作品紹介→葉月かなえ「好きっていいなよ。」
3巻レビュー→根暗と幼女とヤリマンと・・・ 葉月かなえは計り知れない 《続刊レビュー》 「好きっていいなよ。」3巻
4巻レビュー→まだまだ幅を見せつける,どんどん面白くなる 《続刊レビュー》葉月かなえ「好きっていいなよ。」4巻
5巻レビュー→努力をしてきた子は美しい:葉月かなえ「好きっていいなよ。」5巻
関連作品レビュー→葉月かなえ「堀高ハネモノレンジャー」/ 葉月かなえ「あれもしたい、これもしたい」
6巻レビュー→弱い心が人を傷つけてしまう:葉月かなえ「好きっていいなよ。」6巻
7巻レビュー→あたしは表で生きていきたいのよ:葉月かなえ「好きっていいなよ。」7巻
葉月かなえ「好きっていいなよ。」(8)
今
あたしのなかで女の子が満ちていってる
■8巻発売しました。
黒沢大和と橘めいがつきあいはじめ、1年が過ぎた。そして迎えた文化祭。なんの運命のきまぐれか、校内のアイドルを決めるコンテストに、大和だけでなくめいも出場することに…!候補にはもちろんあのめぐみもいて…。大和と2人でグランプリを目指して、自分磨きに初めて取り組むめいだけど、生まれ変わっためぐみに真っ正面から挑まれて……。
~白めぐみの奮闘~
8巻発売しました。前回はめぐみのモデルとして築き上げてきたその魅力とプライドにスポットが当てられましたが、今回は生まれ変わっての学内でのコンテストです。初登場時は黒さにまみれていましたが、7巻を経て辿り着いたのは真っ白な彼女、白めぐみです。手強い相手になりそうなんて想像していたら、都合良く文化祭でのミスコン開催。しかも優勝者同士、デートの約束付き。大和は前回大会2位で、今大会では本命必至。彼氏彼女がいようが全く関係なしに行われるデートに、めいもさすがに焦り、さらに周囲の余計(?)なサポートによってコンテストに出場することに。一応学内で5位以内の得票数にならないといけないらしいのですが、見事5番目でエントリーされたのでした。てか何気に海や愛子も入っていて、めいの周り美女にイケメンだらけなんだなぁと改めて。だから一層めいは引け目を感じるような気もするのですが、そこはあんまり気にならないのか。そしてもう一個驚きなのが、昨年大和が2位だったということ。だってあれだけ人気のある彼ですよ!?さらにその上を行く存在がいるとか、もう化け物クラスですよもう。そしてそんなコンテストにめぐみは…

ガチ本気。
うわー、これは勝てないですわ。ずるいずるい。生まれ変わった者として、この勝負ですら、いやこういう勝負だからこそ本気で。松岡修造みたいですよ、心構えが。これはさすがにシナリオとして、めいがめぐみに勝つのは難しそう…さてどう決着つけるのやら。なんて思っていたら、まさかの大感動が待っていましたよ…
~とにかくめいの言葉が感動的だった~
彼女がコンテストに出場した理由は、大和が他の誰かとデートしてほしくないから。そもそも参加に前向きでなかったのですが、周りの後押しもあり出場することになってしまった手前、頑張らざるを得なかったようです。デートを阻止するのであれば、めいが一位になるよりも、大和が一位にならないことに対して努力した方が早そうです(失礼ではありますが…)。けれどもめいにとって大和は一番であって、やっぱりコンテストでは一位を取って貰いたい。それにそんな素敵な彼と同じ舞台に立つというのに、自分だけみすぼらしい格好でいられるわけがない。様々な想いがあったはずです。最初は乗り気でなかったのですが、大和と大和の兄、あさみさんの手助けによって変身。さらには自ら危機感を持って、ジョギングに食事制限に、パックまで始めるようになります…。そんなさなかのめいの言葉がとっても印象的で…
今までご飯は大盛り、オシャレなんてしたことはなく、お化粧に美容云々なんて全く興味なし。そんな彼女が、今女の子に満ちています。なんだかとっても素敵なフレーズ。男性である自分では、絶対に味わえない感覚です。しかし「何年分」というフレーズが、女性の女性として生き出す早さを物語っていてすごいなって思います。めいだってまだ高校2年生とかですよ。まだまだいくらだって始めることができる年なのに、それでも周回遅れどころではないほどに遅れを感じているという。もちろん彼女がそれまでの人生しか経験していないからとも言えるのですが、それ以上に重いものを感じるというか。

