町麻衣「はしっこの恋」ずっと見ていられたら…
この先も…
■ここは北海道のはしっこのド田舎。この地域では、みんな大体農家か漁師です。園美は小さめの酪農家の娘で、自身も家の酪農業の手伝いをして毎日を過ごしている。そんな彼女が付き合っているのは、この地域では一番リッチな職業・漁師の息子であるテツ。牛にまみれて、魚にまみれて、北海道のはしっこで、田舎カップルは朗らかに愛を育みます…。
町麻衣先生のフィールヤングでの新作です。TLなどで描かれたりしていたのかな、なんて思っていたらサイトを見るとどうやらあフィーヤンの生え抜きの先生みたいですね。こちらが初単行本ということで、おめでとうございます。
さて、こちら紹介文にもあるように、北海道の田舎のカップルを描いたお話です。北海道の田舎が全部そうなのかは知りませんが、ヒロインの園美が住む地域は、酪農と漁業が産業のメインを占めるような町。園美の家は比較的小さな酪農家(といっても土地はめっちゃ広い)で、毎日牛を相手に仕事に励んでいます。そんな彼女が付き合っているのは、漁師一家の息子のテツ。この地域では群を抜いてリッチな職業である漁師ということで、家族は玉の輿にのったも同然のノリ。周りも結婚していくし、もちろん園美もそのつもりではあるのだけれど、もっとゆっくり考えたい気もするし、そもそもテツからそんな話はないし…そんな田舎なりの悩みを抱えるうら若きカップルの様子を、地域色いっぱいでお送りします。

こんな土地、こんな仕事だからこそ見えてくる相手の魅力。
私も地方出身なので、地方人の結婚の早さにはいつも驚くのですが、それでもこの作品の中に流れるソレは自分が体感しているものとはさらに違うもののように思えます(笑)出ていく者はいれど、入ってくる者はいない地域であり、くっつく相手も基本的には幼い頃から見知った仲。元カレ元カノが普通にお互い顔見知りなんてこともままある状況で、それってなんだかすごいなぁとか思うのですが。そんでもって早婚傾向。ということで、ヒロインの園美は23歳でありながら、既に周囲には既婚子持ちがわらわら。相手のテツとは付き合って1年程度とはいえ、年齢的には結婚は射程圏内に入っています。けれども23~24でそんなことなかなか本腰入れて考えることもできないわけで。そんな中、もっともっと相手のことを知ろうと頑張るヒロインと、男らしく彼女を引っぱろうとするけれど、根が草食系で格好がつかない相手。その様子がなんとも微笑ましく、雰囲気は終始朗らか。
どこかしらモデルとなる場所はあると思うのですが、漁師が一番リッチな職業なのですね。漁船を降りたら普通に外車を乗り回し、夕飯に出てくるのはカニにウニに…。また息子には思春期頃に離れを買い与え、結果それが童貞喪失に一役買うなんてやりたい放題。結果登場する漁師の息子たちはヤンキーテイストたっぷりなドラ息子っぽい感じなのですが、相手のテツは表紙からもわかるように実に大人しい性格の男子。好き放題やる弟たちに振り回される、家族内では割と損な役回りの人です。そんな彼に好感を覚えずにはいられないのは、きっと自分だけではないはず。
田舎の恋ということですが、地方出身者は少なからず共感できる内容になっていると思いますし、こういう恋愛の仕方も良いものだなぁと思わせてくれる一作でした。なお巻数表示ついていませんが、連載は続いており、おいおい2巻も発売されるのではないかと思います。都会的な恋愛を描くイメージのあるフィールヤングにあって、真逆を行くド田舎恋愛というアプローチの本作、ちょっと応援したいですねー。
【男性へのガイド】
→フィーヤン系の作品読んで「女性向け漫画わかってる俺」を出してる男性はこれ読んでどう評価するのか聞きたい。ってガイドコメントですらないな。良い意味でフィーヤンっぽくない作品なのですが、メインを構成する男性陣は割と情けない人が多く、共感のできる人多いかもしれませんよ。
【感想まとめ】
→ここで完結でも良いかと思ったのですが、続きあるみたいで。のどかな田舎での、ゆっくりな恋物語。この素朴さと温かさは、なんだか色々勇気づけられるというか、心温かくなりますね。
作品DATA
■著者:町麻衣
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィール
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻
■価格:933円+税
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