1巻レビュー→自分が幸せになれないと決め込んでいるあなたへ:西炯子「姉の結婚」1巻
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「娚の一生」2巻
恥ずかしい青春全開の弓道部ライフ:西炯子「ひらひらひゅ~ん」
西炯子「姉の結婚」(2)
なりたい自分
■2巻発売しました。
真木の強引な求愛に心乱れるヨリ。このまま彼のペースに巻き込まれ、自分を見失ってゆくのを恐れたヨリは、泥沼の展開から逃れるべく、思い切った作戦に出る事に…。果たしてこの決断は吉と出るのか凶と出るのか。。。アラフォー男女の危うい関係を描いた、不器用系恋愛バイブル、第2巻!
~分からないのは…~
2巻ですが、相変わらずレビュー書きにくい作品ですね。そもそも分からない事が多いので、どこを切り口にしたら良いのか掴めていないというのが本音です。これだけはちゃめちゃな動きをしておいて、その実ちゃんとどこかへ向かって動いていることが感じられる以上、何か“核”となる部分があるはずなのですが、それが巧妙に隠されているという。事情さえわかっていれば、真木の奇行だってヨリの拒絶だって納得のはずなのですが、それがなかなか。
1巻ではとにかく真木の奇行が衝撃的で、彼の一挙手一投足にばかり目が行ってしまいましたが、彼の行動原理は至ってシンプルで、「重ね続けた想いの成就」が目的。出発点と目的は明確であるのですが、それに至ろうとするまでのプロセスがちょっと普通じゃない。そのアプローチ手法の要因となっているものが、何なのかが、明かされていない謎ということになるでしょうか(ここは明かされず単に変わった人って形で片付けられそうな気もしますが。。。)。一方のヨリは、この町に流れ着くまでの過程に加え、何があったのかという根本が明らかになっていない。この物語の全容を一番見せなくしているのは、他でもない、ヨリ自身なのです。
~“なりたい自分”と“なりたくない自分”~
さて、それでも1巻2巻と巻を重ねた段階で、彼女の過去を探る糸口がいくつか出てきています。真木の「あなたはほどほどの愛しか知らない」という発言に対して「残念ながらそれは外れているわ」なんて思ったり、故郷に戻ってきた事情を聞かれるシチュから「“何もなかった”でいいのよ、もう」なんて考えたり、「愛されるのもごめんだわ」なんてモノローグが出てきたり。なんとなくのイメージとして、恋愛に疲れた・傷ついた過去があり、そこから逃げ流れるように故郷へ戻ってきた…という感じでしょうか。けれどそれが一体どんなものだったのか、語られない!これがなかなかズルい所で、明らかになれば物語としてのターニングポイントになること確実ですし、逆に明かされない事で、恋愛は休憩ないし引退なんて思ってる女性の共感も得られる(のではないか)という。どっちに倒したってオッケーなんですよ、これが。温泉での回想を見るに、後者っぽい気がしないでもないという。。。
さて、結果的に立ち往生しているヨリですが、今回「なりたい自分」というテーマで、物語はあれこれ展開することになりました。ヨリは一体どんな自分になりたいのか。彼女が思い描いたのは…

恋愛に振り回されない私
というもの。付け加えるならば、「自分から好きになったりしない、そういう女になる」というもの。読んでいて多くの人は、このヨリの想いに違和感を感じたかと思うのですが、じゃあ違うのかと言われるとまた微妙で。確かにこれは、彼女のなりたい自分ではないのですが、同時に彼女の願いの一つでもあるのではないかな、と。彼女の「恋愛に振り回されない私」の逆、つまり「恋愛に振り回される自分」というのは、言うなれば「なりたくない自分」であって、そう考えるとだいぶ腑に落ちるのでした。なりたくない自分の裏返しがそのままなりたい自分であることは少なく、ヨリの答えは未だ出ずのままでした。彼女が「なりたい自分」を見つけ、そこに向かって歩き出すには、まだまだ時間がかかりそうです。
■購入する→Amazon
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なりたい自分
■2巻発売しました。
真木の強引な求愛に心乱れるヨリ。このまま彼のペースに巻き込まれ、自分を見失ってゆくのを恐れたヨリは、泥沼の展開から逃れるべく、思い切った作戦に出る事に…。果たしてこの決断は吉と出るのか凶と出るのか。。。アラフォー男女の危うい関係を描いた、不器用系恋愛バイブル、第2巻!
~分からないのは…~
2巻ですが、相変わらずレビュー書きにくい作品ですね。そもそも分からない事が多いので、どこを切り口にしたら良いのか掴めていないというのが本音です。これだけはちゃめちゃな動きをしておいて、その実ちゃんとどこかへ向かって動いていることが感じられる以上、何か“核”となる部分があるはずなのですが、それが巧妙に隠されているという。事情さえわかっていれば、真木の奇行だってヨリの拒絶だって納得のはずなのですが、それがなかなか。
1巻ではとにかく真木の奇行が衝撃的で、彼の一挙手一投足にばかり目が行ってしまいましたが、彼の行動原理は至ってシンプルで、「重ね続けた想いの成就」が目的。出発点と目的は明確であるのですが、それに至ろうとするまでのプロセスがちょっと普通じゃない。そのアプローチ手法の要因となっているものが、何なのかが、明かされていない謎ということになるでしょうか(ここは明かされず単に変わった人って形で片付けられそうな気もしますが。。。)。一方のヨリは、この町に流れ着くまでの過程に加え、何があったのかという根本が明らかになっていない。この物語の全容を一番見せなくしているのは、他でもない、ヨリ自身なのです。
~“なりたい自分”と“なりたくない自分”~
さて、それでも1巻2巻と巻を重ねた段階で、彼女の過去を探る糸口がいくつか出てきています。真木の「あなたはほどほどの愛しか知らない」という発言に対して「残念ながらそれは外れているわ」なんて思ったり、故郷に戻ってきた事情を聞かれるシチュから「“何もなかった”でいいのよ、もう」なんて考えたり、「愛されるのもごめんだわ」なんてモノローグが出てきたり。なんとなくのイメージとして、恋愛に疲れた・傷ついた過去があり、そこから逃げ流れるように故郷へ戻ってきた…という感じでしょうか。けれどそれが一体どんなものだったのか、語られない!これがなかなかズルい所で、明らかになれば物語としてのターニングポイントになること確実ですし、逆に明かされない事で、恋愛は休憩ないし引退なんて思ってる女性の共感も得られる(のではないか)という。どっちに倒したってオッケーなんですよ、これが。温泉での回想を見るに、後者っぽい気がしないでもないという。。。
さて、結果的に立ち往生しているヨリですが、今回「なりたい自分」というテーマで、物語はあれこれ展開することになりました。ヨリは一体どんな自分になりたいのか。彼女が思い描いたのは…

恋愛に振り回されない私
というもの。付け加えるならば、「自分から好きになったりしない、そういう女になる」というもの。読んでいて多くの人は、このヨリの想いに違和感を感じたかと思うのですが、じゃあ違うのかと言われるとまた微妙で。確かにこれは、彼女のなりたい自分ではないのですが、同時に彼女の願いの一つでもあるのではないかな、と。彼女の「恋愛に振り回されない私」の逆、つまり「恋愛に振り回される自分」というのは、言うなれば「なりたくない自分」であって、そう考えるとだいぶ腑に落ちるのでした。なりたくない自分の裏返しがそのままなりたい自分であることは少なく、ヨリの答えは未だ出ずのままでした。彼女が「なりたい自分」を見つけ、そこに向かって歩き出すには、まだまだ時間がかかりそうです。
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