
想いが日々伝わるように
幸せを2人築いていく
■読切り4編を収録。それでは表題作をご紹介です。
許嫁だったジルが行方知らずになり、その弟・ルセルの許嫁になったヴァーリア。納得がいかないヴァーリアは、ルセルと共にジルを捜すため旅に出る…!いつも冷静で感情を表に出さないルセルと、ルセルに対してなかなか素直になれないヴァーリアの二人を待っていたのは…!?
「赤髪の白雪姫」(→レビュー)のあきづき空太先生の読切り集でございます。「赤髪の白雪姫」の7巻も同時発売で、あきづき先生ファンにとってはたまらない月となったのではないでしょうか。収録されている読切りは全部で4編、全て異世界を舞台にファンタジー要素を落とし込んだお話が展開されています。それでは先にご紹介した表題作以外の作品を少しずつかいつまんでご紹介しましょう。
やがて龍となり空へと還っていくとされる龍の子・キトと、そんな彼に寄り添い育ってきた巫女のシュエンが迎えた“運命の日”を描いた「龍の守唄」。人里離れた雪深い土地に暮らすアルザがある日拾ったのは、見覚えのない一人の少女で…という「銀世界の証明」。村を支える神木を守る少年が、ある日ご神木から現れた神様と触れあうようになり…という「おとぎばなしの筆」。

「銀世界の証明」より。不器用な男と、一本筋の通った意思のあるヒロイン。このお話に限らず、多くのお話にこれが当てはまる気が。だから二人だけでも充分面白いという。
あきづき先生の作品は、異世界ベースの「赤髪の白雪姫」に、現実ベースの「青春攻略本」(→レビュー)と2作品を知っている程度なのですが、本作に収録されている作品については全て「赤髪〜」寄りの作品という印象です。ファンタジックな要素に加えてRPGの世界を彷彿とさせる世界観ということもあるのですが、何より特別な立場にいる男女にスコープを当ててほぼその二人だけで物語を展開、そして完結させるあたりなど、受ける印象が似ているな、と。あとヒロインが聡明そうであるところなども白雪っぽいというか、そもそもあきづき先生の描く女性は押し並べて魅力的。
台詞なし顔アップの一コマだけでページとして充分映えるってのはなかなかに凄いことだと思います。別に描きこんでいるわけでもないのに、伝わるこの魅力。いやーツボですわ。個人的に一番お気に入りの話は、「銀世界の証明」。明るく前向きなヒロインに、ぶっきらぼうだけどその実ヒロインのことをすごく気にしている相手役の組み合わせがとにかくニヤニヤしまくりで。ベタと言えばベタなラストなのですが、こういうキャラクターだからこそベタが効くというか。また恋愛以外の要素が落とし込まれている作品が多い中、恋愛一本で清々しく描き切った「ヴァーリアの花嫁」も素敵でした。
【男性へのガイド】
→あきづき作品は男性もお好きな方それなりにいるかと。腐っぽさもあまりないですし、これは良い少女漫画。
【感想まとめ】
→あきづき先生の作品やっぱり好きです。あきづき先生らしさを感じつつ、新鮮さももちろんあり、ファンとしてとても満足度の高い読切り集となっていました。オススメです。
作品DATA
■著者:あきづき空太
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa
■全1巻
■価格:400円+税
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