このエントリーをはてなブックマークに追加
--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリスポンサー広告||TOP▲
このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] [オススメ] [読み切り/短編] 2012.03.30
1106133397.jpg楠田夏子「グレイ ロマンス」


私が辿り着いた今も
確かに未来の一つだもん…



■“好き”って一体なんですか?“恋”って一体なんですか?
 長年の友達との別れが恋を芽生えさせた…。
 30歳を越えて処女ってダメですか…?
 見てるだけ、頭の中でしか私は恋ができない…。
 世の中に、恋は溢れているけれど、あいまいにしかならない恋もある。
 そんな想いを描いたオムニバスシリーズ。
 あなたの恋は何色ですか…?
 
 楠田夏子先生の短編集、「それでも恋していいでしょ」と同時発売でございます。楠田夏子先生というと、とある大学の女子寮を舞台に描いた青春群像劇「ことことかるてっと」(→レビュー)が印象的な若手作家さんというイメージがあります。短編集を2冊同時発売出来る程に作品が溜まっていたんですね。そして同時発売させるほどに、編集サイドの期待値も高いということでしょう。というわけで、「gray romance」のご紹介です。
 
 収録されているのは全部で5篇の読切り。それぞれの話をかいつまんでご紹介すると…。遠方に転勤する長年の同僚から、「実は昔好きだった」と打ち明けられた大学講師のお話「別れのセレナーデ」。「いいな」と思う人はたくさん、けれどもあくまで見ているだけで楽しむ…そんなある意味楽しい毎日を送っていた女子高生のヒロインに、不意に彼氏が出来る「甘い呪い」。長年連れ添った同棲相手との生活についてあれこれ考えを巡らせる「日常系 演技派女優」。見ためは悪くないけれど、過去の出来事を引きずり30過ぎて未だに処女で…という「眠れる銀河」。出産を控えた若ママが、幼い姪の考えがわからずに子供を産むことにちょっとだけ恐れを感じてしまう「エイリアンママ」。そして長年の友達が転校することをきっかけに、恋が芽生える「Colorful」。


ク#12441;レイロマンス
 ヒロインの年齢、社会的地位、置かれている状況は様々ではあれど、全ての話に共通しているのは、ほろ苦さの先行したどこか切ない物語であるということ。タイトルにも含まれる「グレイ」に表されるように、どこか晴れやかでない悲しみを孕んだお話が多いです。連想されるのは、「別れ」「実らなかった恋」「悲恋」等…そういった中で、自分なりに区切りを見つけたり、ちょっとした幸せを用意したりと、曇り空の中一筋の光が差すようなまとめ方で読後感はしっかりと担保します。
 
 個人的なお気に入りは、「眠れる銀河」。30歳で処女という設定もさることながら、そんな彼女がなぜだか不意にポルノ映画館へ足を運び、偶然会社の上司と出くわしてしまうという、この異質さとワクワク感よ。読切りという短い時間の中にこれだけ異質な要素を落とし込んでおきながら、最後はとってもシンプルで幸せなまとめ方。濃密だけどごみごみしていなくて、最後はすっきり温かい。久々に良い読切りを読んだ気がします。他には「別れのセレナーデ」「日常系 演技派女優」がお気に入りでした。女子高生がヒロインの2作は別に気に入らなかったわけではないですが、ヒロインの年齢が高い程個人的にはアンテナに引っ掛かる感じでした。
 
 しかし楠田先生って幾つなんだろう。「別れのセレナーデ」や「眠れる銀河」を見ると普通に30代は行っている気がするし、「エイリアンママ」も出産を経験していると言われた方がしっくりくるような。「ことことかるてっと」では大学生なりの心情を上手く描き出していたので、近い年代の方だと勝手に思っていたのですが、どうやら大学生に限らず登場人物たちの心情を描き出すのが上手い漫画家さんだったようです。


【男性へのガイド】
→女性メインで女性ならではのエピソード多め。ということは自ずと女性こそ楽しめる側面が強くなってくるわけですが、こういうテイストの作品好きな男性は思いのほかいると思うのですよね。
【感想まとめ】
→2冊同時発売ながら薄まることなく全編濃い濃い。寄せ集め感のないよい作品集でした。面白かったです。



作品DATA
■著者:楠田夏子
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■全1巻
■価格:619円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「Kiss」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。