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■市立図書館で働く新米司書・ひなこ。3年もの就職浪人の末、高倍率の中このたび奇跡的に採用に至り、司書としてデビュー。だからやる気は人一倍!けれど日々利用者から投げかけられる質問・疑問は、迷宮入りしそうな難問ばかりで…。「調べもの」を通して、本と、人と、心をつなぐ。ほんのりあったか、図書館マンガの登場です!
なんとなく表紙に心惹かれて購入した一作。図書館業務の中でも、主に利用者からの質問対応である「レファレンス・サービス」にスポットを当てた作品です。ヒロインは、新米司書のひなこ。新米とはいってもすでに25歳。というのも図書館司書はありえないほどの高倍率であるため、簡単には就職できません。このヒロイン・ひなこも、3年の就職浪人の末、やっとの思いでここ・暁月市立図書館に採用されたのでした。働きはじめたばかりということでやる気はマンマン。けれども思っていた以上に図書館司書の仕事は大変!特に日々お客さんから投げかけられる、疑問・質問への対応が…。「数十年前のこの場所が映った写真が載っている本はある?」「影が光ったんだけど、それが載ってる本ってある?」最初から難しい質問、ちょっと首を突っ込むと途端に扱いづらくなる質問…今日も色々な人が訪れるこの図書館で、ひなこが一生懸命駆け回ります!

図書館はいわば探検の場所。調べれば調べるほどに何か出てくる。その道先案内人となるのが、図書館司書なんです。
図書館って良いですよね。学校の図書館のように、人気がなくて静かで、ちょっとほこりくさい感じも好きですし、逆に町の図書館のような人が沢山いる明るい雰囲気も好きです。このお話で舞台になるのはとある市にある市立図書館。自治体レベルが市ということで、それなりに大きな図書館。そのため訪れる人も老若男女幅広く、投げかけられる質問も様々です。お話は、ひなこやその他図書館司書がお客さんからレファレンスを受けることから始まり、対応していくことでお話が転がる一話完結方式。基本的にはレファレンスなんて数十秒から数分で終わるものが大半。けれどもそれでは話は進みません。飛び出すのは難問、奇問が主。時にはごく普通の質問でありながら、人の良いヒロインが不用意に飛び込んでしまうことで、状況がこじれることもあります。そしてその先に待っているのは、充実感と達成感。レファレンス対応したからこそ得られる、この仕事ならではの喜びを、あなたもちょっとだけ味わって見ませんか?
ただ本を与えるだけなら、本屋でもできます。けれどもここはあくまで市立図書館。その土地に根付いたハコであり、お金儲けではない“純”なサービスで勝負。そのため描かれるネタも、その土地ならではの土地柄を表したものになっており「ああ、図書館マンガ読んでるな」と感じることができます。客層も本屋ものよりもより自然に「子供」や「ご老人」が登場していて、作品全体として持つ安心感がすごい。基本的には良い話エンドですが、ベースはコメディとなっており、市役所から出向しているやや腐った同僚が良いスパイスとなっています。恋愛展開はありませんが、その分「人と人との繋がり」という普遍的なものへウェイトが集中していて、確かな満足感と幸福感が得られるはず。図書館がお好きな方も、そうでない方も、気になったあなたはちょっと手にとって見ては?
【男性へのガイド】
→万人受けしそうな読みやすい作品。図書館業務について描かれているってのも、お仕事マンガ的に受け入れられて良いのではないのでしょうか。
【感想まとめ】
→図書館マンガ読んだ!って感じの充実感が得られる一作。慌てん坊で正義感の強いヒロインも、非常に好感が持てました。
■作者他作品レビュー
埜納タオ/槙佑子「百花日和」
作品DATA
■著者:埜納タオ
■出版社:双葉社
■レーベル:jour comics
■掲載誌:jourすてきな主婦たち
■全1巻
■価格:619円+税
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