さて、その結果生まれ変わっためい。こんなにかわいくなりました!って正直ここ最近のめいは初期に比べたら驚くほどかわいくなっていたと思うんですけどねって。でもやっぱり、着飾って自分を見せようとしている女の子っていうのは、地の魅力とは別の部分で可愛さを感じるものです。素敵ですよね。
しかしだからといって中身が変わるわけではありません。やっぱり場違い感はあるし、とっても怖い。でも自分はこの舞台に立たなくてはいけない。震ながら舞台に上がり、生徒達の前で彼女が伝えた言葉。とにかく長くて、まとまっていない言葉たちでした。ページで見ると吹き出しがいっぱいです。けれどだからといって、無駄な言葉は一つもありませんでした。彼女が彼女なりに着飾り、彼女なりの言葉で精一杯伝える。そりゃあ感動するってもんです。「あたしが女の子であるということを気づかせてくれた」。化粧をして、おしゃれをして、可愛く見せることこそが“女の子であること”だとはさすがに思いませんが、でもそれってやっぱり女性ならではの特権ですよね(時折すっごく羨ましくも、大変にも思えます)。そしてそんなある種記号的な「女の子らしくある行動」を、内面での補強でもってこんなにも肯定的に、そして素敵に描いてくださった葉月かなえ先生ってやっぱりすごいです。
~大切な人だからこそ、触れたい、けれども慎重になる~
この一件でどこか緩んだのか、その後のめいはちょっと変な感じ。いつもとは違い、大和に触れたい願望が強く、強く。校内でのキスってのはなかなかロマンチックではあったのですが、何気に性的な感を匂わせつつ描かれていたのでちょっと読んでいて「見ちゃってごめんなさい!」的に目を覆ってしまいました(笑)好きだから触れたい、けれども大切だから触れるのには慎重になる。そんな彼女の中での葛藤が歯がゆくて良いです。いよいよ意識せざるを得ないのが、セックス。「問題を目の前にして、いいセックスができるわけがない」…なんで経験のない子が良い事言うんだ!いや、実際そうなのか知りませんが。いよいよこちらも逃げることができなくなってきましたが、さて今度はこのくだりをどんな風に素敵に彩ってくれるのか。ティーンズラブ出身の葉月かなえ先生にとっては、これこそがメインフィールドと言っても過言ではありませんから、もう今から(正確にはずっと前から)楽しみで楽しみで仕方ありません…!
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3巻レビュー→根暗と幼女とヤリマンと・・・ 葉月かなえは計り知れない 《続刊レビュー》 「好きっていいなよ。」3巻
4巻レビュー→まだまだ幅を見せつける,どんどん面白くなる 《続刊レビュー》葉月かなえ「好きっていいなよ。」4巻
5巻レビュー→努力をしてきた子は美しい:葉月かなえ「好きっていいなよ。」5巻
関連作品レビュー→葉月かなえ「堀高ハネモノレンジャー」/ 葉月かなえ「あれもしたい、これもしたい」
6巻レビュー→弱い心が人を傷つけてしまう:葉月かなえ「好きっていいなよ。」6巻
7巻レビュー→あたしは表で生きていきたいのよ:葉月かなえ「好きっていいなよ。」7巻

今
あたしのなかで女の子が満ちていってる
■8巻発売しました。
黒沢大和と橘めいがつきあいはじめ、1年が過ぎた。そして迎えた文化祭。なんの運命のきまぐれか、校内のアイドルを決めるコンテストに、大和だけでなくめいも出場することに…!候補にはもちろんあのめぐみもいて…。大和と2人でグランプリを目指して、自分磨きに初めて取り組むめいだけど、生まれ変わっためぐみに真っ正面から挑まれて……。
~白めぐみの奮闘~
8巻発売しました。前回はめぐみのモデルとして築き上げてきたその魅力とプライドにスポットが当てられましたが、今回は生まれ変わっての学内でのコンテストです。初登場時は黒さにまみれていましたが、7巻を経て辿り着いたのは真っ白な彼女、白めぐみです。手強い相手になりそうなんて想像していたら、都合良く文化祭でのミスコン開催。しかも優勝者同士、デートの約束付き。大和は前回大会2位で、今大会では本命必至。彼氏彼女がいようが全く関係なしに行われるデートに、めいもさすがに焦り、さらに周囲の余計(?)なサポートによってコンテストに出場することに。一応学内で5位以内の得票数にならないといけないらしいのですが、見事5番目でエントリーされたのでした。てか何気に海や愛子も入っていて、めいの周り美女にイケメンだらけなんだなぁと改めて。だから一層めいは引け目を感じるような気もするのですが、そこはあんまり気にならないのか。そしてもう一個驚きなのが、昨年大和が2位だったということ。だってあれだけ人気のある彼ですよ!?さらにその上を行く存在がいるとか、もう化け物クラスですよもう。そしてそんなコンテストにめぐみは…

