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Tag [新作レビュー] 2011.11.22
1106090415.jpgほしの総明「Dolci」(1)


押忍!


■幼い頃に自分を助けてくれた暴走族の伝説の元総長に憧れるのは、ちょっと不真面目な高校生・天海零。ある日その伝説の元総長が、町のケーキ屋さんで働いていると聞いた零は、一目散にそのケーキ屋に駆け込み、弟子入りを志願。人手不足に喘ぐケーキ屋さんは、即OKを出してくれて、見習いとしてアルバイトをすることになったけれど…!?

 ほしの総明先生の初オリジナル単行本でございます。暴走族の元総長に憧れる少年と、強面パティシエの働くケーキ屋さんを舞台に繰り広げるスイーツコメディ。主人公は、高校にも真面目に通わないやや不良な少年・零。幼い頃に自分のことを助けてくれた暴走族の総長に憧れを抱いて、いつか舎弟にして欲しいと願う日々を送っていました。そんなある日、町のケーキ屋さんでその伝説の元総長が働いているという噂を聞きつけ、早速弟子入り志願。ちょうどアルバイト募集をしていたので、即採用され、翌日から働くことになります。そのケーキ屋で働いているのは、元総長と噂される強面の店長と、優しい笑顔ふりまく優男系の先輩パティシエ。二人の指導のもと、漢になるためのケーキ屋修行が始まった…ってあれ、なんだか変な方向に…というお話。


dolci.jpg
主人公は割と乗せやすい性格。落ちるとだめですが、おだてて上手く上げてあげればすごくよく働いてくれます。ケーキへの情熱も、元々あるパワフルさを上手く変換・誘導して…



 不良少年がパティシエに…という設定は、よしながふみ先生の「西洋骨董洋菓子店」を思い出しますが、こちらもシチュエーション的には似ているかもしれません。ただこちらの少年はケーキ大好きってわけではなく、あくまで総長大好きというところがスタート地点。そのためまずは、その情熱をケーキに向けるためのエピソードが中心になってきます。

 メインを構成するのは三人。一人が突っ走りタイプの主人公・零。そんな彼を優しく厳しく指導するのが、二人のパティシエです。一人が元総長と噂される、口数少ない強面のオーナーパティシエ・日下さん。そしてもう一人が、逆に口数多い優男の佐藤くん。全くタイプの異なる二人が切り盛りするお店に、台風野郎の主人公が乗り込んで来てあれやこれやとトラブルを…。そんな主人公を、見捨てず気にかけて受けとめてくれるのが、この二人。結果的に作りとしては、モラトリアム期間で迷走する主人公の成長譚という形になっています。
 
 さらにそこに売り子のアルバイトとして、主人公の幼なじみの女の子が登場。元柔道部という彼女は、主人公もなかなか頭が上がらない程度には力関係が上。もう絵に描いたような色気とは無縁の元気系のヒロインなのですが、その活発さは見ていてとっても元気になれます。女の子は彼女一人だけですが、割と魅力的な子なので充分充分。その他の女の子成分は、数々出てくるケーキで補充してください。


【男性へのガイド】
→キャラが云々とかではなく、大きな起伏のない物語を受け入れられるかどうか、という気がします。
【感想まとめ】
→ケーキ屋舞台のドタバタコメディ。小さな田舎町の小さな場所を舞台に繰り広げられるため、大きな物語はありませんが、その小ささゆえの安心感があるわけで。そういうお話がお好きな方は。


■作者他作品レビュー
QuinRose/ほしの聡明「ハートの国のアリス」


作品DATA
■著者:ほしの聡明
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックス アヴァルス
■掲載誌:アヴァルス
■既刊1巻
■価格:571円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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