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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2012.02.26
1106111847.jpg天乃忍「ラストゲーム」(1)


九条は女の子なんだって
気づいてしまった



■父親は大手リゾート会社の社長、勉強は常にトップで運動会でもヒーロー、見ためも良くってスカウトだって数えきれない…そんな超完璧少年・柳の前に、転校生・九条が現れ、勉強・運動で惨敗!人生初の屈辱に、柳は九条への雪辱を決意。おぼっちゃまなのに同じ公立中学、高校へと進学する中、「惚れた方が負け」という言葉を耳にし、柳はあることを決意する…。10年に渡る2人の勝負が、今始まる…!!

 「片恋トライアングル」(→レビュー)、「夏のかけら」(→レビュー)などを描かれている天乃忍先生の新連載です。描かれるのはとある男女の10年間。小学校の出会いから、物語は始まります。顔良し、頭よし、家柄良し、運動神経良し…どこをとっても完璧な少年・柳の最盛期は思えば小学校の時まででした…。彼の楽しい王子様ライフが崩れはじめたのは、小学5年生の時に転校生として、九条がやってきてから。勉強でも運動でも彼女に惨敗の柳は、初めて挫折を味わうことになります。「自力であいつに勝ってやる」それだけを心に決めて、同じ中学、高校へと進学。けれどもなかなか九条に勝つことはできません。そんな中、ふと校内の男子が話していた言葉を耳にし、ちょっと方針転換。「惚れた方が負け」…そうか、それならば九条を惚れさせて告白されて、それをこてんぱんにフれば俺の大勝利!早速実践に移す柳ですが…


ラストケ#12441;ーム
最初はまともに認識すらされていなかった。柳が一方的にライバル視して、勝負を仕掛けて、知らずに敗れていくという。。。これはもはや恋と言うより執着に近いのかも。そして髪の毛香っちゃう(これすごいわかる)。もう変態ストーカー王子ですな。


 元々は3話完結の予定だったようなのですが、好評につき連載化とのこと。恋、特に一方通行で奥ゆかしい恋物語を得意とする印象のある天乃忍先生ですが、新作も非常に面白いです。完璧王子のプライドが、もっと出来る(けど地味)な女の子によって崩され、結果彼女に執着しいつしか恋心へと変わっていく…白泉社をはじめ、割とありがちなシチュエーションではありますが、余計な登場人物を極力排除しほぼ2人のやりとりのみで物語が進むため、感情の掘り下げが秀逸です。特に柳の「恋に落ちる瞬間」を瑞々しく描き、そこから終始続く相手を意識している中での悩みや喜びを描くという流れが本当に素敵で、あっという間に引き込まれてしまいました。
 
 なんだかとってもヘタレというか、残念な主人公・柳なのですが、それもそうなってしまうはず。お相手の九条さんはとにかく鈍感なお嬢さんなのです。母子家庭の育ちで、「母親を楽にさせてやりたい」というそれだけしか考えていない、ある意味心優しい彼女は、母親以外にはとことん無頓着。感情の起伏も殆どなく、恋愛はおろか、友達だってろくにいないような感じです。アダ名は「鉄の女」。そんな難攻不落の城に、無謀にも戦いを挑むってんだから大変。最初にさらっと言った、二人の10年を追いかけるという言葉。10年というと非常に長い月日のように思えますが、九条さんの心を溶かすには、それぐらい、いやそれでも足りないくらいの時間が必要なんです。
 
 そんな九条さんですが、決して人間の心を持たないとかそういうわけではなく、弱点や人並みの感情(失礼な言い方)ももちろん持ち合わせています。普段は全く動じることのない子の、そんなふとした表情を目にしたときの感動ったら。そりゃあ柳が気がつけば夢中になっているのも頷けます。実際九条さん、その時めっちゃかわいいし。しかし鈍感な相手には素直に全力で当たらなければいけないのですが、柳にも未だに腐れずおぼっちゃまのプライドは残っているわけで。スマートに落とそうとするわけですが、それが空回りまくりで、、、そんな姿が笑えて切ない。結局どっちも不器用なんだろうなぁ。


ラストケ#12441;ーム2
最後の勝負は、「九条さんに恋心を自覚させたら勝ち」。ゴールも明確。けれどもそのゴールが、険しく遠い。。。


 1巻ですが、プロローグとして「現在」の視点があり、1話目に小中学校時代、2話目に高校時代、そして3話目に大学入学と、回想する形で物語は移り変わっていきます。2巻以降物語で描かれるのは、大学での二人の関係。中高設定がほぼ全てのLaLaでこの年齢設定はなかなか興味深いものではあります。一体どのような物語を描いて、どのように着地させるのか。今からとても楽しみです。個人的には「らいかデイズ」の二人みたいな感じになるのかなぁとか思っているのですが、どうなんでしょう。ただただひたすらに“恋愛”に絞った清々しい物語、男女関係なく皆さんに読んで欲しい作品です。
 

【男性へのガイド】
→天乃忍先生は男性でも好きな方は必ずいると信じておりますよ!
【感想まとめ】
→これは良かった。話の流れも綺麗で無理無く、そして何より切なくて可笑しくて、それでちょっと温かい。きっとあなたも二人のゲームの行く末を、最後まで見守りたくなるはず!


作品DATA
■著者:天乃忍
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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王国の子
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シリウスと繭
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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BEARBEAR
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
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