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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.11.20
1106089922.jpg群青「まつるかみ」(1)


もう大丈夫
大丈夫だよ



■両親を亡くした喜市とかのこの兄妹は、遠い親類だという鳥羽家を頼ってドがつく田舎に引っ越すことに。そこで出会ったのは、超がつくオレ様的態度な氏神・トバ様。鳥羽家限定の守り神である彼が、兄妹を守るって…!?ただでさえ騒がしいのに、地元のあやかしも絡んで来てもう大変…!

 群青先生のITAN連載作でございます。群青先生もITANも大好きということで、この作品すごく楽しみにしていたんですよ。表紙から色使いが素敵で、もうこれだけで「よっし!」って感じなのですが、物語もまた群青先生らしい雰囲気のお話で、よかったです!というわけで、早速内容の方をご紹介しましょう。
 
 物語は、大学生と中学生の二人の兄妹・喜市とかのこが両親を事故で亡くしてしまうことからはじまります。事故が事故だっただけに、親類からは総スカン。頼れる人がおらずどうすることも出来ずにいた中、なんとも不思議な格好をした少年のような青年のような人物が二人の前に現れます。「自分ちが二人の遠い親類らしい。跡継ぎが欲しかったので、跡継ぎになってくれるならうちに来てもいいよ。」彼の言葉に、他に頼る者もいない二人は、多少不本意ながら甘えることにしたのでした。呼ばれた場所・鳥羽家はドのつく田舎にあり、四方は山に森。そんな中で二人を出迎えてくれたのは、鳥羽家の当主だという気の良いおばあちゃんと、とっても優しいおじいちゃん、そして鳥羽家の氏神だというあの男・トバ様。新たな土地で始まる、新たな生活。不安いっぱいの中、二人が触れあうのは…というお話。


まつるかみ1-1
しっかり者で優しいお兄ちゃん。全体的に優しい雰囲気。全てが全て良い感情っていうわけではないですが、それすらも飲み込んで溶かしてしまうような。


 氏神様のいる家ではじまる、不思議な不思議な新生活。あらすじを追ってもらってわかる通り、何か大きな目的の元物語が動いているわけではありません。いや、背景としては氏神・トバ様の「跡継ぎ」探しがあるわけですが、跡継ぎになったからといってやれ修行だなんだってことをするわけではなく、ごくごく普通に日々は流れて行きます。そうなった時に、この作品の主題を敢えて探すとするならば「触れ合い」がそうでしょうか。

 群青先生の作品の登場人物には必ず、「自分の想いを言葉にすることができない不器用で幼い存在」というのが登場し、大抵主人公的なポジションにつくのですが、本作ではそれが2人。1人が妹のかのこで、もう1人が氏神のトバ様。双方ともに、自分の性格、自分の居場所というものにすくなからず疑問や不安を抱えており、しばしば抱えきれない想いが感情となって外に出て来てしまうのですが、その不安定さが物語にひとつの動きを与えています。ハッキリとした言葉に変換されないため、物語背景を説明しない不親切さも相まって非常に易しくない作品に仕上っているのですが、これこそが群青先生の作品らしさであり、その雰囲気が良いのです。


まつるかみ
一番幼さを残しているのは、氏神様のトバ様かもしれない。とにかくわがままで、オレ様。子供そのものという感じなのですが、だからこそ人一倍純粋で、繊細。


 また“幼さを残した登場人物”と併せて定番であるのが、疑似家族の形態。何かしらの共通点を持った者たちが集まるコミュニティが物語に登場するのが常なのですが、本作では鳥羽家がそれにあたります。あぶれてしまいがちなキャラクターが、それなりに安心して身を寄せることのできるホームとしての役割がそれにはあると思うのですが、本作の鳥羽家は、当主と夫、そして兄と3人が余裕のある受け手としてのポジションに立っている分、他作品よりもより安心感と温かさが感じられます。説明は極力省き、雰囲気先行で行く場合は、こういった温かさであるとか安心感というのは大きなプラス。
 
 ベースとなるのは、妹・かのこの成長と、氏神・トバ様の生き方というところでしょうか。かのこは中学にあがったばかりの多感な時期。その分正負どちらのエネルギーも溢れていて、とっても眩しい。一方トバ様についてはその出自が一切明かされず、今後物語を盛り上げるエッセンスとしてエピソードが投入されてくるように思います。二人とも、生きたいように生きられない不器用さを抱えた似た者同士。そのためぶつかることもしばしばですが、ぶつかり仲直りするたびに、二人を繫ぐ絆はより深いものになっていくのだと思います。「この物語のここが面白い」とわかりやすく説明するのは難しい作品なのですが、同時並行で他誌にて連載している作品よりも、雰囲気は良くとっつきやすいかと思います。何より好きなので、オススメで。


【男性へのガイド】
→割と女の子かわいいですよ。男の子も気どってないし、この雰囲気が好きな人は少なからずいるはず。
【感想まとめ】
→何があるってわけでもないですが、良い雰囲気の優しい作品でした。こういう作品大好きです。



■作者他作品レビュー
群青「橙星」
鉢植えの根元に住む、手のひらサイズの女の子:群青「こいし恋いし」1巻
*新作レビュー* 群青「獏屋鶴亀放浪ノ譚」
*新作レビュー* 群青「黒甜ばくや薬笥ノ帖」
半人半妖の“しましま”たちと、人間たちが住む町で…:群青「しましま」
ようこそ「マガモノ」が集う屋敷へ:群青「ノッキン!」1巻



作品DATA
■著者:群青
■出版社:講談社
■レーベル:KC ITAN
■掲載誌:ITAN
■既刊1巻
■価格:562円+税


■購入する→Amazon

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