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Tag [新作レビュー] 2012.04.13
1106121840.jpg武嶌波「電氣ぶらんこ」


世の母はね
みーんな自信持っていいんですよ



■フキちゃんと宵田くんはデキ婚の新婚さん。大忙しの引越中、電気ポットから突然、2年後のフキコの携帯電話が出てきて…!?クールなフキコの迷い、温厚な年下夫の出来心など、おなじみの家電をモチーフに、日常の機微を描いた、トゲと和み、奇妙さが同居する家電オムニバス。

 最近のフィーヤンは恋愛や仕事というイメージよりも、結婚や家庭や子育てといった色の強い作品が多い気がするのは気のせいでしょうか。先日ご紹介した「茜色のカイト」(→レビュー)とか、「はしっこの恋」(→レビュー)とか。フィールヤングってそういうのとは対極にいるというか、対岸でそういった光景を眺めているヒロインみたいな印象が強くて、こういう作品が逆に印象に残ってしまうのかもしれません。
 
 さて、のっけから全然本作とは関係のない話をしてしまいましたが、内容のご紹介です。あらまし紹介にて「家電オムニバス」というフレーズが出てきて「なんだそれ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、各話にモチーフとして親しみのある家電が登場し、家族のつながりや生き方、考え方を表してくれるという作品コンセプトになっており、この言葉は間違いではないのです。お話の舞台となるのはデキ婚で新生活を始めたフキちゃんと宵田くんのカップル。やがてすぐに子供が生まれ、3人での暮らしとなります。不思議なことが起こったのは、引越の当日。荷物を崩している中、電気ポットを開けてみると何故かそこには2年後の日付を差す自分のケータイが。。。身の回りにある家電、身の回りにある不思議を通して、夫婦生活に子育てに、日常の機微を描いていきます。


電気ブランコ
育児での悩み、時に激しく感情を表したり、ゆっくり自分の中で考えたり。。。そして何気なく映り込む洗濯機。家電が描かれるということは、家が描かれるということ。そういうところから家族のつながりを描いていくので、意外と家電と物語ってのは相性よいのだと思います。


 家電だけならば味気ないのですが、ここにさらに常識では説明できない不思議な要素=ファンタジーな要素が落とし込まれます。1話目の未来から物体がやって来るのもそうですし、例えば死神がいたりとか。それが作中においてどういう効果をもたらさんとして描かれているのかはわかりませんが、少なくとも言えるのは、この作品にはポップでファンタジックな印象は全くないということ。逆に溢れているのは、女性が内面に抱える嫌な気持ち…こと夫婦生活や子育て、出産において生まれる、外には出しにくい感情です。
 
 ずっと楽しい気持ちで育児ができれば理想的ですが、現実はそうはいかないもの。いつだって大変で、時に辛くて、けれども投げ出すことはできないから、余計にしんどい。「絶対に離婚してやる」「泣き声が一番嫌いなんだよ」「少し子供から離れたかっただけなんだよね」「すぐもういっぱいいっぱいだ」…声に出すのは憚られる、けれども誰しもが思うであろう言葉たち。そんな想いを、本作ではある種肯定し、その上で最後に報われるようなメッセージを投げかけてくれます。子育ての大変さと素晴らしさ、そして寄り添い生きる相手がいることの心強さを、身近な家電に重ねて。様々な要素を落として辿り着くのは、本当に本当にシンプルな答えなのですが、だからこそ安心して受け取れるメッセージとなっており、なんとも素敵。


【男性へのガイド】
→「男は出産しないし」なんて思っている方、いやいや男性だって出産することはなけれども、子育ては目一杯できるんですから、一読の価値はありますよ。きっと共感できる男性はいるはず。自分も来るべき未来(来るのかなぁ…)のため、この作品で知った言葉は覚えておきたいものです。
【感想まとめ】
→なんというか、電気的な感はなく、もっと温かいというか、けれども良いだけの温かさじゃないというか。全体的には不思議な印象なのですが、辿り着く先はシンプルで上手くバランス取れてます。1巻完結ということで、興味のある方は。


作品DATA
■著者:武嶌波
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールヤング
■全1巻
■価格:933円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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