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Tag [続刊レビュー] 2012.04.04
作品紹介→義理の父娘が紡ぐ、あったか同居物語:山川あいじ「やじろべえ」1巻
作者他作品紹介
最後には、あなたを想う気持ちがそこに:山川あいじ/河原和音「友だちの話」
チョコと自由と正義のため、子供達が立上がる!:山川あいじ「チョコレート・アンダーグラウンド」




1106121664.jpg山川あいじ「やじろべえ」(2)


なくなるものがあると
人は気づくのかな
やさしさに



■2巻発売です。
 葉瑠は幼い頃に母親を亡くして以来、義理の父・誠司と二人暮らし。葉瑠の高校入学に前後して、誠司の実家や幼なじみの凡太、誠司の旧友・千絵さんと、新しい出会いで二人の世界は広がる。変化していく生活の中で、葉瑠が思い描く二人の未来は…?
 

~この作品は名作かもしれない~
 2巻発売でございます。本作は1巻の次点でオススメしていて、上半期新作オススメの記事でも挙げていたのですが、正直に言うとどこか掴み切れていない所があり、昨年は強くプッシュできず終いでした。2巻も若干半信半疑での読みはじめとなったのですが、ここで確信、これは間違いなく良作、いや名作と呼べる域にまで行くんじゃないかってくらい心に響くものがありました。改めて「やじろべえ」オススメです。


~「うさぎドロップ」の違う結末があるかもしれない~
 掴み切れていない=ある種の違和感の正体は、端的に言えば「少女マンガでありながら、恋愛要素が極端に薄い」そして「明確な恋愛対象の不在」という二つがありました。少女マンガである以上、十中八九恋愛が最優先で描かれるものであるのですが、本作については描かれるのは義父である誠司との関係がメイン。このまま温かい親子関係を描くと受け取ってもよかったのですが、そう素直に受け取れなかったのは作品が醸し出す雰囲気以外にもう一つ。ちょうど1巻を読むちょっと前に「うさぎドロップ」(→レビュー)がりんとダイキチが結ばれるというエンディングを辿ったため、もしかしたらこちらもそれと同じ路を辿ることになるのか…?なんて疑念がよぎっていたのでした。別にそういう終わり方でも良いのですが、それであれば予めそういう雰囲気を強めに出していて欲しいなぁと思ってまして。けれどもそういった想いは2巻にてしっかりと晴れることに。

 まずは恋愛の相手になってくれそうな子が二人…。一人は幼なじみの凡太、そしてもう一人は父親の旧友の息子である永和。凡太については葉瑠に対しての明確な恋愛感情を抱いており、一方の永和はそうではなく、また凡太と葉瑠を見守るような素振りすらあります。このままいけば凡太ですが、気まぐれで迷いがちな少女の心ゆえに、永和の可能性もなくはない。永和の母でシングルマザーとなった千絵さんはどうやら前から誠司に特別な想いを抱いているようで、場合によっては弟的ポジションに落ち着くかもしれないのですが、どう転んだとしても良き存在になってくれそうです。また誠司は葉瑠にとって、あくまで父親であると確信させたのがこちら…
 

やし#12441;ろへ#12441;え2-1
この先あたしも 誰かを好きになって
結婚するかもしれない
その時にあたしを育ててくれた誠司に
寄り添う相手がいないなんて
そんなバカな話ないでしょう?


 
 このモノローグめっちゃ泣けました。難しい環境に育った女の子であるため、あれやこれやと思いを巡らせがちではあるのですが、この年で父親の幸せをこういった形で願えるというのは、すごいことだよなぁ、と。子供の頃って母親と父親は必ずセットで、別の組み合わせなんてありえない(男女としての顔なんてない)と勝手に思っていたりするもじゃないですか。それが、葉瑠の場合はこうなわけですよ。すごい。そして彼女にそんな想いを抱かせたのは、凡太であり千絵さんだったのでしょう。一番近くにいる人を大事にしつつ、周囲にいる人たちを通して、彼女はその世界を広げています。
 

~誠司の回想と千絵さんがすごくいい味出してます~
 今回意外だったのは、父親である誠司の回想が入ったこと。しかもちょっとではなく、ほぼ丸まる1話と使う勢いでページが使われていたことでした。基本的には葉瑠の視点で、葉瑠の考えで物語が進んでいくものだと思っていたのですが、ここまでしっかりと誠司の視点が落とし込まれるとは。またこれをきっかけに、以後彼に視点が切り替わることが度々ありました。この切り替えが物語の中でどういった役割を果たしてくるのかはあまりわからないのですが、少なくとも背景を知れたことで、個人的には深みが増したような印象を受けました。
 

やし#12441;ろへ#12441;え2-2
 あと千絵さんがあんなキャラで、あんな過去があったとはつゆ知らず。今回スーパーでの遭遇事件とかあったりもしたので、1巻とはガラリ一転すごく親しみやすい、好きなキャラになりました。この作品で一番好きなキャラ誰かと言われたら、今は間違いなく千絵さんですとも。なんていうんですかね、女性としての魅力が枯れず残り、母親としての強さが備わり、また独り身の女性としての寂しさと疲れみたいなものも若干感じられるその感じ、本当に素敵です。幸せになって欲しいですよね。。。
 

~こういう作品が読めるってのは幸せなことですよ~
 結局本作で描こうとしているのは、恋愛とか親子の愛とかそんな単純なものではなく、「少し特殊な環境に育った女の子を取り巻く全て」なんだと思います。恋愛だってその一部、けれども全てではありません。友情も、親子関係も、恋愛も、全てひっくるめて落とし込む。さらに深みを増させる、周囲の人たちの視点・回想。こういった作品が別冊マーガレットという、十代の女子をターゲットとした雑誌で受けるのかはわかりませんが、こういった作品をこういった媒体で読むことができるというのは、凄く幸せなことなんじゃないかと、ターゲット層でない私などは思うんですよね。だからこそ、オススメしたいしもっとたくさんの人に読んで欲しい。


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コメント

「やじろべえ」私も大好きな作品です。
絵も内容もホントにとても素敵ですよね。
こちらのレビューを見て、共感する所と新たな発見とがあり読んでいてとても楽しかったです。
3巻の発売、本当に待ち遠しいですよね。
今は本誌の方で連載してないみたいなのでまだまだ先になりそうですが、新刊がでたら是非またレビューお願いします(^^)
From: みさき * 2012/08/31 01:35 * URL * [Edit] *  top↑

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