ガチ本気。
うわー、これは勝てないですわ。ずるいずるい。生まれ変わった者として、この勝負ですら、いやこういう勝負だからこそ本気で。松岡修造みたいですよ、心構えが。これはさすがにシナリオとして、めいがめぐみに勝つのは難しそう…さてどう決着つけるのやら。なんて思っていたら、まさかの大感動が待っていましたよ…
~とにかくめいの言葉が感動的だった~
彼女がコンテストに出場した理由は、大和が他の誰かとデートしてほしくないから。そもそも参加に前向きでなかったのですが、周りの後押しもあり出場することになってしまった手前、頑張らざるを得なかったようです。デートを阻止するのであれば、めいが一位になるよりも、大和が一位にならないことに対して努力した方が早そうです(失礼ではありますが…)。けれどもめいにとって大和は一番であって、やっぱりコンテストでは一位を取って貰いたい。それにそんな素敵な彼と同じ舞台に立つというのに、自分だけみすぼらしい格好でいられるわけがない。様々な想いがあったはずです。最初は乗り気でなかったのですが、大和と大和の兄、あさみさんの手助けによって変身。さらには自ら危機感を持って、ジョギングに食事制限に、パックまで始めるようになります…。そんなさなかのめいの言葉がとっても印象的で…
この数時間で
何年分もの女の子を取り戻している気がする。
今あたしのなかで
女の子が満ちていってる。
何年分もの女の子を取り戻している気がする。
今あたしのなかで
女の子が満ちていってる。
今までご飯は大盛り、オシャレなんてしたことはなく、お化粧に美容云々なんて全く興味なし。そんな彼女が、今女の子に満ちています。なんだかとっても素敵なフレーズ。男性である自分では、絶対に味わえない感覚です。しかし「何年分」というフレーズが、女性の女性として生き出す早さを物語っていてすごいなって思います。めいだってまだ高校2年生とかですよ。まだまだいくらだって始めることができる年なのに、それでも周回遅れどころではないほどに遅れを感じているという。もちろん彼女がそれまでの人生しか経験していないからとも言えるのですが、それ以上に重いものを感じるというか。

さて、その結果生まれ変わっためい。こんなにかわいくなりました!って正直ここ最近のめいは初期に比べたら驚くほどかわいくなっていたと思うんですけどねって。でもやっぱり、着飾って自分を見せようとしている女の子っていうのは、地の魅力とは別の部分で可愛さを感じるものです。素敵ですよね。
しかしだからといって中身が変わるわけではありません。やっぱり場違い感はあるし、とっても怖い。でも自分はこの舞台に立たなくてはいけない。震ながら舞台に上がり、生徒達の前で彼女が伝えた言葉。とにかく長くて、まとまっていない言葉たちでした。ページで見ると吹き出しがいっぱいです。けれどだからといって、無駄な言葉は一つもありませんでした。彼女が彼女なりに着飾り、彼女なりの言葉で精一杯伝える。そりゃあ感動するってもんです。「あたしが女の子であるということを気づかせてくれた」。化粧をして、おしゃれをして、可愛く見せることこそが“女の子であること”だとはさすがに思いませんが、でもそれってやっぱり女性ならではの特権ですよね(時折すっごく羨ましくも、大変にも思えます)。そしてそんなある種記号的な「女の子らしくある行動」を、内面での補強でもってこんなにも肯定的に、そして素敵に描いてくださった葉月かなえ先生ってやっぱりすごいです。
~大切な人だからこそ、触れたい、けれども慎重になる~
この一件でどこか緩んだのか、その後のめいはちょっと変な感じ。いつもとは違い、大和に触れたい願望が強く、強く。校内でのキスってのはなかなかロマンチックではあったのですが、何気に性的な感を匂わせつつ描かれていたのでちょっと読んでいて「見ちゃってごめんなさい!」的に目を覆ってしまいました(笑)好きだから触れたい、けれども大切だから触れるのには慎重になる。そんな彼女の中での葛藤が歯がゆくて良いです。いよいよ意識せざるを得ないのが、セックス。「問題を目の前にして、いいセックスができるわけがない」…なんで経験のない子が良い事言うんだ!いや、実際そうなのか知りませんが。いよいよこちらも逃げることができなくなってきましたが、さて今度はこのくだりをどんな風に素敵に彩ってくれるのか。ティーンズラブ出身の葉月かなえ先生にとっては、これこそがメインフィールドと言っても過言ではありませんから、もう今から(正確にはずっと前から)楽しみで楽しみで仕方ありません…!
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