台作りの過程にあったのと、また初見で降ってくるネタがネタだけに順応出来ずにいたのですが、後半は結構笑いながら読んでいる自分に気がつきました。最初は動かないことで目立たないでいようとする主人公が、後半に行くにつれてだんだんとおかしくなってきて、どんどんネタが動的になってくるのですが、それが自分は好きでした。物語の土台が固まって以降、俄然味わい深くなって「あ、2巻もっと面白くなりそう」と思わせてから知った1巻完結の事実。これが1巻完結というのが残念でなりません。これ続いてたらもっと面白くなったんじゃないかと、そんな想いを抱かせてくれるなんとも不思議な一冊でした。


【男性へのガイド】
→わりと面白いんじゃないかなって気がします、ネタもそんなにどっち向けって感もないですし。
【感想まとめ】
→実に独特の味わいを持ったギャグコメディ。追って味のあるタイプだと思うだけに、1巻完結はちと残念。


作品DATA
■著者:ツナミノユウ
■出版社:講談社
■レーベル:KC ITAN
■掲載誌:ITAN
■全1巻
■価格:562円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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