このエントリーをはてなブックマークに追加
2009.03.16
ainorila.jpg原田マハ/みずき水脈「アイのリラ一分間だけ」


人間だったら自分で選択できる
でもリラのことは
わたしが決めるしかないんだ



■2巻発売です。完結しました。
 雑誌編集者として多忙な毎日を送る藍。そんな彼女の支えになっているのが、ゴールデン・レトリーバーのリラ。仕事で成功するほどに、リラとの時間は少なくなっていく。普通であれば、仕事優先。でも、リラは絶対に放っとけない。仕事とリラとで悩む藍だったが、ある日リラが行方不明に。その時、藍は確信する。リラは何よりも大事だ。後日、軽い傷は負ったものの元気に戻ってきたリラ。その姿を見て安心する藍だったが、リラは更なる幸せを運んできてくれた。
 
 原作者の原田マハさんというと、なんの気なしに読んだ「カフーを待ちわびて」がとても良かったのを覚えています。そちらにも犬が登場し、大切な要素のひとつとして機能するのですが、今作はあくまで犬がメイン。ラブストーリーが上手かった作家さんだっただけに、キレイな純愛ものを期待してみたのですが、なるほど描いてきませんか。なんだか、肩すかしを食らった気分です。


愛のリラ
ありすぎて困る。機嫌悪いと当たっちゃうんだよなぁ…

 
 さてお話はというと、犬との生活、犬との時間を大事にしようという内容です。ペットを愛でる話というよりは、犬と自分がセットになって語られている部分が強く、関係を愛でるといった感じが見受けられます。サイドで、仕事や恋愛も描かれますが、中心にあるのはあくまで犬。とにかくその愛情が強く、仕事を犠牲にしてまで優先させます。この感覚は愛犬家の方々ならば分かるのかもしれませんね、とはいえそれ以外の人にしてみたらどうだろう。私も犬は好きなので気持ちは分からなくないですが、ここまではさすがに無理ですねぇ。また当然動物ものですから、最後はお約束の展開に向かいます。
 
 
【オトコ向け度:☆    】
→任された仕事はせめて全うさせるのが男…いや、社会人ってもんじゃないのかい?って思うかも。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→犬が好き。そういう気持ちがものすごく伝わってくる作品です。物語としての起伏には欠けるけど、それなりにあたたかく、安心感はあります。


作品DATA
■著者:原田マハ/みづき水脈
■出版社:講談社
■レーベル:講談社コミックスデザート
■掲載誌:デザート(平成20年5月号~平成21年2月号)
■全2巻

カテゴリ「デザート」コメント (1)トラックバック(1)TOP▲
コメント

こんにちは。関連本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
From: 藍色 * 2009/10/16 11:43 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
一分間だけ 原田マハ
ファッション誌編集者の藍は、ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。 仕事が生きがいの藍は忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛され...
2009/10/16(Fri) 11:02:55 |  粋な提案
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。