
俺に迷惑さえかけなければいいので
この一年好きに自由に生きてください
以上ですはい解散
■事故至上主義で気ままに生きる男・ナカムラ。そんな彼が、高校教師として赴任する事に。とりあえず1年間、スタンスを変えずに過ごそうと思っていたが、当然そう易々と事が運ぶわけもなく。。。様々な生徒に交わりながら、無気力、無関心なナカムラ流の学校生活が始まります。
瀬川藤子先生の、これは初コミックスになるのでしょうか?無気力なやる気なしの不真面目教師による、超絶俺流放任主義の学校教育マンガです。主人公は、表紙に描かれているナカムラ(本名は仲村渠:なかんだかり)。主に株で生計を立てて、外界とはあまり関わらずに生きてきた彼が、友人にまんまと嵌められて、1年間高校教師をやることになってしまいます。やる気のない彼がなんで教師になれたかって、それほどまでに教師不足は深刻だったってことですよ。そんなこんなで教師になってしまったナカムラ。とにかく自分のスタンスは変えずに、なるべく厄介ごとには首を突っ込みたくない…そう思い学校にいざ乗り込むものの、そうは問屋がおろしてくれず、様々な面倒ごとが。それでも彼なりのやり方で、解決していくのですが…

道徳とか常識とか、全く通用しません。しかもブレずにちゃんと理由を持って対峙されるから、正面突破することはまず不可能。難攻不落です。
なんでもかんでもやることは自分のため、他人の事なんて一切考えない、そんな所謂世に言われるような「教育」とは真逆のスタンスを取っている男が、教師になったらどうなるでしょう。放置の末に学級崩壊?いえいえ、意外とそうはならないんです(あくまでこの物語ではですが)。別に放置といってもそれが周りを許すわけもなく、部活の顧問だ、登校拒否の生徒の対応だとあれこれ厄介ごとが降ってきます。面倒な事は極力回避という男でありながら、一度受け取ってしまってからぶん投げるというスキルは持っておらず、あくまで彼なりにではあるのですが、諸々の問題に対峙、解決していきます。
生徒達に求めるのは、「とにかく俺に面倒をかけさせるな」ということ。授業は最低限で、部活の顧問も「部活だと面倒だから同好会で。ないならなんか作って幽霊部員を集める。」などとワケの分からない方向に走りはじめます。結果集まった3人は、登校拒否だった女子に、パシられ体質の真面目な男子に、絵画の天才として一目置かれている少年の3人。3人のうち2人は、まともに授業に出ていない特殊な生徒なのですが、普通の教室に馴染めなかった子たちが、無関心さの元逆に伸び伸びとできて、自然とあるべき関係性や居場所が形成されるというのは、なるほどなぁと納得させられるものがありました。

変なところちゃんとギブ&テイクは心得ているので、付き合えば割と居心地の良い相手。
ベースはコメディ。しかもどちらかというと主人公・ナカムラの巻き込まれ系という。そういえば、アヴァルスで無気力・無関心さを貫く主人公と、相手としての子供というと、「flat」を思い出させます。背景も白っぽい部分が多く、主人公のそれを良く表していて、受ける印象は確かに似たものが。ただし「flat」は無関心な主人公が子供と触れることで変わらざるを得ないという状況が描かれているのに対し、こちらは無気力な先生の元、生徒が自分を見つけ変えて行くという関係で。いわばそのベクトルは真逆と言って良いかもしれません。まだ1巻だけなので、これからどのように話が転ぶのかわかりませんが、どうしたってこの主人公が変わるとは思えないんです(笑)無気力・無関心で作られる、居心地の良いコミュニティってのも、良いものだなぁとちょっと思える、良い作品だと思います。
【男性へのガイド】
→こういうコメディがお好きな男性もきっとたくさんいるはず。マンガ好きとか、こういうの好きそうですよね、男女問わず。
【感想まとめ】
→清々しい程の畜生っぷりが素敵な主人公です。気を使わないことで、相手にも気を使わせないという距離感が、なんだかとっても新鮮で面白いというか。
作品DATA
■著者:瀬川藤子
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックスアヴァルス
■掲載誌:アヴァルス
■全1巻
■価格:571円+税
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