
足下に逃れられない死が迫っているとして
運命を
変えたいとは思いませんか?
■高校2年生の男子・小野田暁は、人が死を迎える時間が正確にわかってしまう不思議な能力「時限時計(カウントダウン)」を持っている。死まで12日を切ると、突然その人の胸の前に時計が現れるのだ。その力で大事な人の死期を知ってしまった彼は、せめて悔いのない最期を迎えさせてあげたいと、「理想の死に方」をプロデュースするという会社「ブラッグ・ドッグ」を訪れる…
新創刊となった月刊コミックジーンより。この月刊コミックジーンなのですが、「女性向けの少年漫画雑誌」という一件矛盾したコンセプトの元刊行されており、一応女性向けを謳っておりますので、試験的に当ブログでも取り上げたいと思います。こういうコンセプトはどちらかというと嫌いなのですが、個々の作品の良し悪しには全く関係ないので、前向きにレビューしますよー。というわけで第一弾は「まりあ+ほりっく」などを描かれている、遠藤海成先生の作品「黒犬O'clock」です。
主人公は、幼い頃からとある能力を持ち、悩んできた高校生・小野田暁。その能力とは、人の死期が見えるというもの。見えると言っても全員の死期を把握できるわけではなく、その人が死ぬ12日前になると、その人の胸の上に時計が浮かんで見えるというもので、いつも突然にその時計が現れるため、未だに慣れずに哀しみ悩んでいるのでした。そんな中、入院中の最愛の祖母にその時計が出現。どうすることもできない運命を目の前に、せめて悔いのない最期を迎えさせてあげたいと、「理想の死に方」をプロデュースするという会社「ブラッグ・ドッグ」を訪れるのですが…。というお話。

「ブラック・ドッグ」の中心人物。見ためは完全な少年だが、色々と隠していることがありそうな、いかにも怪しい人物です。
物語は、主人公である暁の能力が「ブラッグ・ドッグ」のメンバーに認められ、以後その活動に強制的に巻き込まれていくことで進んでいきます。暁の願いはただ一つ、「運命を変えることはできないのか」ということ。そんな中、視えた死期を確定事項として動く「ブラック・ドッグ」の活動は、彼の願いとは相反するものではあるのですが、都度人の死と向き合うことによって彼の中での考え方を変容させていく契機となり、またそれ以上に何か大きな秘密がこの組織にはあるようです。「ブラック・ドッグ」でメインで動くメンバーの一人は、見ため完全な子供で口の悪い少年なのですが、彼の正体や、どうしてこういった活動を行っているのかというところは1巻時点では全く不明。今後物語が進むと共に、明らかになっていくようです。
女性向けということもあって、やはり登場人物は男の子が殆どなのですが、ちゃんとヒロインもいます。しかも結構気難しそうな、中二心をくすぐるような。「いばら姫」なんて呼ばれている彼女は、暁と同じ学校の生徒で、近寄りがたい雰囲気を纏った無表情の女の子。暁の行く先々に突然現れて、「運命を変えたいとは思いませんか?」なんて言い放ったりと、なんとなく状況はわかっている感じ。「ブラック・ドッグ」ともちょっとしたつながりがあるようで、今後のキーパーソンになってきそうな気配がぷんぷんします。現時点では敵か味方かわからない感じ。…というかそもそも敵とか味方なんて切り分けが成り立つ物語なのかもわかりませんが。

わりとやんちゃないばら姫。陸上でインターハイに出場している主人公に追いつける程の脚力を持ち、ゴミ箱を余裕でぶん投げられるほどの腕力を持つ(穿った紹介の仕方)。髪型が特徴的ですよね。いかにも妖しげな感じが、雰囲気出てます。
人の死が一つ大事な要素として登場してくるわけですが、それ以上に「ブラック・ドック」の活動であるとか、裏にある真実といったものに意識が行くように作られているので、ちょっと重苦しさは足りない感があります。命が一つの題材なのに、どこか薄いというか、小手先の感動というような。元々お涙頂戴な感動系のストーリーでないので、その辺は潔くて良いかと思うのですが、その辺を少しでも期待しているのであればちょっとした違和感は覚えるかもしれませんのでご注意を。
【男性へのガイド】
→一応体は「少年漫画」ですので、男性も食いつけるようにはなっていると思います。訴求するのは腐向け少年漫画とかそういうものだと思いますので、割り切った上で読めれば良いのでは。
【感想まとめ】
→1巻で全容が見えている感がないので、どうとも。。ただどういう展開で進んで、最終的にどういう結末が待っているのかというのは確かに気になります。その辺は作者さんの上手さでしょうか。
作品DATA
■著者:遠藤海成
■出版社:メディアファクトリー
■レーベル:ジーンコミックス
■掲載誌:コミックジーン
■既刊1巻
■価格:533円+税
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