作品紹介→モデルの裸、全て見せます:しばの結花/田中渉「ランウェイの恋人」1巻
2巻レビュー→才能がせめぎ合うランウェイまでの熱すぎる戦い:しばの結花「ランウェイの恋人」2巻
しばの結花「ランウェイの恋人」(3)
まだ見ぬ未来を
自分を生き抜くために
■3巻発売、完結しました。
大手CMのモデルの座をかけて、亜希と争うことから逃げてしまった唯。母の夢を追って、モデルを続けることに、ますます悩み苦しんでいた。一方、モデルの頂点・パリからオファーがきた亜希も、恋と仕事の間で心が揺れ動く。嫉妬、焦り、迷い…葛藤とプライドをかけて進む、モデル達の本音へ!
~完結です~
3巻で完結しました。少女マンガは内面を掘り下げていけばいくらでも長引かせることができるのですが、それでも原作者の田中渉先生の作品って長編というイメージがなくて、3巻までよくぞ続いてくれたという印象が強いです。いや、そんなに読んでいるわけではないので、実際長いお話も書かれているのだとは思うのですが、どちらかというとハードカバー薄いよなぁ的な印象というか。。。
~過去回帰と、自分の進むべき道~
ヒロインの唯は、1巻2巻と亜希の成長の前に自信を失っていくばかり。一度は立ち向かう勇気を持ったものの、それを上回る彼女の魅力の前に、自己評価は再び急降下。とにかくずっとずっと打ちのめされる惨めさであるとか、努力しても報われない辛さを読者に浴びせかけてきたわけですが、それでもなお奮起する唯に非常に心惹かれました。「努力は報われる」唯と同じように、自分もどちらかというとその方向に期待を寄せていたのですが、物語はそうは転がらなかったようです。モデルとしてはやはり亜希の方が圧倒的にポテンシャルは上。それは努力や運だけではどうすることもできない要素だったようです。

このままではモデルとしての新里唯は潰れてしまう、何かしらの形で代替の救いを用意するわけですが、本作ではそれが母の過去と唯を生んだ経緯でした。唯は母のパリコレの夢を絶った忌むべき存在ではなく、死の危険性があったとしてもそれでもなお生まれて欲しいと願って生まれた大事な大事な存在。それをきっかけに、唯は自分の自己否定をなくし、自分の進むべき道を歩むようになります。あれほどまでに固執し続けたパリコレへの夢は諦め、自分らしさを最も活かせる路線へ。亜希も唯も、どちらも成功、どちらも幸せで一件落着です。誰も不幸せにならない、清々しい終わり方でした。
~努力を報いてあげたい~
ただですねぇ、個人的にはもっと唯の意地を見てみたかったというか…(笑)今回のような救いの見せ方でももちろん良いのですが、これまでの唯のパリコレへ向けた努力はなかったものにされてしまうのだろうか、という想いがちょっとありまして。もちろんこれまでやって来たこと全てが無駄になるわけではありません。今の魅力ある唯を作り出しているのは、他でもない自分磨きによるものです。けれどもそれはあくまでパリコレへ向けられたもの。物心ついてモデルを志して以降、母親への想いも相まって、ずっとこれだけを見据えて頑張ってきました。

過去の努力はちゃんと受け入れてはいる。
今回提示された救いは、モデルを志して以降の努力を報いるものではなく、それ以前の前提の修正。かなり歪んだ表現をするならば、「いや、君が思ってたのは勘違いだからもういいよ。良く頑張ったね。」って言っちゃうようなもので、なんかちょっと寂しいんですよね。結果これが唯に安寧をもたらすのは言うまでもないのですが、意地になって努力していた唯が好きだったので、どうしても。才能で輝く人はもちろん素敵ですが、努力で成り上がり、そしてそのことを誇っている存在はもっと好きです。なんかどこか一つでも、彼女の努力が報われるところがあっても良かったかなぁって。なんてパリコレ一本だから、生半可に叶えることもできなんですよね、難しいなぁ。何はともあれ、ただただ頑張り、甘さには全くと言ってよい程触れることのできなかった唯ちゃんに拍手!本当に素敵なヒロインでした!
■購入する→Amazon
2巻レビュー→才能がせめぎ合うランウェイまでの熱すぎる戦い:しばの結花「ランウェイの恋人」2巻

