1巻レビュー→
小説通りに殺人が起きたら…あなたはどう思う?:なるしまゆり「ライトノベル」1巻
なるしまゆり「ライトノベル」(2)
立派な小説って
なんですか?■佐々暗龍は、自分の書いた小説通りに事件を起こす犯人とコンタクトを取るために、ネットで「ミカト」に関する小説を書き始める。佐々暗の挑発に乗った犯人は、彼を襲撃…。警察に警護されていた佐々暗をまんまと拉致してしまう。目覚めた佐々暗の前に犯人はなく、あったのはひとつのメッセージのみ。犯人にしてやられた刑事・加古川は、佐々暗を救えるのか?そして“作家・佐々暗龍”は生き残れるのだろうか…。
~1巻とは趣が異なる内容~ 2巻発売しています。1巻では「非実在なんちゃら」であるとか「現実世界に創作物が及ぼす影響」などについての考えがメッセージ的に散りばめられており、それがまた非常に興味を引いたのですが、2巻では打って変わって本筋に集中して物語が展開しています。しかもなかなかの急展開。主人公・佐々暗が、犯人に拉致され気づいたら…

どこかの山奥で全裸
これはキツい。自分だったらもう死ぬ。まさかこんな展開になるなんて想像していなかったので、このシーンを目の当たりにしたときはマジでビビりました。しかも2巻中盤以降はずっとこの格好ですからね。しかも全力でシリアス。なんだかスゴく不思議な感じがしました。結果丸腰となり、犯人の思惑通りに動かざるを得なくなるわけですが、まだ作家・佐々暗龍は死んじゃいません。ここでの一連の彼の動きは、「人として生き残る」というところでなく、「作家としてやるべきことがある」という考えが源泉になっており、恐らく徐々にヒントを得ていく中で、その色は益々強くなっていくことと思われます。逆に犯人の方も、佐々暗を殺すとか脅すっているよりも、作家としての佐々暗を殺しに来ているという感じがしますよね。
~収束か拡大か~ さて、今回の急展開で気になっているのは、このまま物語は収束へと向かって行ってしまうのかということ。今回の急展開によって明らかになったのは、二人の犯人がおり、それぞれ別々の思惑を持っているということ。一方は主人公に面が割れており、もう片方は警察の捜査線上に早くも浮かんできました。こう考えると二人がおめおめと逃げ延びるとも考えにくく、短期決戦もしくは少なくともどちらか一方は捕まるんじゃないかな、と。でもそうすると、序盤にあったような壮大な感じはどうしても削がれるわけで。個人的にはもうちょっと風呂敷広げてもらいたいな、という想いがあります。
とりあえずキーとなりそうなのは母親の遺体の切断部がどれだけあるのかっていう。2巻では片足が見つかり、2巻ラストと3巻予告を見るに、次に出てくるのは頭部とせいぜい胸部。腕が繋がっているのかわからないですが、それに付随してあれこれトラブルが起きそうです。しかしこれ、一気にグロい方にいくんですかね。3巻予告だけでもなかなか強烈でしたが。
そして同時に気になるのが、ミカトの存在。結局最後はファンタジーに倒れるのか、それとも現実に地に足つけた形で決着するのか。彼の存在ひとつで、この作品の評価が大きく変わってきそうです。まぁ揃いも揃って意図が見えないので、面白いのに若干ストレスフルですね(笑)さて3巻、どのような展開になるのか。個人的には1巻にもあったように、より作家の考える非現実と現実の相互影響観なんかを語ってもらいたかったりします。
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