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Tag [新作レビュー] 2011.12.05
1106101208.jpg売野機子「ロンリープラネット」


みんなひとりぼっちで
みんなつながってる
混沌の中で



■取り柄は見ためだけで、肝心の中身をなにも持たないことにずっと悩んできた常磐一郎。ある日姉で超人気占い師であるトキワ未来に間違われてしまったことから、占いを求めて連日押し寄せる女性客の相手をしなければいけなくなり…。けれども思い起こされるのは、今までのあの目、あの日々。僕の目には頭には、僕の未来は映らないけれど、一人ぼっちの貴方の未来なら…

 「薔薇だって書けるよ」で鮮烈デビューを果たした売野機子先生の、BeLove連載作です。帯での押しが白泉社コミックスばっかりだったので、一瞬白泉社での新刊かと思っちゃいました。ちなみに白泉社からは、同時発売という扱いで「同級生代行」という名前の作品集が発売されております。こちらは作品集ではなく、連載作。占いを軸に回す、どこか寂しさを抱えた人々の偶然の交わりを描いていきます。


ロンリーフ#12442;ラネット1
「好きな相手の運勢が悪いと嬉しい」その心は?様々な登場人物の、様々な「占い観」がそこにはあり、非常に興味深いです。


 主人公はカリスマ占い師を姉に持つ、常磐一郎。ひょんなことから自分がその姉・トキワ未来に間違われてしまい、断りきれない優柔不断さを持つ一郎は、そのまま商店街の一角で占いをすることに。その素性が謎に包まれた占い師が、町の片隅で無料で占ってくれる…噂はたちまち広がり、連日できる大行列…。そんな状況をやばいと思いつつも、どうしても断ることができない一郎。期待を込めたお客の目を見る度に、思い出すのはあの時の目、あの時の日々、そしてあの子。。。そんな中出会ったのは、漫画家をしているという一人の女性で…
 
 あなたは占いを信じますか?私は割と好きです。心から信じてはいないですけど、決めごとをする時にちょっと背中押してもらえる感覚で、心強いですよね。占いを信じる人、信じない人様々いらっしゃるとは思いますが、この作品にもまた占いに対して様々な想いを持つ人たちが登場します。全く占いを信じない人、とにかく占いを信じてしまう人、そして占う人の想い…。様々な人の想いが各話で描かれながら、通して浮き彫りになるのは主人公の過去ととある想い、そして最終的にはそこからの解放になります。


ロンリーフ#12442;ラネット2
他者との交わりがあるからこそ、占いはされるわけで。占うということは、その人と誰かを繫ぎ辿るもの。


 主人公の常磐一郎は、占いを信じる信じないという次元にはおらず、己の「人生上手くいかない感」を「占い」という存在を通して考え巡るという立場にいます。仕事をやめてなお悶々と過ごす中、度々思い返すのは、中学時代に唯一心を許した女の子の存在。その彼女に、「おまじない」として占いの言葉を投げかけた彼は、彼女の心を救うと共に、自分のその言葉に自ら囚われてしまいます。この物語の面白いところは、最後の着地点。物語を通して“占い”を肯定しつつも、主人公が辿りつくのは“占いからの脱却”で、このバランス感こそが、この先生が上手いと言われる所以なのかな、なんて思ったりしました。
 
 ただ帯にある「漫画読みに愛される」という言葉は、裏を返せば誰もが愛するわけではないとも言えるわけで、確かにある種の読みにくさであるとか、とっつきにくさはあったように思います。視点が、時間軸が入り乱れての序盤はなかなか腰を据えて読めないというか。それも最後にはカッチリとハマりスッキリするのですが、それ以前で振り落とされる人も多少なりともいるのではないでしょうか。とはいえやはり面白い作品であることには変わりないですので、興味のある方は是非とも。また表題作の他、読切りが一編収録されています。こちらもまた、温かいお話で素敵でしたよ。 


【男性へのガイド】
→主人公は男性であって、また煮え切らない感じとか、過去の恋愛に引っぱられている感じとか、すごく好む人もいるんじゃないかと思います。
【感想まとめ】
→最初ちょっと読みにくく感じていたのですが、最後はきちんと腑に落ちる形に。ちょいと重苦しいところもあったけれど、最終的な読み心地はとても良かったです。


作品DATA
■著者:売野機子
■出版社:講談社
■レーベル:KCBeLove
■掲載誌:BeLove
■全1巻
■価格:600円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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