まだ見ぬ未来を
自分を生き抜くために
■3巻発売、完結しました。
大手CMのモデルの座をかけて、亜希と争うことから逃げてしまった唯。母の夢を追って、モデルを続けることに、ますます悩み苦しんでいた。一方、モデルの頂点・パリからオファーがきた亜希も、恋と仕事の間で心が揺れ動く。嫉妬、焦り、迷い…葛藤とプライドをかけて進む、モデル達の本音へ!
~完結です~
3巻で完結しました。少女マンガは内面を掘り下げていけばいくらでも長引かせることができるのですが、それでも原作者の田中渉先生の作品って長編というイメージがなくて、3巻までよくぞ続いてくれたという印象が強いです。いや、そんなに読んでいるわけではないので、実際長いお話も書かれているのだとは思うのですが、どちらかというとハードカバー薄いよなぁ的な印象というか。。。
~過去回帰と、自分の進むべき道~
ヒロインの唯は、1巻2巻と亜希の成長の前に自信を失っていくばかり。一度は立ち向かう勇気を持ったものの、それを上回る彼女の魅力の前に、自己評価は再び急降下。とにかくずっとずっと打ちのめされる惨めさであるとか、努力しても報われない辛さを読者に浴びせかけてきたわけですが、それでもなお奮起する唯に非常に心惹かれました。「努力は報われる」唯と同じように、自分もどちらかというとその方向に期待を寄せていたのですが、物語はそうは転がらなかったようです。モデルとしてはやはり亜希の方が圧倒的にポテンシャルは上。それは努力や運だけではどうすることもできない要素だったようです。

このままではモデルとしての新里唯は潰れてしまう、何かしらの形で代替の救いを用意するわけですが、本作ではそれが母の過去と唯を生んだ経緯でした。唯は母のパリコレの夢を絶った忌むべき存在ではなく、死の危険性があったとしてもそれでもなお生まれて欲しいと願って生まれた大事な大事な存在。それをきっかけに、唯は自分の自己否定をなくし、自分の進むべき道を歩むようになります。あれほどまでに固執し続けたパリコレへの夢は諦め、自分らしさを最も活かせる路線へ。亜希も唯も、どちらも成功、どちらも幸せで一件落着です。誰も不幸せにならない、清々しい終わり方でした。
~努力を報いてあげたい~
ただですねぇ、個人的にはもっと唯の意地を見てみたかったというか…(笑)今回のような救いの見せ方でももちろん良いのですが、これまでの唯のパリコレへ向けた努力はなかったものにされてしまうのだろうか、という想いがちょっとありまして。もちろんこれまでやって来たこと全てが無駄になるわけではありません。今の魅力ある唯を作り出しているのは、他でもない自分磨きによるものです。けれどもそれはあくまでパリコレへ向けられたもの。物心ついてモデルを志して以降、母親への想いも相まって、ずっとこれだけを見据えて頑張ってきました。

過去の努力はちゃんと受け入れてはいる。
今回提示された救いは、モデルを志して以降の努力を報いるものではなく、それ以前の前提の修正。かなり歪んだ表現をするならば、「いや、君が思ってたのは勘違いだからもういいよ。良く頑張ったね。」って言っちゃうようなもので、なんかちょっと寂しいんですよね。結果これが唯に安寧をもたらすのは言うまでもないのですが、意地になって努力していた唯が好きだったので、どうしても。才能で輝く人はもちろん素敵ですが、努力で成り上がり、そしてそのことを誇っている存在はもっと好きです。なんかどこか一つでも、彼女の努力が報われるところがあっても良かったかなぁって。なんてパリコレ一本だから、生半可に叶えることもできなんですよね、難しいなぁ。何はともあれ、ただただ頑張り、甘さには全くと言ってよい程触れることのできなかった唯ちゃんに拍手!本当に素敵なヒロインでした!
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