サトーユキエ「子供だって大人になる」
ねぇ譲ちゃん
今は
昔の自分が願ってた
未来なのかなぁ■大学に4年、そして社会人で1年。上京してから5年ぶりに故郷に里帰りした直は、偶然初恋の相手・譲に再会する。上京後もくすぶり続けていた想いから、久々の再会に気持ちが高ぶる直。しかし、譲から告げられたのは、思いもよらない事実だった。幼なじみとの結婚。全く予想していなかった直は、落ち込んだまま東京に帰り、また普段通りの退屈な生活を再開する…はずだったのだが、意外な人物が彼女の前に現れる。鈴、直たちの幼なじみで、譲の婚約者。なんと鈴は、譲とは結婚はしないと宣言し、さらに直の家に居座ってしまった。さらに彼女を追うように、譲の弟・行生まで現れて…!?
家業を継ぐために地元に残った譲と、大学進学のために上京した直。直は高校卒業以降ずっと譲のことを忘れられずにいました。そんな中、久々に帰った故郷で譲の結婚の話を知り、落ち込む直。しかし話はそれで終わらず、なんと東京の直の家に譲の結婚相手・鈴が押し掛けてきます。さらに譲の弟・行生も加え、なにやら不思議な生活が始まります。故郷の幼なじみ4人で話が進められますが、描かれているのは直の忘れられない想いについて。くすぶり続ける想いを、相手の結婚を知ったことでどう整理をつけ、完結させていくか、というお話です。

突然告げられた結婚の話に直は動揺する。
軸として描かれているのは直の気持ちについて、すなわち静の描写。けれど、鈴や行生が関わってくることで、話に動きが出て、さらに直の気持ちにも動きが出てきます。端的に言えば、恋心の終わりを描くだけの作品なのですが、そこに辿り着くまでの心情描写が丁寧で、かつ人物達もよく動くので退屈になりません。またうだうだ長引かせることもせず、カッチリと一冊以内にまとめ、最後にはちゃんと希望も見せているのは好印象。意外な掘り出し物。こういう空気感の作品が好きってのもありますが、面白かったです。
【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】→片想い話とも違う。いかに自分の気持ちに整理をつけるかというのがテーマ。そういうメンタリティって男性の方がよく見られますよね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】→1巻完結としてスッキリまとめてきました。面白かったです。次作は期待大ですね。
作品DATA■著者:サトーユキエ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス クッキー
■掲載誌:クッキー(平成20年8月号~11月号),読切り「NG」クッキー(平成18年12月号)
■全1巻
■価格:400円+税