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2009.03.16
07212033.jpg塀内夏子「プリンセスオンアイス」


…泣き言は言わない
キリキリと身も心も研ぎすませて
一人で戦う乙女達がいる
エッジのように
氷のように



■3巻発売です。
 フィギュアスケート全日本女子の舞台に、彗星の如く現れた天才少女・日高まふゆ、17歳。現チャンピオンに迫り、追い抜こうかというほど素晴らしい演技を魅せる彼女だったが、競技の最中に衣装の肩ひもが切れてしまい、失格になってしまう。失意の中、故郷の北海道に戻ったまふゆだったが、なんと後日スケート連盟から特別強化選手に選ばれる。突然のことに驚くまふゆだったが、「世界に連れて行ってやる」の一言で全てを決意する。ライバル達としのぎを削り、コーチとともに目指すは世界の頂点。氷の上のシンデレラストーリーが今、熱く幕を開けた!
 
 北海道の片田舎出身のスケーター・日高まふゆが、コーチ達とともに、世界のライバル達としのぎを削りながら頂点を目指すというスポ魂系のシンデレラストーリーです。最近のスポーツ漫画は、いかに相手を出し抜いて勝つかというよりも、相手は関係なくまず第一に、いかに自分を高い所に持っていけるか(プレーのクオリティとして)というところに集中している感じがします。ただやっぱりスポーツって競うものなんですよね。何が何でも相手に勝ってこそというか。それに関してこの作品は、勝利への貪欲さというか、気迫みたいなものが前面に押し出されていて気持ちがいいです。絵柄とともに良い意味で昭和臭いというか。この鬼気迫る感じは最近のマンガにはあまりないですよね。それに加え、ライバルとしのぎを削る様は、女性同士の方が面白いと思います。


プリンセスオンアイス
こういう鬼気迫る感じが良い

 
 スケートを題材にした作品は沢山あるので、そういう意味ではどうしても埋もれがちになってしまいますが、ここまで「懐かしさ」を感じさせる作品はあまりないんじゃないでしょうか?なんか「エースを狙え」とか、「アタックNo.1」みたいなソウルを感じます。イケメンコーチや王子様キャラがいるからかもしれませんが。古くさいんじゃない、古き良きなんだよ、と。
 

【オトコ向け度:☆☆☆  】
→フィギュアが題材ですが、このノリが好きな男性はいるんじゃないでしょうか?元々作者さんは少年誌上がりですし。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→前述の「エースをねらえ」とか「アタックNo.1」を読んでた世代の人たちが読むような作品。面白いですけどね、フィギュアってことを考えると他にも色々あるので。


作品DATA
■著者:塀内夏子
■出版社:講談社
■レーベル:KCビーラブ
■掲載誌:BE・LOVE(2008年第4号~連載中)
■既刊3巻

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