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Tag [新作レビュー] 2011.12.12
1106035721.jpg島田ちえ「恋愛デモクラシック」


離したくなど
ありません



■時は大正。元家族の家庭教師・苑宮礼一郎が仕えるのは、成金団子屋の娘・丸屋葵。彼女を一人前のレディにするため、日々お稽古ごとに勉強に指導。上流階級に慣れない葵さまのために、礼一朗が手取り足取りスパルタレッスン!でも、夜になると秘めやかなプライベートレッスンに早変わり…!?そんな二人の間に芽生えるのは、信頼の気持ち?それとも…。華やかなる大正ロマン恋物語がここに開幕!

 6月に発売になっていたのですが、ここまで読まずに今更ご紹介という一作でございます。こちらも「この新人を読め!」シリーズの一つで、島田ちえ先生にとっては初の単行本となります。舞台となるのは大正時代。ヒロインは成金団子屋の娘・葵です。成金貴族ということで、お金はあるけど品位ある行動はまだまだ…。そんな彼女に家庭教師として、上流階級のレディとしての所作を教えるのが、元華族(今は没落)の苑宮礼一朗です。幼い頃からずっと一緒だった礼一朗にずっと密かに想いを寄せている葵ですが、二人には身分の差があり…というストーリー。

 なんで今まで手を出せなかったかというと、同じ頃に発売していたこの新人を読め!の「お嬢様と運転手」(→レビュー)がこの設定と丸かぶりだったために、絶対混同しちゃうなという想いがあったからでした。改めて時間を置いて読んでみると、先の作品とは導入は似ていても、その内容はだいぶ異なるもので、ちゃんと差別化はされていました。先の「お嬢様と運転手」は、勝ち気なお嬢様が恋を恋をも自覚せずに恋愛以前の領域で動き回るのですが、こちらは最初から恋愛感情があり、ヒロインの性格もおっちょこちょいだけどそれが逆にチャーミングです。


恋愛テ#12441;モクラシック
ヒロインの葵はずっと家庭教師の礼一朗に想いを寄せている。レッスンを頑張れるのも、彼に見合う女性になりたいという一心から。

 
 当然のことながら壁となるのは二人の身分差。成金ということで周囲からのからかい等もありますが、結局それも逆手に取って自分をよく見せるためのイベントとして吸収してしまいます。ただただ無邪気に礼一朗に想いを寄せるヒロインの純粋さと、どうしたって心惹かれるのに、それ以上に真面目でとにかく家庭教師としての姿勢を崩さない礼一朗の誠実さが、歯がゆくて、だけど心地良いのです。ヒロインが一生懸命頑張るのだって、礼一朗に見合うレディになりたいから、ただそれだけ。身分の差があることはわかっていますが、それは敢えて見ないように。だからこそ、その想いの強さがより伝わって切ない。
 
 物語はこの巻にて完結することにはなるのですが、風呂敷をぜんぶ畳んでめでたしめでたしという感じではありません。どちらかというと「新たなスタート」的なまとめで、この先まだまだ成長していくであろう二人を想像することができて良いですね。とっても爽やかな印象で、読後感は非常に良かったです。


【男性へのガイド】
→少女漫画定番のシチュエーション、作り。この手の作品は既に皆さんご存知かとは思うのですが、そこでの向き不向きをそのままイメージしていただければOKかと思います。
【感想まとめ】
→ヒロインが健気で可愛かったので、事前のイメージよりもサクサク読むことができました。オーソドックスな定番物語を、手堅くしっかり描き出しています。


作品DATA
■著者:島田ちえ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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