
運命なんてないんだよ
もしあるとしたら
運命は
自分で作ってくもんなんだ
■4巻発売です。
藤咲ひよりは中学3年生。現在隣のクラスの水野に片想い中。そんなある日、席替えで隣になった佐々本が水野の幼なじみだということを知る。水野に近づくために、佐々本に協力を頼む。始めは乗り気でなかった佐々本だったが、渋々OK。早速水野と佐々本、そして彼らの幼なじみで同じクラスの女子・琴音を誘って遊園地に行く。しかしその日気になったのは、水野ではなく佐々本のほうで…。
幼なじみ3人組の中に、ヒロイン・ひよりが飛び込み恋愛模様を描き出していくというお話です。最初は水野が好きだったものの、一緒に過ごすうちに、だんだん佐々本が気になりだすひより。一方の佐々本はひよりのことが前々から気になっていて、まぁめでたく両想いになるわけです。ちなみに水野はこの二人を応援。これだけ見るとすでに物語として終わっているようですが、この話のミソは幼なじみの琴音にあります。独占欲が強いのか、幼なじみ二人をずっと自分の所に引き止めようとします。そこにひよりが入り込んで佐々本とくっついたものだから、彼女は不機嫌に、邪魔をしてきます。

完全に悪役になってしまっている琴音。彼女に救いはあるのか…
琴音に振り回される3人という構図ですが、琴音がどうしてそこまで二人を独占しようとするのか今ひとつわかりません。一応理由的なものは描かれているのですが、それだけでは弱いんじゃないかなぁ。これだとただ琴音が悪い女ってだけで終わってしまいます。できることなら悪者は作らずに展開してもらいたいのですが、さて今後どうなるのでしょう。構図としては「僕等がいた」のような感じなのですが、悪役を琴音が全て引き受けている状態で、同じ位置のまま一向に進む事無い関係は、決して読んでいて気持ちのよいものではありません。
中学~高校での恋愛を描くお話ですが、「運命」や「お互いのために別れよう」といったフレーズが頻発。大人からしたら茶番に見えるかもしれませんね。ただ中学や高校の頃なんてみんなこんな感じだったんじゃないですかね?自分はもう立派な大人なんだって思っていて、恋愛も一人前だと。そして、それが全てだった。思い出してみれば自分もそうだった気が(笑)そういうイタさみたいなものはあるのですが、それもまたこの作品の魅力か。前述の心地よくない感じも含めて、いろいろな意味で優しくない作品ではありますが、結果としてそれが読み手を引き込む要因となっているのも確か。なんだかんだで買い続けていますが、どちらかというと買わされているといったほうが良いかも。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→このやきもき感を楽しめる男性はどのくらいいるのだろうか。好きな人はものすごいハマるかもしれませんけど。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→なんだかんだで買い続けているので。良いとか面白いとかそういう感じではないんですよね。受動的に、「読まなくちゃっ…」っていう感じ。
作品DATA
■著者:吉岡李々子
■出版社:講談社
■レーベル:KCベツフレ
■掲載誌:別冊フレンド(2007年10月号~連載中)
■既刊4巻